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ダイキン、エアコン「うるるとさらら」の生産拠点・滋賀製作所を公開


 ダイキン工業は、7月8日、家庭用エアコンの生産拠点である滋賀県草津市の滋賀製作所の生産ラインを公開した。
ダイキン工業 滋賀製作所 工場入り口に掲げられた標語

国内高級モデルの生産拠点。需要変動に対応する体制を確立

 ダイキン工業の滋賀製作所は、住宅用空調機の開発、生産拠点として、1970年11月から稼働。甲子園球場の約7倍となる27万6,000平方mの敷地面積に、約1,200人の従業員が勤務。有期間社員を含めると2,000人弱の規模となる。2009年度のルームエアコンの生産台数は90万台。2010年度は80万台の生産を計画している。

 ダイキンのルームエアコンの生産は、滋賀製作所のほかに、チェコの生産拠点で年間48万台、タイの生産拠点で年間85万台として、それぞれ生産地に近い場所での生産を行なっているが、提携関係にある中国の格力電器から国内向けに50万台を調達。滋賀製作所では、主に国内向けハイエンドクラスの製品を生産している。

滋賀製作所の概要 滋賀製作所での生産台数はここ数年減少傾向にあり、2009年度実績で90万台

 滋賀製作所は現在のところ、室外機の生産を行なっている第1工場、1980年から稼働し、室内機およびエコキュートの生産を担う第2工場、樹脂成形部品などの生産やファンモーターの生産などを行なう1993年稼働の第3工場を持つ。そのほか、部品倉庫や製品倉庫、環境試験室、実用試験所、製品信頼性試験室、治工具工場、排水処理場などを敷地内に配置している。

 同工場の生産体制は、当初は単一機種の大量生産を前提としたロット生産体制としていたが、1978年からトヨタ生産方式を導入した多品種混合生産を開始。これをPDS(Production of DAIKIN System)と名付け、必要な時に必要なものを、必要な数だけ作るというコンセプトで展開。さらに、PDSをより進化させた「ハイサイクル生産」により、需要変動に即応できる体制づくりを確立。生産機種とボリュームとを連動させ、柔軟に生産体制を変更できる体制とした。これにより、部品在庫や製品在庫管理も連動。3日間で部品を発注し、3日間で店頭に納める体制にしているという。

甲子園球場7個分の敷地に第1工場から第3工場まで設置されている 需要変動に柔軟に対応するハイサイクル生産を導入

 柔軟な生産体制を確立するために、有期間社員を戦略的に活用。工場内の部品搬送には、独自開発の自動搬送車を利用することで、一般的な自動搬送車にくらべて10分の1程度の導入コストに抑えている。

 さらに、圧縮機や熱交換器、ファンモーターなどの空調差別化部品においては新工法での開発を採用する一方、エコキュート、空気清浄機などの空調外の高付加価値商品についても内作化を促進。差別化部品のブラックボックス化を、同拠点がリードしているという。


目玉機能「4方気流」は、自由な発想を集う“全Bオープン”から生まれた

最新モデル「Rシリーズ」では、風を4方向に飛ばす「四方気流」を備えているが、もともとは滋賀製作所のコンテストから出たアイディアだった
 滋賀製作所においては、商品の差別化を促進する活動として、自由な発想を競い合う「全B(ゼンビー)オープン」と呼ばれる社内コンテンストを実施している。滋賀製作所が、琵琶湖に隣接していることから社内では、琵琶湖の頭文字をとり、通称「B製作所」とされていることから付けられた名称で、うるるとさららの最新モデルに搭載されている「4方気流」も、同コンテストから登場したアイデア。技術者自らが無から有を生み出す力と、アイデアを磨き上げる力を高め、顧客視点での次の欲しいを具体化する活動と位置づけている。

ダイキン工業 空調営業本部事業戦略室販促 ソリューション提案担当課長 酒井茂孝氏
 ダイキン工業の空調営業本部事業戦略室販促・ソリューション提案担当課長の酒井茂孝氏は、この4方気流機能について「前下左右の4方向に気流を発生させ、人に風を当てるのではなく、部屋全体を快適にする技術。店頭では、どんな形の部屋でも効果的な設置が可能で、L字の部屋でも左右から気流が発生させられるというメリットがある。こうした特徴を訴求したい」と指摘、最新モデルをアピールした。

 また、4月〜6月の国内ルームエアコン市場については、「全体で前年比9掛け(90%)の状況。だが、4月以降はエコポイントの対象機種が全製品に広がったこと、6月最終週から前年実績を上回る状況になったこと、さらに7月、8月と猛暑が期待されていることから、7月20日以降、商品供給がタイトになる可能性もある。ダイキンのシェアは微増しており、今後の巻き返しに期待したい」とした。

 一方、滋賀製作所では、今年40周年を迎えることから、工場内に桜を植樹するなど、40周年記念行事を予定しており、「地域に密着した工場としても、貢献していきたい」(ダイキン工業 岡田慎也常務執行役員)としている。

ダイキン工業 岡田慎也 常務執行役員 入口付近の芝生広場を使って、7月末に恒例の納涼大会が行われる 入口付近の芝生広場を使って、7月末に恒例の納涼大会が行われる



 それでは、ダイキン工業滋賀製作所の様子を、写真を中心に紹介する。


第1工場 【室外機】


1970年から稼動している第1工場 第1工場は室外機に関する源泉からの一貫生産。板金加工ラインもある 室外機のピッキング工程。スイッチが点灯した部分の部品をピッキングする
ひとつのトレイに必要な部品が用意される こちらは室外機外板のピッキング 大型部品の在庫が工場の一角に置かれている
部品のよってはロボットアームを利用する 熱交換器のパイプの加工工程 熱交換器の部品置き場
熱交換器の組立工程では冷却管挿入、拡管工程などもあるる 熱交換器の組み立てラインの様子 組み立てられた熱交換器はコロコンラインで無人搬送
工場内には数多くの無人搬送ロボットが走っていた

搬送されたパーツは室外機の組立生産ラインに投入される その後、冷媒充填工程、冷媒漏れ検査工程を通過 部品セット箱(下)と製品パレット(上)と組み合わせる。バーコードで管理される
室外機の組立ライン。部品の配送には自動搬送車を活用 自動搬送機には6台分の部品を搭載。部品によっては10台分も運べる 室外機の組み立てラインは3本。2交代制で月5,500台の生産能力を持つ
組立後、運転検査、梱包ラインを経て出荷される 第1工場には、作業行程を改善するための「うでくり改善道場」もある 治具などの改善にも取り組む

第2工場 【室内機】

室内機を生産する第2工場。1980年から稼動している 室内機用熱交換器の生産ラインの投入部。1人オペレータが5つのラインを管理 フィンのプレスライン。工場内で金型製作もおこなっており、独自の形状を作り出す
細管の成型が行なわれている
拡管する工程の様子

熱交換器のロウ付けに使用される材料
管をろう付けする工程。認定制度により扱える作業を限定している 冷媒を注入したのち、漏れ検査を実施 ヘリウムガスを利用して漏れをチェックする
熱交換器の組立工程 それを室内機に組み込んでいく 室内機の部品がラインに投入される
こちらはセル方式の組立工程。11個のセルが用意されている セルとラインを結合することで効率的な生産を実現
セル工程により組立が完了した室内機 組み上がった室内機は絶縁・耐電圧検査へ その後、運転検査工程に。全数検査が行われる

運転検査工程では、移動が可能な施設も用意。生産量に柔軟に対応する 検査が完了すると梱包ラインに。全国5か所の配送センターを通じて出荷される

滋賀製作所、その他の施設・設備


トヨタ生産方式を採用している滋賀製作所には、トヨタ自動車の張富士夫会長の色紙が贈られ、工場内に掲示されている 試作職場では、各種試作を行うための機器が用意されている こちらは工場内の「ダイキンエコ・ラボ」と呼ばれる住宅。実際に生活をして様々な実績を行なう
排水処理場。工場内で廃液を処理する 従業員が利用する食堂。ゴーヤを植えて涼しさを演出 滋賀製作所は生産拠点のほか、ルームエアコンに関する開発、調達などの部門も入居する



(大河原 克行)

2010年7月12日 00:00