長期レビュー
東芝「鮮度名人 GR-A56R」 その3
■食材をムダにしないというエコ
スーパーで思わず買ってはみたものの、結局、調理せずに放置して、気づいたときにはシナシナのカピカピ。もったいないと思いつつも、食材を捨てざるを得なくなった経験が誰にでもあることだろう。
野菜室がなくなり、冷蔵室であらゆる食材を保管する「鮮度名人 GR-A56R」。i-ツイン冷却による高湿度によって、食材の鮮度を長く保てる |
そんな食材のムダを少なくすることができる。というのも、今回、購入した東芝の「鮮度名人 GR-A56R」の特徴の1つとなっている。
しくみとしては、本コラムの初回でも少し触れた「i-ツイン冷却」というしくみのおかげ。冷蔵庫の食材がムダになる原因の1つに庫内の湿度不足がある。冷蔵庫内を冷やすために、冷気を循環させる過程で庫内の湿気が失われたり、食材に冷気が直接あたって野菜などの水分が失われてしまう。
その結果、野菜はまるで瀕死状態のシナシナとなり、ハムなどはビーフジャーキーかと思われるほどにカピカピになってしまうことがある。よくおいしいチャーハンを作るために、ご飯を一晩冷蔵庫で冷やすなどという方法もあるが、それくらい冷蔵庫では水分が失われやすいというわけだ。
これに対して、「鮮度名人 GR-A56R」のi-ツイン冷却では、冷蔵室用、冷凍室用という専用の冷却器2台でそれぞれの庫内を個別に冷却。各庫内に最適な温度や湿度を細かくコントロール。その結果、冷蔵室で約85%という高い湿度をキープし、しかも温度変化も±0.4℃と安定した冷却を実現できるようになっている。
要するに、食材をなるべくおいしい状態でキープできるため、ムダに捨てる機会が減るというわけだ。
■野菜耐久テストを実施
前置きが長くなったが、肝心なのはいったいどれくらい食材が長持ちするのか? という点だ。そこで、実際に、野菜を中心に食材を冷蔵室に保管して、どれくらい鮮度が持つのかをテストしてみた。
まずは、冷蔵庫の湿度をチェック。部屋の湿度が60%強(6月)の状態のとき、冷蔵庫の庫内を計測してみたところ、結果は約70%。開け閉めの頻度や庫内の食材の数や状態によっても異なると思われるが、確かに高めに湿度がキープされている。
屋内の湿度は60%強 | 冷蔵庫内の湿度は70%強とやはり高い |
東芝のホームページによると、10年前の同社製のシングル冷却の冷蔵庫の場合、湿度は約30%とのことなので、いかに高い湿度がキープされているかがよくわかる。
ということで、早速、テスト開始。ターゲットは、当日の夕食で出てきた市販のカットサラダの残り。これをお皿に入れ、ラップなしで冷蔵室にある「Ag抗菌ケース」に置いておいた。
【5/27 21:00】夕食で残ったカットサラダ。キャベツ、キュウリ、ニンジン、トマトとまだまだ新鮮な状態 | 【5/27 11:00(14時間後)】昼前に取り出してみたところ、ほとんど変化なし。ラップなしなので、キャベツやニンジンなどがあっという間にしなびてしまうかと思ったが、まったく影響がない様子。キャベツを1つまみ食べてみたが、味も問題なし |
と、サラダでテストしてみたところ、1日半なら問題なく保管できることが確認できた。ラップなしという状況での保管を考えると、かなり優秀な結果ではないだろうか。これなら、食事の残りものに関しては、ラップなしで入れておいても翌日なら余裕で鮮度をキープした状態で食べられることになる。
■調理前なら1週間も余裕
もちろん、調理前の食材なら、さらに長期間鮮度をキープすることもできる。セロリやニンジンなどを袋から出した状態でAg抗菌ケースに保管しておいたところ、1週間後でもまだ鮮度がある程度の鮮度がキープされていた。
【ニンジン(1週間後)】表面の水分が失われ、若干、しなびかけてはいるが、割ってみるとまだ中はみずみずしく、食感も残っていて、問題なく食べられる状態。火を通すなら、もう数日は持つと思われる | 【セロリ(1週間後)】葉の部分が若干しなびてきてはいるものの、買ってきたばかりのときと遜色ない鮮度をキープ。食べてみても、パリッとしていて、みずみずしい。サラダでも十分食べられるレベル |
カット野菜のような調理済みの食材の場合、やはり空気に触れる面積が多くなり、いかに高湿度とは言え長期間の保管はラップがないと厳しい。しかし、調理前の食材なら、基本的に皮などに保護されているため、より長期間の保管が可能だ。「鮮度名人」という名前もダテじゃない。
ただし、調理前の野菜なども、できれば袋に入れた状態で保管した方がより長持ちするのは明らか。買ってきたときに入っていた袋などで保管すれば、さらに長期間鮮度をキープできそうだ。
■プラチナプラスで脱臭・除菌も
しかも、「鮮度名人 GR-A56R」には除菌・脱臭機能として「プラチナプラスユニット」という機能も搭載されている。これは、オゾン・紫外線・ヒドロキシラジカルの効果によって庫内の冷気を脱臭・除菌する機能で、このおかげでラップなしで食材を収納しておいてもニオイが気にならないし、庫内の浮遊菌なども除菌することができるようになっている。
野菜の老化の原因となるエチレンガスやアルデヒド系ガスも分解できるようになっているので、これも野菜の鮮度をキープできた要因だろう。正確に検証していないが、そういえば、冷蔵庫を買い換えてから、痛みやすかったフルーツ(アメリカンチェリーやイチゴ)などが、長持ちするようになったような気もする。
このように「鮮度名人 GR-A56R」では、i-ツイン冷却による高い湿度、Ag除菌ケースやプラチナプラスユニットによる脱臭・除菌効果など、さまざまな面で、食材の鮮度を長持ちさせる工夫がなされている。
最初は野菜室がないことに違和感を感じたうえ、ラップなしで食材をしまうことにも抵抗があったが、実際に使ってみると食材を何も考えずにどこにでも入れておけるうえ、おまかせで鮮度もキープしてくれるのがありがたい。食材が傷みやすいこれからの季節にとても重宝しそうだ。
また、妻によると、野菜や残り物の食材が一緒に入っているので、一目で冷蔵庫内をチェックでき、メニューを考えたり、買い物が必要な食材をチェックするのも楽になったという。
さて、次回は、夏場に活躍する冷凍機能、製氷機能についてチェックしていきたいと思う。
2009年6月15日 00:00
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)