LED電球、どれを買う?
NEC「LIFELED'S (ライフレッズ) 小型電球形 LDA6L-G-E17/S」
~“いつもの風景”を大きく変えない、明るさ40W形相当の小型LED電球
by 藤原 大蔵(2013/2/28 00:00)
よくあるLED電球のデザインで、40W形の広配光。まん丸のグローブは小型電球らしい
LED電球は素のままでは光が広がりにくいが、最近は内部機構に工夫を凝らすことで、白熱電球並みに光が広がる「全般配光形」のLED電球が次々と登場している。しかしE17口金タイプでは、小さな小型電球サイズに、白熱電球に近い明るさと拡散性の両方を収めることの難しさからか、形状やデザインが「小型電球らしい見た目」から離れてしまう事も起こりうる。
そんな中から、今回はNECライティング「LIFELED'S(ライフレッズ) 小型電球形LEDランプ 全般配光形LDA6L-G-E17/S」(以下、ライフレッズ)を紹介しよう。
本製品の特徴は形状にある。E17口金の全般配光形LED電球は、前述の通り小型電球らしい見た目と印象が違うものが多い。しかしライフレッズは、見た目も大きさもよくあるE17口金のLED電球なのに、白熱電球のように光が広がる。また、光源部のグローブは、ミニクリプトン電球と同じ径でまん丸。小型電球と交換しても、器具の見え方は変わらなそうだ。
明るさを表す全光束は500lmで、小型電球40W形に相当する(日本電球工業会の規定で440lm以上)。配光角度は290度で、小さくて丸い「拡散用カバー」と内部の「広配光用レンズ」を組み合わせて、小型電球並みの拡散性を実現している。しかも、密閉器具、断熱材施工器具にも対応している。
メーカー名 | NECライティング |
---|---|
シリーズ名・品番 | LIFELED'S (ライフレッズ) LDA6L-G-E17/S |
全光束 | 500lm |
定格消費電力 | 6.0W |
口金タイプ | E17 |
光色 | 電球色相当 |
小型電球と比較した光量 | 40W形相当 (ランプ単体) |
定格寿命 | 40,000時間 |
調光器対応 | - |
密閉器具対応 | ○ |
断熱材施工器具 | ○ |
配光角度 | 290度 |
平均演色評価数 | Ra80 |
実売価格 | 2,980 円 (yodobashi.com) |
※比較用の電球形蛍光灯は、NECライティング「コスモボール・ミニ」を使用
※E26口金の照明器具では、E17口金の変換アダプタを使用
【基本スペック編】
サイズ比較
実測したサイズは35×80mm(直径×高さ)だった。背はミニクリプトン電球(E17口金の小型電球)よりも13mm高いが、直径は全く同じ。まん丸のグローブが、ミニクリプトン電球の印象にとても近い。口金に向かって細くなる白色のヒートシンクはやや大きめだが、凹凸の無い滑らかな仕上げ。全体的には、スッキリとした電球らしいまとまりのあるデザインと言えるだろう。
重量は実測で44gだった。背が高く、ヒートシンクも大きめという見た目に反して、全般配光形の小型電球形LEDの中では特に軽い。もちろん、実際に使用して、器具が傾くような事は全く起こらなかった。
器具に取り付けたようす
シェード(笠)が深いタイプの器具に取り付けた場合、器具にきちんと収まった。背が高い分、電球の先が多少せり出すが、球体のグローブがとても電球らしい。放熱部は多少見えても、白色なのでさほど気にならない。
一方、電球を横向きに取り付ける、我が家の小さめのダウンライト(75×80mm[開口部の幅×深さ])には取り付けられず、可変式のソケットを使う必要があった。取り付ける器具のサイズを、前もって確認しておきたい。
光の広がりかたと配光性
配光角度290度の“全周配光”とパッケージ上で謳うだけに、力強い光が床面にもしっかり届いた。光が四方八方に、遠くまで広がっている。
電気スタンド型の器具との相性はとても良い。シェードはムラ無く輝き、シェードの上下から力強い光がバランス良く届く。器具のデザイン性をしっかり引き出し、光空間の印象は電球そのものと言って良いだろう。空間を彩るインテリア照明、手元を明るく照らす読書灯として、ミニクリプトン電球と同じように活用できるだろう。
小型のペンダント型の器具とも相性が良かった。シェードは全体的に均一に輝き、ムラがほとんどできないからだ。ミニクリプトン電球のように、口金付近に光が偏らず、器具の柔らかな表情を十分引き出している。
明るさ(55cm直下の照度)
直下の明るさは、スペックからするといまひとつだった。本製品の全光束は500lmなので、490lmの40W形ミニクリプトン電球を上回る明るさを期待したが、直下照度が437lx(点灯15分後)で、ミニクリプトン電球に30lx足りない。とはいえ、数値の差ほど、見た目の印象は変わらなかった。交換しても問題ないだろう。
なお点灯中は、電球からジーという雑音がすることもなく、ラジオにノイズが乗ることもなかった。
小型ダウンライトには直接取り付けられない背の高さと、直下照度がミニクリプトン電球の明るさを超えなかった点は多少気になった。だが全体的に見れば、白熱電球と遜色ない光の拡散性と、電球が覗いても違和感の少ない見た目は好印象。器具にハマれば、表情や雰囲気を十分引き出してくれそうだ。
【実使用編】
ここからは実際の生活シーンに取り付けるが、結論を先に言ってしまうと、ほぼ全てのシーンで良い結果が得られた。40W形ミニクリプトン電球と取り替える、トータルバランスに優れた全般配光形の小型LED電球としてお勧めしたい。
結論を前倒しした理由は、「小型ダウンライトに直接取り付けられない」以外、欠点らしいものが特に見当たらないため。とにかく取り付けられさえすれば、明るさ、拡散性、雰囲気、演色性に電球の見た目、いずれもLED電球に取り替えたストレスが少なく、「フツーに良い」のだ。
それでは、それぞれのシーンをじっくりレビューしよう。なお、ダウンライトを使用するシーンでは、先の【器具に取り付けたようす】の項で使用した斜め取り付け器具用の可変式ソケットを利用し、比較基準を揃えて撮影している。
玄関
先ほど照度を計測した際に、白熱電球よりも明るさがいまひとつだったので心配していたが、実際の玄関の器具に付けたところ、40W形ミニクリプトン電球よりも格段に明るくなった。ライフレッズは、電球の側面に輝きが集中しているため、側面が覆われない器具に使ったことが功を奏したと思われる。
細かいことを言えば、光色の赤みが抑えられているようだが、全体的に温かく人を迎え入れるような雰囲気が演出できるだろう。映し出される影も穏やかだ。
浴室
浴室にもバッチリだ。電球が器具に完全に覆われても、光を通す器具ならば明るさは衰えず、ミニクリプトン電球と変わらない明るさが再現された。光色は暖かみがあり、浴室の隅々までしっかり広がった。リラックスタイムを、ゆったりした気持ちで過ごせるだろう。
トイレ
トイレにも全く申し分ないだろう。影が柔らかく、落ち着いた雰囲気が演出できる。40W形小型電球を使っているなら、取り替えればさらに明るさがアップするだろう。赤みを抑えた光色は暑苦しさが軽減されるので、狭い空間でもより快適に過ごせそうだ。
なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。
テーブルランプ
テーブルランプの場合、明るさは照度を計測した状況に似た結果だった。細かいことを言えば、テーブル面の明るさがやや抑えられて見えるが、ミニクリプトン電球よりも広い範囲が照らされ、全体的に見ればしっかり明るいと感じられる。光色、演色性ともに良い印象だった。
また、器具が熱くなりにくいので、シェードに直接触れて傾きを調節することも大丈夫。器具が顔の側にあっても熱が感じられず、快適だ。
リビングルーム
ここではE26口金の変換アダプタを用いて電球を2個使い、リビングルームの全体照明として使用した。
透過タイプの器具との相性は非常に良かった。器具のシェードを通して光が部屋全体に行き渡り、ミニクリプトン電球に全くひけをとらない明るさになった。シェードは均等に輝き、器具の雰囲気を十二分に引き出している。照らされた天井面の反射光が、間接光として柔らかく広がり、明るくて落ち着きのあるリビングルームが演出できた。
非透過タイプの器具の組み合わせもなかなか良かった。電球側面の最も明るい光がシェードで遮られてしまうので、全体的な明るさはわずかに落ちる。しかし、並べて比較しない限り、極端な差はほとんど感じないだろう。ミニクリプトン電球と同じような光と影のコントラストも十分に楽しめ、透過タイプの器具とは違った雰囲気が味わえる。
複数の局所照明を、立体的に配置した使い方もお勧めだ。強い影ができにくい器具の配置は、部屋全体が柔らかな光に包まれ、より一層くつろいだ落ち着きのある雰囲気が楽しめる。それぞれの器具の表情も、しっかり引き出している。
リビングルーム(インテリア照明)
密閉型のインテリア照明にも活用しやすい。器具に光のムラは全く浮かばず、ミニクリプトン電球と遜色ない明るさ、印象だった。ただし、器具が近すぎると眩しいので、距離を置いた使い方が良いだろう。
食事の風景
食事のシーンにも良かった。光色は蛍光灯に近い電球色だが、演色性を表す平均演色評価数はRa80と高い(ちなみに白熱電球はRa100)。肉眼では、食事すべてが自然な色合いで、おいしそうに見えた。また、木のテーブルの自然な色合い、食器の材質による白さの違い、ランチョンマットの本来の色合もしっかり再現された。テーブルと器具の距離は80cmだったが、1灯でしっかり明るかった。
40W形ミニクリプトン電球と交換で、元が取れるのは【1年4カ月】
カタログ上の消費電力は「6.0W」だが、実測では5Wだった。40W形ミニクリプトン電球と同じ、またはそれ以上の明るさが期待できるうえ、電気代は1/7に抑えられる。電球代は1年4カ月使っているうちに回収でき、さらに10年以上も使い続けられる。これは小型電球形LEDの中では早い方だ。
電球形蛍光灯からの交換もかなり現実的と言えるだろう。試算すると、蛍光灯を3個目に取り替える5年7カ月で、ランニングコストが逆転する。こちらも同じタイプのLED電球の中では早い部類に入る。電球形蛍光灯よりも格段にスリムで、大幅に明るく演色性も高い。点灯回数による寿命への影響も無ければ、点灯した瞬間から明るいという大きなメリットもある。すでに数年使っているなら、取り替える価値は十分にあるだろう。
光源 | 実測 消費 電力 | 1カ月 | 3カ月 | 半年 | 1年 | 1年 4カ月 | 2年 | 4年 | 5年 7カ月 | 8年 1カ月 |
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ライフレッズ E17 LDA6L-G-E17 | 5W | 3,007円 | 3,060円 | 3,141円 | 3,301円 | 3,408円 | 3,622円 | 4,265円 | 4,773円 | 5,550円 |
ミニクリプトン40形 LDS100V36WWK | 35W | 436円 | 807円 | 1,363円 | 2,727円 | 3,469円 | 5,203円 | 10,406円 | 21,610円 | 30,740円 |
電球型蛍光灯 EFD10EL/7-E17-C2 | 7W | 817円 | 890円 | 999円 | 1,218円 | 1,364円 | 1,656円 | 3,312円 | 4,786円 | 5,844 |
※ミニクリプトン電球は8カ月ごと、電球型蛍光灯は2年9カ月ごとに 電球代を加算する (切れた電球代の購入費として)
※電気代は1kWh=22円で計算
“いつもの風景”を大きく変えないLED電球
本製品の魅力は、ミニクリプトン電球の見た目も雰囲気も大きく変えずに、「40W形相当の明るさ」と「白熱電球並みの広配光」を実現した点だ。独特なデザインの全般配光形の小型LED電球が多い中、器具から覗く姿がミニクリプトン電球を彷彿とさせるのは、現時点でライフレッズのみ。個人的には、どこかホッとする印象がある。
弱点については、先にも述べているが、小さなダウンライトに直接取り付けられない背の高さぐらいだろう。それ以外は概ね良好で、ミニクリプトン電球がかもし出すような明かりの雰囲気が、当たり前のように楽しめる。光色は多少変わっても演色性は十分高く、大幅な節電もできる。さらに言えば、高価な全般配光形の小型LED電球の中で、価格が3,000円を下回るのも嬉しい。
使用シーンとして、玄関やトイレ、浴室は特にお勧めしたい。柔らかな雰囲気、居心地の良さはそのままに、明るさがアップするだろう。明るさ、演色性の良さから、リビングルームなど、生活の中心の明かりとしてももちろん問題ない。取り替える際のストレスを最小限にとどめた、“いつもの風景”を大きく変えないLED電球として、大いにお勧めしたい。
・40W形相当の明るさで、光が広がる。小型電球と変わらない光空間が再現される
・背は高めだが、丸いグローブが電球らしい。交換しても普段の風景は大きく変わらない・密閉器具、断熱施工器具にも対応。場所を選ばず取り付けられる
・40W形ミニクリプトン電球と交換した場合、1年4カ月で電球代が回収できる(1日8時間使用)