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パナソニック、2013年に誕生する藤沢市の「スマートタウン構想」を発表

〜太陽光と蓄電池を標準装備。自動車や自転車のシェアリングも
Fujisawa サスティナブル・スマートタウン構想(Fujisawa SST)の完成イメージ図

 パナソニックは、神奈川県藤沢市と展開している「Fujisawa サスティナブル・スマートタウン構想」の事業化について、26日、説明会を開催した。

 Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(Fujisawa SST)とは、藤沢市内のパナソニック工場跡地である19万ha(約6万坪)の土地に建設中のスマートタウン・プロジェクト。世界に先駆けて、太陽光発電システムと家庭用蓄電池を大規模に装備するなど、パナソニック独自の「家まるごと」「施設まるごと」「街まるごと」のソリューションや、新提案によるエネルギー利用の先進モデルを構築を目指している。2013年度の街開きを目指し、ここでの成果を新事業モデルとしてグローバルに展開する計画だ。

 パナソニックと藤沢市は、2010年11月17日に同プロジェクトのコンセプトおよびその実現に向けた基本合意を結び、その後、プロジェクトの具体化に向け検討を進めていた。今回の発表では、アクセンチュア、オリックス、日本設計、住友信託銀行、東京ガス、パナホーム、三井不動産、三井物産の8社が参加し、共同で事業を推進していくことが明らかになった。さらに藤沢市は、環境行動都市のプロジェクトモデルとして、地域連携を含むプロジェクトの推進に協力するとした。

Fujisawa STTは、自然エネルギーで電気を作る「スマートタウン」と、世代を超えて暮らせる「サスティナブル」(持続可能な)まちづくりがメインテーマとなる 藤沢市の約19haの土地に、約1,000戸の住宅と、商業・公益移設を含む大規模スマートタウンを開発する
藤沢市とパナソニックに続き、アクセンチュアやオリックスなど8社も参加、共同で事業を推進していく それぞれの会社が、それぞれの分野でFujisawa SSTに関わっていく 説明会には各社の代表者が登壇、互いに手を取り合った

 Fujisawa SSTが誕生する土地は、JR東海道線の藤沢駅と辻堂駅の中間地点にあり、1962年からパナソニックグループの3つの工場が操業していた。3つの工場は、2009年に撤退したが、土地はパナソニックが引き続き所有していた。開発事業者、メーカー、サービス事業者が一体となった、マスタープラン段階から運用までを見据えた戸建、集合住宅をあわせて、1,000世帯規模の街づくりが推進されることになる。開発所在地は神奈川県藤沢市辻堂元町6-4-1。

 総事業費は約600億円。そのうちパナソニックグループの事業費は、約35%に当たる約250億円規模となる。全世帯の入居は、パナソニックの創業100周年にあたる2018年度を予定。最終的には、約3,000人が暮らす街になるという。

 今後は約半年をかけて、同構想に基づくインフラやスマートハウスの基本設計、導入システム、商材の基本仕様の確定、サービスモデルを設計する。そのうえで、空調や照明などの省エネ機器の普及、太陽光発電や家庭用燃料電池のエネファームに代表される創エネ、蓄電池やヒートポンプ給湯機などの蓄エネ、さらには配電とコントローラを組み合わせた「エネマネ」の新提案によって、エネルギー利用の先進モデルを創出する。

街づくりの基本コンセプトは、エネルギー網、情報網をつなげることで、より豊かな暮らしとサービスを提供していくこととなる パナソニックの「まるごと」事業を導入することで、暮らしのサポートをより深く提供していくという


太陽光と蓄電池は標準装備。エコカー・電動アシスト自転車の充電装置やシェアサービスも

 Fujisawa SSTに導入される具体的な設備としては、太陽光発電システムと家庭用蓄電池が、最初からすべての住宅、施設、公共ゾーンなどの街区全体に標準装備さえる。

 また店舗では、風、光、熱、水の4つの領域において、創エネ、省エネ、蓄エネ機器を導入し、店舗全体で省エネ制御を行なう。また、公園や共有駐車場、沿道などの公共空間への太陽光パネルの設置、集会施設へのコミュニティ蓄電池導入により、災害に強い街づくりを目指す。さらに、緊急用の最小限の家庭用蓄電池も、各戸に初期導入される。

 公共空間では、EV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド自動車。外部電源から充電できるシステムを搭載した自動車)向けの充電インフラの整備や、電動アシスト自転車やソーラー駐輪場といった“エコサイクルパック”の導入を図る。加えて、エコカー、EVのモビリティシェアサービスや、照明とセンサー、監視カメラを最適制御するセキュリティサービス、高齢者が快適に過ごせる設備などを提供する「ヘルスケアサービス」などを予定している。

住宅をはじめとする街区のすべての建物に、太陽光発電システムと家庭用蓄電池を導入する EVの充電インフラ、電動アシスト自転車のバッテリーを太陽光で充電する“エコサイクルパック”も用意される

 さらに、これらの仕組みを支援するコミュニティ・プラットフォームとして、各種サービスを利用するためのアプリケーションを、ワンストップ(1つの窓口)で提供するポータルおよび端末を提供。SEG(スマートエナジーゲートウェイ。住宅内のネットワーク家電を一元管理する機器)と連携し、エネルギーの見える化、商業施設におけるタイムセールの告知や、施設の予約管理などが、自宅のリビングから操作できるという。また、プッシュ型での地域コミュニティ情報の配信サービスも提供する。

 こうした取り組みにより、Fujisawa SSTは、1990年比でCO2排出量で70%削減、生活用水で30%の削減の街づくりが目標になるという。

 

住宅内のネットワーク家電を一元管理する機器「SEG」を使用することで、さまざまなサービスが利用出来るという SEGは、Fujisawa SST内のさまざまな施設と繋がっている 自動車や電動アシスト自転車のシェアリングサービスなどが利用できるという
街区の完成イメージ図


パナソニック大坪社長 「『藤沢モデル』として世界に発信していく」

パナソニックの大坪文雄社長

 パナソニックの大坪文雄社長は、Fujisawa SSTについて「パナソニックが考える街まるごとを初めて具現化するものである。先進的であり、特徴的な街づくりを『藤沢モデル』として作りだし、世界に向けて積極的に発信していく。世界の都市に提案する力、全体設計し開発する力、持続的に運営する力が重要であり、これらの観点からパートナーとともにすばらしいスマートタウンを実現するとともに、世界のスマートタウンの実現に寄与したい」とした。

 さらに「パナソニックは、世界ナンバーワンの環境先進企業を目指すなかで、これまで当社が取り組んできた白物家電、デバイスという単品商品を、『街』というコンセプトにまとめあげることができる。将来の新たなビジネスのトリガーになるもので、この取り組みはパナソニックの将来に向けても大きな意義がある。藤沢モデルのコンセプトを小規模にしたものを、東日本地域の街の復興に活用できるのではないかとも考えている。安心、安全な街づくり、進化する街として提案することは、今後の街づくりにおいて大きな参考事例になるだろう」とした。

藤沢市の海老根靖典市長

 藤沢市の海老根靖典市長は、「藤沢市が取り組む3つの街づくりプロジェクトの1つが、Fujisawa SSTである。藤沢市はエネルギー削減、モビリティ、防災・セキュリティに実現に向けた支援を行ない、また国、県との連携も働きかけている。創業者である松下幸之助氏が最も愛したこの場所が、環境都市となる。幸之助氏は、この実現を喜んでいるはずだ」などとした。

 コンサルティング会社のアクセンチュア 西村裕二執行役員は、「優れた『立地』、差別化と標準化を両立する『構造』、2013年に街開きするという『スピード』という、3つの側面で世界的に優位性があるスマートシティになる。世界の経験、ネットワークを活用し、世界展開を支援する」とコメントした。

 三井不動産の岩沙弘道社長は、「世界のスマートシティのモデルとなることを期待している。先進的な事例を日本の都市再生や街づくり、環境共生に生かしていく」とし、住友信託銀行の常陰均会長兼社長は、「信託銀行ならではのソリューションを総合的に、多面的に発揮できれきばと考えている。環境を捉えた不動産価値の向上、環境配慮型の住宅ローンなどの提供を考えている」とした。

 三井物産の大前孝雄副社長は、「当社は、環境、新エネルギー分野で取り組みを進めており、総合商社が持つ知見、経験が役に立つ。復興という観点からもモデルケースになると考えている」とコメント。オリックスの梁瀬行雄副会長は、「一流のプレーヤーとともに参画できることは大変意義がある。住みたい街ナンバーワンといわれる藤沢の街全体の価値向上、暮らしのサポートをワンストップで提供したい」とした。

アクセンチュアの西村裕二執行役員 三井不動産の岩沙弘道社長 住友信託銀行の常陰均会長兼社長
三井物産の大前孝雄副社長 オリックスの梁瀬行雄副会長

 東京ガスの青沼光一常務は、「エネファームの導入促進、エネファームを利用した快適な暮らしの提案、スマートエネルギーネットワークの推進という3つの役割を果たしたい。この土地は当社にとっても思い入れの強い場所。全力をあげて取り組みたい」とし、日本設計の六鹿正治社長は「環境配慮型の家や街づくりで実績を持つ当社では、新たなエネルギー危機の最適な導入計画を立案しており、また風の道、緑のネットワークの維持といったスマートタウンに相応しいランドスケープデザインの提案、先進的な街づくりガイドラインにも取り組んでいる」とした。

 パナホームの藤井康照社長は、「太陽光電池、燃料電池、蓄電池の3つの電池に、SEGを組み合わせ、エネルギー持続可能な家づくりの実現に取り組む」と語った。

東京ガスの青沼光一常務 日本設計の六鹿正治社長 パナホームの藤井康照社長

藤沢市
http://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/




(大河原 克行)

2011年5月26日 15:35