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キッザニア甲子園で家電修理センターの仕事体験ができる
~こどもの仕事体験現場をレポート
(2012/12/5 00:00)
こどもが大人になりきって楽しむことができるキッザニアは、様々な仕事を体験することができる。そのなかには、家電修理センターと呼ばれる仕事もある。このほど、兵庫県西宮市のららぽーと甲子園にある「キッザニア甲子園」を取材する機会を得た。キッザニア甲子園における家電修理センターをはじめとする仕事の様子をレポートする。
「こんばんは」で挨拶するキッザニアの街
キッザニアは、こどもたちが好きな仕事にチャレンジし、楽しみながら社会の仕組みを学ぶことができる「エデュテインメントタウン」だ。
もともとは、メキシコのKZM社が開発した屋内施設。いわば、「ごっこ遊び」を発展させたものともいえ、職業体験を楽しみながら、働くことの意味や社会の成り立ちを理解することができる。
現在、世界8か国11か所に展開。2013年にはタイやブラジルにも新たな施設ができるという。
現実社会の3分の2のサイズの街並みは、こどもの視線にあわせたものとなっており、街並みは、一般社会ではこどもが一人では出歩くことができない夕方の雰囲気を演出。これもこどもを大人として扱う演出のひとつだ。
そして、「自分たちが寝ている間にも、働いている人がいることを知る機会にもなる」という狙いもある。
そのため、キッザニアの世界でのこどもたちとの挨拶は、すべて「こんばんは」で始まる。
企業の協力を得てリアリティを追求
キッザニアでは、リアリティを追求するために、企業の協力を得ているのも特徴である。
各パビリオンを展開する「オフィシャルスポンサー」のほか、小規模のパビリオンの提供や、キッザニアのコンセプトに賛同する「オフィシャルサポーター」、設備および機材の提供を行う「オフィシャルサプライヤー」の3つのカテゴリーがあり、それぞれの立場から、こどもの仕事体験を支援することになる。
キッザニアには、約60のパビリオンが立ち並び、そのなかで90種類以上の仕事を体験したり、サービスを受けたりすることができる。
電機関連およびIT関連企業のスポンサーとしては、ソニーマーケティングが、キッザニア東京とキッザニア甲子園のオフィシャルスポンサーとして、カメラマンの仕事が体験できる「フォトスタジオ」を出展。さらに、エプソン販売がキッザニア甲子園に「デザイン教室」を、NTTドコモがキッザニア東京とキッザニア甲子園に「携帯電話ショップ」をそれぞれ出展している。
また、インテルは、2012年9月21日から、キッザニア東京において、「サッカースタジアム」のパピリオンを出展。プロサッカー選手の仕事を体験できる。
オフィシャルスポンサーは、各パビリオンに企業のロゴをそれぞれ掲示し、さらに、こどもたちの職業体験を行う際に使用する設備やユニフォーム、備品なども提供する。
「こどもたちが、自分がよく知る企業のロゴが入ったユニフォームを着るとき、仕事に取り組む意欲が見え、表情が変わるのがわかる」と、キッザニア甲子園 企画部広報グループの小西ゆかりアシスタント・マネージャーは語る。
確かに、キッザニアのパビリオンのなかでは、嬉しそうに企業のロゴマークが入ったユニフォームを着る子供たちの姿や、そのユニフォームを身にまとい真剣に仕事に取り組もうとするこどもたちの姿がみられていた。
なかには、ヤマト運輸の宅配便のような、実際の仕事で着ているユニフォームと同じデザインのものを着用するケースもある。消防士や警察官も同様だ。憧れの職業と同じユニフォームを着ることができるのは、こどもたちにとっても、大きな喜びだ。
30分の職業体験で仕事の意義を知る
各パビリオンで子供たちの仕事をリードするスタッフは、各企業の社員ではなく、それぞれの企業の姿勢やコンセプト、シナリオなどを熟知したキッザニアのスーパーバイザーたちが行なう。
こどもたちは、自分が体験したい仕事を自由に選ぶことができ、スーパーバイザーに、その仕事の役割や意義、基本的な動作などを教えてもらったあとに、実際の職業を体験する。
たとえば、水道工事の場合には、こどもたちが毎日のどんなシーンで水を使っているのかということを発言させ、日常何気なく使っている水道水が生活には欠かせないこと、そして、いつでもそれを使えるような状態を維持するために働いている人がいることを教え、その仕事の重要性を知りながら、仕事を体験するといった具合だ。
こどもたちは、約30分間の間に仕事を経験し、その成果として、キッゾと呼ばれるキッザニア独自の通貨で報酬を受け取ることになる。
こどもたちにスーパーバイザーは、「お疲れさま」と声をかけて、キッゾを直接手渡すが、「こどもたちの達成感のある表情をみるのが楽しい」というスーパーバイザーたちの声も聞かれている。
ひとつの仕事で受け取れる報酬は5キッゾから8キッゾ。このキッゾを使って、習い事をしたり、買い物ができるほか、銀行に貯金して、街の中にあるATMを使用してキッゾを引き出したりといったことができる。このキッゾは、銀行に貯金しておけば、次回に来場したときにも使うことができる。
「デパートでキッゾを使って、好きなものを購入することもできるが、50キッゾで鉛筆が1本が買えるというような設定になっている。もう少し安くしてはどうかという声もあるが、少し働いただけでは、なにも手に入らないということを知る意味でも、こうした価格設定にしている」(キッザニア甲子園の小西ゆかりアシスタント・マネージャー)という点も、キッザニアならではのこだわりのひとつだ。
49社94種類の職業体験ができるキッザニア甲子園
キッザニア甲子園は、2009年3月に、国内2番目の施設としてオープンした。第1号施設は、東京・豊洲のキッザニア東京で、2006年10月にオープンしている。
約6,000平方メートルの敷地面積に、49社のオフィシャルスポンサーがパビリオンを出展。94種類の仕事を体験することができる。
キッザニア甲子園に出展しているパビリオンのなかで、日本初となるのは、吹き替えを行なうポストレコーディングスタジオ(ECC)のほか、マヨネーズ工場(キューピー)、すし屋(サトレストランシステムズ)、大使館(ジェーティービー)、水道施設(大成機工)、モデルハウス(大和ハウス工業)、ホテル(阪急阪神ホテルズ)、電車(阪神電車)、自動車工場・運転免許試験場、レンタカー(三菱自動車)、パウムクーヘンショップ(ユーハイム)、医薬研究所(ロート製薬)がある。(カッコ内は当該パビリオンを出展しているオフィシャルスポンサー名)
キッザニア甲子園への年間来場者は約70万人。3歳~15歳のこどもを対象にしており、午前9時~午後3時までの第1部、午後4時~午後9時までの第2部による完全入れ替え制としている。
入場料は平日、休日、ホリデーシーズンで異なり、さらに、園児、小学生、中学生でも区分けされている。
小学生の場合、夏休みや冬休み、春休み、ゴールデンウイークなどのホリデーシーズンで、第1部が4,700円、第2部が3,800円。大人は1,800円となっている。なお、大人は職業体験などのアクティビリティには参加ができない。また、一部のアトラクションを除いて、パビリオンの中にも入れない。すべてこどもだけで職業体験するものとなっている。
「仕事を通じて、チームワークやコミュニケーションの大切さ、自分の個性をアピールすると同時に、他人の個性を尊重する難しさ、自分の行動の責任について、学校や家庭とは違う環境での学びの機会を提供している」という。
また、「職業体験を通じて、さまざまな仕事があることに気がついたという声や、体験後、家で手伝いをしてくれるようになったという声もある」(キッザニア甲子園の小西ゆかりアシスタント・マネージャー)と、キッザニアでの体験が、こどもの成長につながっているコメントも寄せられている。
家電修理センターでテスターを使って修理
キッザニア甲子園には、こどもが体験できる仕事のひとつに、家電修理センターを用意している。
もともとは大手家電量販店がスポンサーとしてバピリオンを展開していたが、現在は、キッザニアが直接運営しているパビリオンとなっている。
ここでは、壊れて動かなくなった掃除機を修理し、長く大切に使うことを覚えながら、仕事を体験する内容となっている。
こどもたちは、まず、掃除機の故障原因を調べる作業を行なう。
掃除機のコンセントおよびホースを抜き、ふたを開け、さらにコネクタをはずし、部品を取り出す。さらに、目視でのチェックおよびテスターによるチェックによって、故障部品や原因を見つける。
掃除機に使用されているモーターを、テスターを使って、電流が流れるかどうかを確認。壊れた部品には電流が流れないことを知るという仕組みだ。
さらに、壊れた部品の代わりに新しい部品を取りに行き、古いものと新しいものを比較して、テスターを使ってチェック。問題がなければコードリールに、基板、ヒューズをつけて、部品を元に戻し、ふたを閉める。
そして、ホースをつけて、コンセントを指して動けば作業は完了となる。最後には、修理完了報告書を作成するという仕組みだ。
また、パビリオン内には、スケルトン型のドラム式洗濯乾燥機などが用意されており、自分の身の回りにある家電製品がどんな仕組みで動いているのかを知ることができるという。
なお、これはキッザニアならではの家電修理センターにおける作業であり、スーパーバイザーからは、「これは、修理センターのスタッフがついて修理をするのものであり、自分の家の家電製品は分解しないでください」と、こどもたちに伝えているという。
では、キッザニア甲子園の様子を写真でみてみよう。