長期レビュー

ダイソン「DC26」 最終回

~付加機能は少ないが、サイズと吸引力が光るクリーナー
by スタパ齋藤

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



ダイソン「DC26 turbinhead complete」

 ダイソンの日本市場向けサイクロンクリーナー「DC26 タービンヘッドコンプリート」の長期レビュー第4回目。約1カ月弱使ってきたわけだが、今回はメンテナンス性および最終回のまとめとしての雑感・総論を書いてみたい。

 なお、第1回目のレポートはこちら、第2回目はこちら、第3回目はこちら

 DC26はサイクロン式の掃除機。ほかの多くのサイクロン系掃除機と同様、紙パックを使用せず、ゴミ捨てをワンタッチで済ませられるという経済性&手軽さが魅力だ。

吸い込んだゴミはクリアビン(ゴミのタンク)にたまる。ゴミ捨ては、まず本体後方にあるクリアビン脱着のためのレバーを後方に押す。で、クリアビンを取り外す取り外したクリアビン。クリアビン下部(写真では左側)にゴミがたまっているのが見える。この状態で、ゴミはまだ満杯に対して3~4割程度しかたまっていない超細かいホコリから猫の毛、砂粒のようなゴミまでたまっている。掃除中はこのゴミがサイクロン気流によってクルクル回る

 写真のようにクリアビンを取り外し、クリアビンを持った指先位置のボタンを押せばパカリとフタが開き、ゴミが下部に落ちる。これでゴミ捨ては完了だ。確かに手軽ではある。

 が、DC26も、ほかのサイクロン系掃除機と同様に、ゴミ箱の上でクリアビン内のゴミをパカリなんてやるとタイヘン。細かなホコリが舞っちゃうのである。ゆえ、ゴミ捨て時はクリアビン下部をビニール袋でくるむようにしてパカリと捨てるべし(と説明書にも明記されている)。

 また、やっぱりほかのサイクロン系掃除機と同様、DC26のゴミ捨ても、実際は「パカリ」だけでは済んでくれないのであった。てのは、クリアビン内部やエッジに細かなホコリが付着しちゃうんですな。拙者のケースでは、2~3回のゴミ捨てのたびに一度、そういった付着ホコリをティッシュなどで拭っていた。

 ま、細かなホコリを拭わなくても、次に吸い込んだホコリや糸くず自体がそれら微細ホコリと一体化したりする。細かなホコリを拭わないでいると細かなホコリが多量にまたる、てなことにはなりにくいようだ。ちなみに、クリアビンの透明な外側部分は水洗いできる。内側のサイクロン機構部分は水洗い不可だが、乾いた布やティッシュなどで汚れを落とすことができる。

 毎回のゴミ捨て時に気づいたのは、もしかしたらDC26、吸い込んだゴミをけっこー圧縮してくれているかも!? ということ。ほかにもサイクロン系掃除機を使用中だったり、使ったことのある俺なんですけど、DC26のゴミは丸まってポコッと落ちてくれる印象が強い。例えば猫の毛とかはバラけずに固まった状態で捨てられる。強力なサイクロン気流により、ホコリや毛の類がしっかり絡まるのだろうか?

 それと標準ノズル(タービンヘッド)のメンテナンス性。このノズルにある“吸引力で回転するブラシ部”は、ブラシの回転で糸くず毛クズをしっかり掻き出してくれて好印象である。が、それらのゴミがブラシ部に絡みつくことも多い。この場合、ブラシ部のみを外し、ブラシに付着したゴミを除去することができる。

「DC26 タービンヘッドコンプリート」に付属する標準ノズルであるタービンヘッド。回転するブラシを内蔵し、これが床や絨毯の糸くず系のゴミをしっかり掻き取ってくれるのだブラシ部の取り外しは簡単。ノズル右サイドのネジ部分をコインなどで回せば外せるこのようにブラシのみ取り出せるので、絡まったゴミの除去も容易だ

 シンプルでメンテナンス性も良好なタービンヘッド、なかなかイイですな。日本製の掃除機の多くは、こういう部分のメンテナンス性がイマイチって気がしていたので、このギミックは拙者にけっこー響いた。

 通常は、クリアビンとタービンヘッドをたまにメンテナンスすれば良いという感じ。フィルター類は2年に一度とか、ときどきチェックして汚れていたら洗えば良いようだ。

 メンテナンス性以外の点で気づいたのは、本体の操作感というか使うときの感触が“全体的に硬め”だということ。例えば、パイプ部分を本体後方に引っ掛けて、ホースを立てた状態で置いておけるのは便利だが、その引っ掛け部がミョーに硬い。ちょいと力を入れないと挿抜できないこともある。

本体横に収納されているフィルター。2年ごとの洗浄が必要だが、こまめにチェックして汚れたら洗うのが良いだろう本体底面にもフィルターがあるが、このフィルターはユーザーのメンテナンスは不要なようだ。でも、ときどき底面を開いて汚れていないかチェックしてしまう拙者。1カ月程度の使用では本体横のフィルターもこのフィルターも汚れないようですな本体後方にある、パイプを引っ掛けるための出っ張り。引っ掛けるとき、少々硬めで、パイプの挿抜に力が要ることがある

 硬め、という点で言えば、ホースの硬さにはイマイチ馴染めなかった。日本製の掃除機ってホース部分がけっこー柔軟じゃないスか。でも、DC26のソレは、フレキシブルではあるが柔軟ってほどではない。ので、ホースを丸めての収納がしづらいことや、掃除中にホースが家具等にビョンビョン当たるのが少々気になる……でもまあ、堅牢そうだし、大きな支障もないので、悪くないと思うが。

 1カ月弱使ってきて得た印象は、やぱりこのコンパクトさと、それに似合わない吸引力の強さだ。同時に、ノズル類も小型で扱いやすい。ので、十分な吸引力を使い、狭いところ込み入ったところまでを快適に掃除できる。掃除機としての基本的な性能と扱いやすさに関しては十二分に満足できた。

 ビミョーに残念なのは、動作音。慣れてはくるものの、やっぱりウルサめ。同時に、排気が強力でありかつ熱めである(排気の温度が少々高い)こと。

 騒音について、拙者の場合は「ま、使ってたら慣れたけどネ」と言える気分だ。が、住宅事情においてこの騒音が問題になっちゃうご家庭もありそう。

 排気が強力で、しかもソレが熱めである点だが、排気の温度が高いのは、ま、窓でも開ければイイんじゃないの、みたいな。ただ、意外なほど強い排気は、天井付近にたまっていたホコリを舞わせて落とすほど。床掃除をしているのに、なんか上からホコリの固まりが落ちてきた、てなことも何度かあった……掃除は高いところからやれ、というのは正しいですな。

 あとは価格。DC26の実勢価格は6万円前後で、コレ、けっこー高級な掃除機である。だが、目立つウリはコンパクトさと吸引力あたりのみ。この価格レンジの掃除機を見ると、日本製掃除機にはイオンで空気清浄とかソフトな排気とか床上30cmのホコリ吸引とかいろいろな付加機能があったりする。そのあたりをどう考えるかだろう。

 吸引力とかソコソコでいいから、空気清浄系機能や動作音の静かさとかいった付加機能もあって欲しい、てな人には、DC26はあまり……。逆に余計な機能は要らない、基本機能が優れていればイイ、というならDC26をチェックする価値は十分にあると思う。

 てなわけで、細々した難点はあるものの、コンパクトさと吸引力を両立し、日本の住宅で使いやすい工夫も多々されているDC26。できれば実機に触れてその使用感や吸引力、動作音を確かめてみてほしい。




2009年6月26日 00:00