特別企画

<ルンバがある暮らし>~犬と暮らす30代DINKS世帯の場合

 発売から10年、累計販売台数100万台を達成したロボット掃除機「ルンバ」。室内を自動で掃除してくれる製品だが、その使い方は従来の掃除機とは大きく異なる。今回は、2回に渡り、実際にルンバを愛用いている人がどのようにルンバとつき合っているかをご紹介している。

 1回目は、4台のルンバと暮らす家電スペシャリストの滝田勝紀氏の場合を紹介したが、2回目の今回は、弊誌編集長を務める阿部の場合を紹介する。犬と暮らすDINKS世帯では、ルンバをどう使っているのだろう。

DINKSの我が家にとってなくてはならない家電

自宅で使っているルンバ880。充電スタンドで充電している状態

 朝、家を出る前にロボット掃除機のスイッチを押す。それはここ何年も変わらない習慣だ。初めて使ったのは、もう5年ほど前になるだろうか。「ロボットが掃除? ちゃんとできるのかしら……」という不安を持ちつつ使い始めたが、今ではなくてはならない家電として愛用し続けている。

 仕事柄、色々なロボット掃除機に触れる機会があり、これまで何台ものロボット掃除機を試しているが、結局いつもルンバに戻ってきてしまう。それは、共働きで昼間は自宅に誰もいないといういわゆるDINKSのライフスタイルにマッチしているからだ。

 現在では、様々なロボット掃除機が出回っており、私自身、色々な人から「どの製品が良い?」と聞かれることも多い。その時にまず私が返すのが、「ロボット掃除機をいつ使おうと思っている?」ということ。私のように、昼間の外出時に使うのか、それとも自宅にいてほかの家事をしながら使おうと思っているのか、それによって選ぶ機種は大きく違ってくる。ルンバはどうかというと、外出時に使うべき製品だ。

 運転音はそれなりに大きいし、同じところを何度も掃除するので、運転時間も長い。自宅にいながら使うのだったら、「これならば自分でやった方が早い」と思うだろう。そういう人には、運転音が控えめで、駆動時間が短いモデルの方が向いている。

 しかし、私がルンバを気に入っているのは、なによりも掃除能力の高さだ。時間をかけて、同じところを何度も掃除するので、とにかく仕上がりが違う。毎日使い続けると、自宅のフローリングにホコリやゴミが落ちていることがなくなる。たまに動かすのを忘れていた時など、「あ、今日はルンバを動かさなかったな」とはっきりわかるほどだ。

犬がいても使い方次第でOK

 そんな私でも、ルンバから遠ざかっていた時期がある。それはペットを飼い始めた時だ。小型の室内犬なので、これまで人がいなかった昼間も常に家にいる。最初、試しにルンバを使ったところかなり怖がっていたので、しばらく使うのを止めていたのだ。

 でも、その期間は実は1カ月ほどだった。それまで毎日ルンバに掃除してもらっていたのをいきなり止めたことで、室内のゴミやホコリが目に付くようになった。犬がいることで、余計に室内のゴミも増えた。帰宅するのは大抵夜19時を過ぎたあたりで、そこから食事を作ったり、洗濯物を畳んだり、食事の後片付けをしているとあっという間に時間が経っており、それから掃除機を毎日かけるのは難しい。

 「やっぱりルンバがいないとダメだ!」と思った瞬間だ。

 対策として使ったのは、大きめのケージ。仕事に出かけるときはいつもそのケージに犬を入れて、その後ルンバのスイッチを入れるようになった。犬も最初は怖がっていたが、その後はルンバにも慣れて、ケージに入れなくとも大丈夫になった。

最初はかなり怖がっていたが、使い続けるうちに慣れた。今では犬が室内にいる状態でもルンバを起動させている

 室内にペットがいても、いや、いるからこそルンバを使いたいという人は多いと思うが、ポイントとしてはまずルンバに慣れさせること。人がいる時に、ルンバを起動させて、大丈夫だよと安心感を与える。後は、犬の逃げ場所(我が家の場合はケージ)を確保しておくのも大事だと思う。

使い方にはちょっとしたコツが必要

床の上にものがある状態でも、ルンバを使うことはできる

 ルンバを上手に使うにはちょっとしたコツがある。まず床の上にあるものはさっと片付けた方が良い。とはいえ、これは普通の掃除機を使うときも同じこと。ロボット掃除機だから、というわけではない。

 しかし、ケーブル類には気をつけたい。家電製品のケーブルをコンセントに差している場合は問題ないが、コンセントから外れているものや、携帯電話の充電用ケーブルなどはブラシに絡まりやすい。あらかじめ床の上から引き上げておいた方が良い。ラグなどもそのままにしていると、ルンバがどんどん動かしてしまうので、滑り止め用のマットなどを使って床に固定するのが良いだろう。

ルンバにも苦手な場所がある。我が家の場合は、玄関の段差が苦手。付属のバーチャルウォールなどであらかじめ入らないようにしておく

 実は、初めてルンバを使った時、「ロボットに掃除してもらうんだから」と意気込んで、4脚あるダイニングチェアを全てテーブルの上に乗せてから使ったりしていた。当然、そんな必要はなく、すぐに止めてしまったのだが、要はそれほど意気込みすぎないのが大事。

 何度か使っているうちに、「今日もあそこで止まっていた」、「あの段差は苦手なんだな」とかルンバのクセが分かってくる。それに併せて使い方を工夫していくのが良いだろう。ずぼらなことを言ってしまえば、床の上にものがあったとしても、ルンバは掃除してくれる。ただ、それを移動させてしまったり、ものが置いてある場所は掃除しない、というだけだ。

 何年もルンバを使い続けている私だが、ルンバに完璧さは求めていない。人がいない時に自動で掃除するという製品なのだから、掃除できない場所があるのを当たり前だと思っている。

 例えば、トイレの中や洗面所など、水気のある場所はあらかじめドアを締めて、掃除させないようにしているし、犬のゲージが置いてある部屋もルンバが入れないように扉を全開にしていない。そういった場所は、自分で掃除する必要がある。

 逆にいうとそれ以外の部屋、LDKや寝室、廊下は全てルンバが掃除してくれている。つまりベースはルンバ、それ以外の場所は人が掃除している。とはいっても、毎日ルンバで掃除しているリビングなどは補助的に掃除する必要もないくらい、隅々までキレイになっている。空気清浄機や加湿器などの家電周りや、椅子の下やテーブルの脚周りまでしつこいくらいに何度も掃除してくれるので、改めて掃除機をかける必要は感じない。

LDKのキッチンスペースもルンバが掃除してくれる
もちろん、廊下の掃除もルンバが担当
椅子の足回りまで残さずゴミを取ってくれる

最新モデルの進化はすごい

 ルンバは日本で展開してから10年経つ製品なので、一度購入したけど、性能に満足できなかった、あるいは相性が悪かったなどの理由で、もう使っていないという人も多いかもしれない。

 そういう人にはぜひ、最新モデルをチェックしてもらいたい。確実に進化している。例えば私が初めて使ったモデルでは、どこにいこうか考えているような動作をするようなことがあったが、最新モデルの「ルンバ 880」では、迷いなくずんずん突き進む。また、1回の掃除で取れるゴミの量も大幅にアップした。ルンバが通った後は確実に綺麗になっているので、見ていて気持ちが良いくらいだ。

 最大の進化はブラシにある。掃除機のお手入れで面倒なところと言えば、なんといっても回転ブラシ部分。髪の毛が固く絡まっており、キレイに取り除くにはハサミなどを使って、それなりに時間もかかる。それがルンバの新しいブラシは毛がらみが一切ない。毛が絡まない新しい機構と素材を採用しており、ブラシ部分のメンテナンスは完全フリーなのだ。

最新モデル880の裏側
1~2回の掃除でここまでごっそりゴミが取れる
使い始めて半年以上経つが、ブラシのお手入れは全くしていない。毛が絡まってしまうことが一切ないからだ

 もちろん、ダストボックスのフィルターのお手入れなどやらなければならないことはあるけれど、勝手に掃除して、勝手に戻ってきてくれるのだから、それくらいはヨシとしよう。

くらしを豊かにしてくれるルンバ

キッチンの棚の下までしっかり毎日掃除してくれる。人間だったらこうはいかない……

 この10年の間に使い始めた家電で、今なくなったら困ると思う製品が3つある。1つはルンバ、後は食器洗い乾燥機とフードプロセッサーだ。いずれも人の代わりに作業してくれるというのが共通点。フルタイムで編集の仕事をする私にとって、毎日掃除機をかけるのはとても難しいし、食器洗い乾燥機を使うようになってからは夫との会話が増えた。フードプロセッサーが高速で一気に仕上げてくれるのを見てからは、涙を流しながら玉ネギのみじん切りをしようとはとても思えない。

 はっきりいって、いずれも生活必需品ではない。代わりに人がやれば済む話だ。でも、これらの便利な製品を活用することで、限られた時間を有効に使えるようになった。

 SkypeやLINEなどのアプリも生活必需品ではないが、今やなくてはならないものになっている。世界中どこにいても同じように連絡を取れるようになり、しかも顔を見ながらの通話も可能だ。技術の進化に伴って、快適さや便利さを追求した製品は、今後益々増えていくだろう。これから先、ルンバがどう進化していくのか、ますます目が離せない。

協力:セールス・オンデマンド

阿部 夏子