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「水素水」で最も期待できる効果は「水分補給」。国民生活センターが注意喚起
2016年12月16日 13:07
独立行政法人 国民生活センターは、水素をうたった水(以下、「水素水」)に関する、表示・広告・溶存水素濃度を調査し、そのテスト結果を発表した。
昨今、水素水に関連する商品が数多く販売されており、一部の商品のパッケージや取扱説明書には溶存水素濃度が表示されているが、実際に飲用する際にどのくらいの濃度になっているかはわからないという。
一方、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)には、飲用する水素水に関する相談が、2011年度以降で2,260件寄せられており、年々増加している。国民生活センターにも「水素水生成器を購入したが、水素水ができているのか疑わしいので調べてほしい」などのテスト依頼が複数件あり、消費者の関心は高いという。
今回のテストでは、飲用水として販売されている水素水(以下、容器入り)10銘柄と、飲用の水素水を作るという水素水生成器(以下、生成器)9銘柄、計19銘柄について、表示・広告、溶存水素濃度を調査。また、事業者へのアンケート調査の結果も取りまとめられている。テスト期間は2016年9~11月。
主なテスト結果は以下のとおり。
●溶存水素濃度(水に溶けている水素ガス“水素分子”の濃度)
・開封時の溶存水素濃度を測定したところ、容器入りのパッケージの溶存水素濃度表示に、充填時や出荷時と記載のあった5銘柄のうち3銘柄で、表示値より測定値の方が低い濃度でした。また、パッケージに表示のない3銘柄のうち、ペットボトルの2銘柄では溶存水素(水素ガス)は検出されませんでした。
・開封時に溶存水素が検出された容器入り8銘柄を、開封後に蓋を閉めて放置した場合には、溶存水素濃度が5時間後には30~60%程度に、24時間後には10%程度に低下しました。
・生成器で作った水をコップに移し替えると、1時間後に溶存水素濃度が約50~60%に低下しました。
「悪玉活性化酸素を無害化」、「アトピーで痒い部分に水素水をつける」は、医薬品医療機器法などに抵触するおそれ
また、効能効果に関する表示・広告に関しては、複数の販売元ホームページや直販サイトに、水素や水素水に期待されている効能効果の記載があったという。
その中には、「様々な病気の原因といわれる悪玉活性酸素を無害化する」、「アトピーに痒い部分に水素水をつけて下さい」など、健康保持増進効果等と受け取れる記載もあり、医薬品医療機器等法や健康増進法、景品表示法に抵触するおそれがあるとしている。
水素水で期待できる効果は「水分補給」
事業者へのアンケート調査の結果については、水素水の飲用により期待できる効果は、「水分補給」が最も多い回答だったという。
また、自社製品の水素水や生成器で作った水の機能性について調査、研究していると回答したのは、17社中9社という結果になった。
水素水に公的な定義はなし
こうした結果から、国民生活センターは消費者に対して、「水素水には公的な定義等がなく溶存水素濃度も様々です。また、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品として許可、届出されたものは、現在のところありません」とコメントしている。