LED電球、どれを買う?

アイリスオーヤマ「ECOLUX 人感センサー付き 小型電球形」

~自宅の明かりを“センサーライト化”するE17口金のLED電球

狭い場所に使いやすい、小型電球25W相当のセンサー付きLED電球

アイリスオーヤマ「ECOLUX(エコルクス) 人感センサー付き 小型電球形 LDA3L-H-E17SV」。明るさを示す全光束は250lmで、日本電球工業会の基準では小型電球25W形相当となる

 「こまめに明かりを消す」というのは、最も効果的で簡単な節電方法ではあるものの、つい忘れてしまいがちだ。特に玄関、廊下、トイレ、洗面所など、短時間しか使わない場所で頻発しやすい。ドアを閉めてしまうと消し忘れにも気づきにくく、朝に点けて半日以上も点けっぱなしだった事も1度や2度では済まない。

 ついやってしまう「消し忘れ」から開放してくれるのが、センサー内蔵のLED電球だ。人の居る・居ない、をセンサーが感知して、明かりの点灯・消灯を電球が勝手にやってくれる。「使ったら消す」という、もっとも有効な節電行動が、電球に任せっきりにできる。

 人感センサー内蔵のLED電球は以前にも紹介したが、今回紹介するのはその小型電球版。E17口金の照明器具に取り付けられる、アイリスオーヤマの「ECOLUX (エコルクス) 人感センサー付き 小型電球形 LED電球 電球色 LDA3L-H-E17SV」だ。現在使用している電球を交換するだけで、自宅の照明器具が工事なしで簡単に“センサーライト化”できる。

メーカー名アイリスオーヤマ
シリーズ名ECOLUX (エコルクス)
人感センサー付き 小型電球形
品番LDA3L-H-E17SV
全光束250lm
定格消費電力3.4W
口金タイプE17
光色電球色相当
小型電球と比較した明るさ25W形相当 (ランプ単体)
定格寿命40,000時間
調光器対応-
密閉器具対応-
実売価格2,730円 (yodobashi.com)
センサーの感知範囲および適応器具。アイリスオーヤマの製品情報ページより抜粋

 全光束は250lmで、小型電球25W形に相当 (日本電球工業会のガイドラインにおいて230lm以上)。人感センサーは赤外線受動式で、人が発する熱の動きにのみ反応する。人が居なくなって5分後に自動的に消灯する。また、人感センサーは「明かりセンサー」も兼ねており、周囲の明るさが100~150lxある時には点灯しない仕組みだ。

 今回は、我が家の玄関やトイレなどのダウンライトに取り付けて、その実力をレポートしよう。

※ミニクリプトン電球はパナソニックの「LDS100V22WWK」(252円で購入)を使用
※比較用の電球形蛍光灯は、NECライティング「コスモボール・ミニ」を使用

取り付けは簡単だが、センサーの向きに注意

 実測したサイズは35×84mm(直径×高さ)だった。E17口金の小型電球(ミニクリプトン電球)よりも背が17mm高く、高さ87mmの電球形蛍光灯並みに大きい。だが、放熱部も含んだ電球の直径は小型電球と同じで、口金付近も19mmで小型電球とまったく同じだった。

 なぜここまで背が高いかというと、電球の先に赤外線センサーが付いているから。電球のグローブから、センサー部が3mmほど飛び出ている。しかし、高い位置に取り付けるのであれば、さほど気にはならないだろう。重量は50gで、小型電球形としては一般的な範囲。器具への負荷は心配しなくてよいだろう。

中央がエコルクス。背は84mmとミニクリプトン電球よりも17mm高いが、口金付近は同じ径(19mm)だった。重量の50gは、小型の全般配光形LED電球中では普通
電球の最大直径は35mm(中央)で、ミニクリプトン電球と同じ。電球の先に人感センサー付いている
電球の先に約12mmの「人感センサー」が付いている。体温のある人の動きに反応し、周囲の明るさも感知する

 取り付けは普通の電球と同じ。器具の電源を切り、それまで使っている電球と交換するだけだ。

 注意点は、センサーを正しく作動させるために、電球が真下に向く、開放形の器具に取り付けること。我が家のダウンライトは、電球を斜めに取り付ける小さい(75×80mm[開口部の幅×深さ])タイプなので、可変式のソケットが必要だった。電球の先が器具から飛び出してしまうが、器具とのバランスはさほど崩れずに収まった。

エコルクスは我が家のダウンライトにそのまま取り付けられなかった。センサーを真下に向けるため、斜め付けダウンライト用可変式ソケット「RITEX E17LED電球専用 可変式ソケット DS17-10(写真)」を利用した。実売価格はAmazonで約600円ほど
【ミニクリプトン電球:40W 可変ソケット付き】
ミニクリプトン電球は器具にすっぽりと収まる
【センサー付きエコルクス 可変ソケット付き】
多少電球の先が飛び出すが、収まりぐあいはまずまず。天井に取り付けると、見上げない限り、見た目の違い、放熱部はほとんど気にならないだろう

 なお、アイリスオーヤマでは、斜め取り付けタイプのセンサー付きLED電球「LDA3L-H-E17SH」という商品もある。径の大きな斜め口金のダウンライトの場合は、こちらを選ぶと良いだろう。

明るさは25W形小型電球とほぼ同じ。拡散性は一般的なLED電球並み

 明るさは、まずまずといったところだろうか。55cm直下照度は273lxで、25W形ミニクリプトン電球(269lx)とほぼ同じだった。直下はほぼ同じでも、壁面はむしろ明るい印象だ。交換して明るさの問題はなさそうだ。

【ミニクリプトン電球:25W 269lx】
光源を550mm上方にセットし、直下照度を計測した
【センサー付きエコルクス:273lx】
直下の値は25W形ミニクリプトン電球よりもわずかながら上まわった
【ミニクリプトン電球】
ソケットぎりぎりまで明るい。電球を中心に床面に近いところから光が広がっている
【センサー付きエコルクス】
光源部から、上、斜め上方向中心に光が拡散している。電球の中央にあるセンサーの影響は全く見られなかった。若干床面へも光が届いており、遠くまで届く印象もある

 光の拡散性は、一般的なLED電球 (配光角度120度前後)と変わらない。光源部から上方、斜め上方向を中心に光が広がり、遠くへもしっかりと届く印象がある。全方向タイプではないが、ある程度は口金方向へも光が届く。ペンダントライトに取り付けても、極端な光のムラはシェードに浮かばなかった。センサーが隠れなければ、ペンダントタイプもOKだろう。

 なお点灯中は、電球からジーという雑音がすることもなく、ラジオにノイズが乗ることもなかった。

点灯している様子。中央にセンサーはあっても、拡散性に影響はなさそうだ
【ミニクリプトン電球】
乳白ガラス製のペンダントの上方に光が偏る
【センサー付きエコルクス】
直下に強い電球のため、器具の上方は暗くなる。しかし、全体的に見ればさほど気にするムラにはならなかった。センサーが隠れなければ、ペンダント形もOKだろう

玄関や廊下に大活躍

 25W形小型電球の明るさがあり、拡散性も一般的なLED電球並みなら、実生活で十分に活躍できそうだ。というわけで、自宅に自動点灯・消灯すると便利そうな場所に取り付けてみた。場所は、玄関、廊下、トイレ、洗面所の4カ所。どこもつい消し忘れやすい場所だ。以降、白熱電球と比べた写真を中心に紹介する。

 なお、E17口金のセンサー付き電球形蛍光灯は現存しないので、実使用では割愛する。

 玄関へはこの上なく便利だった。前述の直下照度の調査では、白熱電球との明るさの違いが見られなかったが、実使用では、25W形ミニクリプトン電球よりも明るく、光もたっぷり広がる印象だ。光色はやや白っぽくなるが、暖かみがあり、玄関に相応しい。

 特に便利なのは、帰宅してドアを開けたとたん、パッと玄関が明るくなることだ。赤外線センサーは、物の動きではなく熱の動きに敏感に反応するので、真っ暗でもちゃんと点灯する。暗闇でスイッチを探す手間が一切無くなった。反対に、外出する際も玄関に向かえば自動で点き、そのままドアを閉めれば、5分後には消えてくれる。

【ミニクリプトン電球:25W】
玄関としては抑え目の明るさだが、実用的な明るさはある
【センサー付きエコルクス】
ミニクリプトン電球よりも全体的に明るくなった印象だ。光色は異なるが、暖かみがありふさわしい
玄関で使用した様子。ドアを開いて人を感知した瞬間に点灯する。暗闇の中手探りでスイッチを探す必要もなくなった上、明るい玄関が出迎えてくれる

 廊下にもうってつけだ。我が家の廊下に窓は無く、いつも暗い。トイレや洗面所に向かうたびに一瞬だけ通るが、どうせまた通るからと、明かりはいつも点けっぱなしだった。しかし、センサー付きに変えると、必要な時に瞬時に点灯し、あとは勝手に消えてくれる。通り過ぎるような場所でも、快適さと節電が両立できる。

廊下の様子。ドアを開ければ瞬間的に点いてくれる。明かりを点けたり消したりの煩わしさから開放された

トイレや洗面所にもバッチリ。使用中に消えることはまずない

 トイレや洗面所にも大いにお勧めだ。光が壁面から床までしっかり広がり、十分に明るいと感じられた。これまでは25W形よりも明るいLED電球を使っていたので、多少は暗くなってしまうが、それよりもスイッチレスで点灯・消灯してくれるメリットの方が勝った。

 トイレも洗面所も滞在時間は長いため、5分後に消灯する機能により途中でLEDが消えてしまわないか心配だったが、意図的に息を懲らして静止しない限り、そのような不都合は一度も起きなかった。センサーは人の少しの動きも敏感に感知するので、今までどおり、気兼ねなく過ごせた。

【ミニクリプトン電球:25W】
狭い空間のトイレならば、25W形でも案外イケる
玄関と同様に、エコルクスはミニクリプトン電球よりも明るくなった印象だ。暑苦しくない光色がむしろ良い
トイレで使用した様子。ドアを開けた瞬間、パッと明るくなる。使用中消える事も無く、消し忘れも無くなった
洗面所で使用した様子。スイッチが洗面所内にあるので、今までは暗闇と対面してから点灯していた。エコルクスのおかげで、ドアを開けた瞬間から明るいのは嬉しい

 付け加えて、スイッチがある場所の影響を受けないのが気に入った。これは玄関にも言える事だが、我が家の洗面所の明かりのスイッチは洗面所の中にある。それまでは、ドアを開けて暗い洗面所と対面してから明かりを点けていたが、今ではドアを開ければパッと明るい。快適さが格段に向上した。

キッチンでも便利

 キッチンにも応用できた。天井の2つダウンライトにそれぞれ本製品を取り付けてみたところ、ベースとなる全体照明としてはまずまずの明るさだった。さすがに料理中は手元灯を点ける必要はあるが、キッチンに向かえばパッと付き、離れてしばらくすると、フェードアウトするようにスウッと消える。突然消えないため、せわしなさがないのも好印象だ。

キッチンに使用した様子。キッチンの全体照明なら、2灯でまずまずの明るさだ。キッチンから離れるとフェードアウトするように消える。せわしなさが無い

 センサーが感知する範囲が広いので(高さ2.5mに設置した場合、半径2m)、ダイニングキッチンのように、キッチンとテーブルの距離が近い場合はセンサーが反応してしまう。そのため、キッチンと居室が分離している間取りの方が設置に向いているだろう。我が家の場合、キッチンとダイニングテーブルの間に太い梁があり、人感センサーが上手い具合に隠れるため、問題なく使用できた。

 演色性も悪くない。小型電球とは光色は異なるが、食事を照らしても色味がさほどくすまなかった。食事を彩る明かりとして現実的ではないが、小空間の明かりとして、十分な演色性がある。

【ミニクリプトン電球】
全体的においしそうに見える。しかし、モスグリーンのランチョンマットは茶色っぽく見えてしまっている
【小型電球形蛍光灯】
光色の良さに定評のあるNECの電球形蛍光灯だが、ミニクリプトン電球と並べると全体的に発色が悪く見えてしまう
【センサー付きエコルクス】
光色はミニクリプトン電球とは異なる。センサー付きは食事用の明かりに現実的ではないが、肉眼ではさほどのくすみも無かった。普段の明かりなら、蛍光灯よりも印象が良いので、演色性の問題は無さそうだ

待機電力もわずか。一度使い始めるとやめられないほど便利

 カタログ上の消費電力は3.4Wだが、実測で3Wだった(使用したワットチェッカーは、小数点以下は四捨五入される)。仮に1日8時間点けっぱなしの電気代を試算すると、1カ月の電気代は16円強。だが、長時間過ごさない場所ならば、センサーの働きで点けっぱなしにはならないので、より大幅な節約が見込めるだろう。

 自動消灯中の待機電力もごくわずかだ。カタログ値では0.1Wで、実測では0W。24時間待機させた電気代をカタログ値で試算しても、1カ月で1.55円、1年(365日)でも18円程度。便利さと消し忘れの無駄を考えれば、格安と言えるだろう。長期間留守にする時だけ、モトのスイッチを切ればよさそうだ。

【ミニクリプトン電球:25W】
消費電力23W。消費電力1Wあたりの発光効率は10.9lm/Wになる
【センサー付きエコルクス】
消費電力は3Wだった。公表されている消費電力から試算すると、発光効率は73.5lm/Wと高い
【待機時・センサー付きエコルクス】
センサー待機中の消費電力はワットチェッカーでは計測できなかったが、カタログによれば0.1Wと微量な電力を消費する。毎日24時間、1年間待機させた状態でも、電気代は20円にも満たない(1日0.05円x365日)

 周囲が明るい時は点灯しないのも良い。明るさセンサーの働きで、他の照明器具が点灯している時や、外光が十分入る時には点灯しなかった。電球にお任せで、無駄をしっかり省いてくれる。

明るさにも対応するセンサーの働き。周囲が明るければ、センサーが明るさを感知して点灯しない。十分に明るければ(100~150lx)無駄な点灯も抑えてくれる

 一方で、初期費用となる電球代は、同じ明るさのLED電球の約3倍の3,000円弱と高価。しかし、電気工事も要らず電球を取り替えるだけで、「点ける・消す」から開放される利便性は価格以上の魅力がある。

 お勧めは、紹介した玄関、トイレ、廊下、洗面所など、ドアで仕切られた比較的狭い空間だ。長時間過ごさない場所に実用十分な明るさもあり、ドアを開ければパッと点き、後は放っておくだけで静かに消えてしまうので、消し忘れはゼロになるからだ。

 スイッチレスで点灯・消灯してくれるのは、一度使いはじめると、とにかくやめられないほど便利だ。実践が案外面倒な「こまめな消灯」は、もう人感センサー付きLED電球に任せ、消し忘れと完全にサヨナラしてしまおう。

藤原 大蔵