ニュース

超音波式の弱点を克服した「カドー 加湿器」

cado加湿器 HM-C400

 エクレアは、従来の加湿器のデメリットを克服した超音波式加湿器「cado(カドー)加湿器 HM-C400」を10月25日より全国のヨドバシカメラや百貨店、直販サイトで予約販売する。希望小売価格は39,800円。

  空間を洗浄することをコンセプトとした超音波式加湿器。従来の超音波式の加湿器は、タンクの水を加熱していないため、衛生面が弱点だった。このデメリットを克服するために、新製品では独自開発の人工ゼオライトを内蔵する「ゼオクレア・抗菌カートリッジ」を水タンク下部に採用。タンク内の水と室内の空気を除菌するほか、空気中に抗菌ミストを放出することで、室内のウイルスや浮遊菌の活動も抑制する。これにより、乾燥だけでなく、細菌やウイルスからも部屋の空気を守ることができるという。

左のポールがミストの吹き出し口。右が円柱状のアクリル製水タンク
台座部も円形。表面には撥水性のある加工を施している
操作ボタンは2つだけでシンプルだ。昨年発売した空気清浄機を含め、同社の製品にリモコンが付属しない理由は「自動による高機能運転を味わってほしい」からという

 ゼオライトとはスポンジのような空洞構造の鉱物で、水質を改善するイオン交換剤や、脱臭などの吸着剤、触媒などに使われている。同社ではゼオライトのイオン交換能を利用した独自の抗菌技術を「ゼオクレア・テクノロジー」と呼び、安全性が高く人体に影響はないとしている。

ゼオライトのイメージ
取り外した状態のゼオクレア・抗菌カートリッジ。使用期間は半年。交換用カートリッジ1個の希望小売価格は5,980円
カートリッジの取り付け口。白い部分にゼオライトが含まれる
カートリッジは水タンクに取り付ける
ゼオクレア・抗菌カートリッジを水タンクにはめた様子
抗菌性能を測る実験結果。25立方mの空間にあらかじめ黄色ブドウ球菌を充満させ、加湿量を最大に運転して、菌の減少を測定。運転後4時間で約90%、499分(8時間18分)で約99%の細菌を除去したという
エクレアの鈴木健 取締役副社長

 加湿能力の面では、スーパーのショーケースなどに利用されている業務用の加湿ユニットを採用したことで、1時間に600mlの加湿量を可能とした。適用畳数は洋室17畳、和室10畳。

 エクレアの鈴木健 取締役副社長は、新製品のメリットとして、「従来の超音波式の長所である電源を入れてからの立ち上がりの速さや、本体を小型化できることに加えて、加湿能力、電気代、蒸気の温度、雑菌衛生におけるバランス力」を挙げる。ゼオクレア・テクノロジーによる抗菌力や、業務用加湿ユニットによる加湿量を加えたことで、「バランスのとれた加湿器」に仕上がったという。

加湿器には気化式やスチーム式など様々な種類があり、それぞれに長所と短所がある
cado加湿器は加湿能力、電気代、蒸気の温度、雑菌衛生の全てにおいてバランスのとれた加湿器になったという

 運転モードは、センサーが部屋の温湿度を見分けて加湿量を切り替える「自動」と、1時間あたり600mlで加湿する「急速」を用意する。手動で、1時間あたり400mlの「強」、200mlの「中」、100mlの「弱」の3段階から加湿量を調節することもできる。機能面では1/4/8時間のオフタイマーも搭載する。

 タンク下部にはLEDライトを搭載し、部屋の湿度に合わせて水タンクを様々なカラーで照らす。具体的には、部屋の空気が乾燥している際はイエロー、やや乾燥している際はグリーン、十分な湿度である場合はブルーで点灯する。さらに、水タンクが空になるとレッドで点滅。本体には照度センサーを内蔵し、室内が暗い時は自動で光の強さが弱まる。

水タンクを取り付ける場所には、LEDライトを搭載する
部屋の湿度に合わせて点灯するライトの色を変える

 省エネ面では、消費電力は22~45Wで、消費電力が22Wの時、1時間あたりの電気代は0.5円で、1日8時間運転した場合の1カ月の電気代は116円程度で済むという。

 本体サイズは270×105×855mm(幅×奥行き×高さ)。本体重量は約3.5kg。タンク容量は2.4Lで、1回の給水で最大24時間連続運転が可能。なお水タンクは円柱型で、台所の流しなどでは水を注ぎにくいため、本体には注水用のカラフェ(水差し)が付属している。

水を注ぐためのカラフェ(水差し)は、持ちやすいデザインだ。2回注ぐと、水タンクを満タンにできる
カラフェの注ぎ口
台座部背面。電源には家庭のAC100を利用
ミストの吹き出し口。約85cmの高さから微細なミストを吹き出す。超音波式なのでミストは常温だ

エクレアが空気清浄機と加湿器を分けて開発する理由

エクレアの古賀宣行 代表取締役

 エクレアの古賀宣行 代表取締役は、昨年は空気清浄機、今年は加湿器と、それぞれ機能を分けた製品を発表した理由として、「もっと本来の性能に注力した製品があって良いと思った。例えば、以前自分が取り組んでいたオーディオ・ビデオの領域では、ラジカセという製品があった。利便性を優先して、個別の機能は単独の製品に劣るものだった。我が社が後発メーカーとして白物家電を開発する上では、本質機能が良い物、デザインが良い物、満足のいく物を作らなければならないと思い、専門機器として発売している」と語った。

 またヨドバシカメラや百貨店、直販サイトに販路を限定している点について、「大事なのは、沢山売るというスタンスでなく、性能とデザインを融合させた世界最高レベルのものを作りたいということ。スタートしたばかりの会社で、身の丈ということもあり、まずは販路を限定してブランディングから始めている」と説明した。

小林 樹