東京電力、7月からの家庭用電気料金値上げを申請
東京電力は11日、経済産業省に対して、家庭用の電気料金値上げの認可を申請した。値上げの実施予定は7月1日、値上げ率は平均で10.28%としている。
東京電力では、認可が必要ない自由化部門については、すでに料金の値上げを行なっているが、今回は一般家庭を含む経産省の認可が必要な部門の料金も値上げする。
東京電力の電気料金値上げは、石油ショックによる燃料費高騰を受けて53.73%の大幅な値上げが行われた1970年以来となる。1996年に燃料費調整制度が導入され、以降の燃料費の変動分は「燃料費調整費」として自動的に増減していたことにより、値上げ申請は行なわれていなかった。
提出された値上げ案の内容は多岐にわたっているが、一般家庭で用いられることが多い「従量電灯B」契約については、電気の使用量が増えるほど負担が増える設定となっている。
まず、電力料金の基本であり、アンペア(A)単位で設定されている「基本料金」は、据え置かれた。
一方、使用した電気1kWhごとにかかる「電力量料金単価」は大きく引き上げられる。3段階ある電力量料金単価のうち、最初の120kWhまでは「17円87銭」から「19円16銭」へ7.2%、120kWhをこえ300kWhまでは「22円86銭」から「25円71銭」へ12.5%、300kWhを超えた部分は「24円13銭」が「29円57銭」へ22.5%の値上げとなる。
もともと、120kWh以下の第1段階は、「ナショナル・ミニマム(国が保障すべき最低生活水準)の考え方を導入した比較的低い料金」であり、これを値上げすることはすべての使用者に負担増を求めることになる。さらに「標準的なご家庭の1か月のご使用量をふまえた平均的な料金」である第2段階、「やや割高な」第3段階へと、電気の使用量が増えるごとに値上げ幅も大きくなる設定だ。
また、1契約ごとの最低料金も「216円30銭」から「226円63銭」へ10円33銭値上げされた。最低料金は、契約アンペア数が低く、ほとんど使用されていない契約について設定されている管理手数料的な料金であり、増収を図ろうという強い意志が伺える。
経産省は、電気料金引き上げの妥当性を調べるため、有識者による「電気料金審査専門委員会」を設置する。6月上旬に公聴会を開催するほか、インターネットなどを利用して意見募集を行なうとしている。
(伊達 浩二)
2012年5月11日 16:26