家電製品ミニレビュー
パナソニック「オートエコ調光付ツインPa HHFZ4320」
パナソニック「オートエコ調光付ツインPa HHFZ4320」 |
照明機器なんてめったに買い換えるモンじゃないと思っていた自分が恥ずかしい……最初は「部屋の明るさを感知して蛍光灯の明るさを調節する」という機能に筆者の触手が反応したのだが、実際に使ってみるとその明るさに驚いた。いつの間にこんなに進化したんだっ! 蛍光灯のクセに!
その蛍光灯の名は「ツインパルック プレミア」。一般的な丸型蛍光管といえば、旅館などで見かける天井から吊り下げた照明に使われているタイプだ。「ツインパルック プレミア」は、最近家電量販店などで見かける細い丸型蛍光管で、最初から2重の輪っかになったタイプだ。
この「ツインパルック プレミア」を搭載し、なおかつ部屋の明るさに応じて、自動的に強さを調整するというのが、シーリングライト「オートエコ調光付ツインPa」だ
このレビューでは、シーリングライトそのものと、蛍光管の両面から見ていきたい。
メーカー | パナソニック |
製品名 | オートエコ調光付ツインPa HHFZ4320 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | 楽天市場 |
購入価格 | 29,800円 |
■従来器は風前のともし火に見えるほど明るい!
まずはその明るさから見ていこう。洋間の照明といえば、たいてい20Wの蛍光灯が4~5本入った角型シーリングライトだろう。
一般的な洋間のシーリングライト | 中は20W蛍光灯が4~5本と、常夜灯のナツメ球だ。点灯時に青白く光る点灯管(グロー管)は、機種によりあったりなかったり |
6畳間までなら4本タイプ、8畳間なら5本タイプ。12畳以上だと、4本タイプか5本タイプが2個天井に設置されているだろう。今まで気にもしていなかったが、直下でどのぐらいの明るさなのかを調べてみた。
ダイニングテーブル上の明るさは、174ルクス。以降の写真は、すべて絞り5.6、シャッタースピード1/125、ホワイトバランスは蛍光灯モードで撮影したもの | 従来型のシーリングライトでは、ローテーブルで129ルクス。新聞の文字の読みやすさを比較してもらうと分かりやすいだろう |
天井高は2.4mで、高さ70cmのダイニングテーブル上で計ると、174ルクス。高さ35cmのローテーブルだと129ルクスになった。リビングでテレビを見たり家族と団欒するには150~300ルクス、読書をするには300~700ルクス必要といわれているので、照明機器として合格点だ。
いっぽう「オートエコ調光付ツインPa」を調べてみると。
100%の明るさに設定して測定すると、ダイニングの上では570ルクス。ホワイトバランスは蛍光灯モードになっているが、普通の蛍光灯よりさらに青みがかっているので新聞も青っぽく見える | ローテーブルでも435ルクスとかなり明るい。人間の目は、オートホワイトバランス機能があるので、ここまで青くは見えない |
ダイニングテーブル上で570ルクス、ローテーブルで435ルクスと、かなり明るい。これなら新聞の株式欄をなめるように見ても、目に負担がかからないだろう。というか、照明を直視するとまぶしいぐらいだ。
写真の部屋は12畳のリビング・ダイニングだが、部屋の中央に1器つければ十分に明るい。消費電力は100Wと高めだが、従来型の蛍光灯を2器点灯すれば20W×10本で計200W。半分の消費電力で、従来型と同じ明るさだ。これだけでも50%の省エネルギーになるとは驚きだ。
■オートエコ調光でさらに省エネ
緑に光っているのはオートエコ調光モードを知らせるランプ。調光中は点滅する。光っていないもう一方の穴がセンサー部分だ。 |
このシーリングライトで特徴的なのは、部屋の明るさを検知して、蛍光灯の明るさを10段階に切り替えるという「オートエコ調光機能」だ。
機器には、写真のようなセンサーが付いていて、直下の直径約3mの明るさを10秒おきに見張っている。「そろそろ暗くなりだしたな」と照明をつけると、まだ西日が強く差し込んでいれば蛍光灯を暗めに点灯し消費電力を抑える。日が完全に落ちると最大で点灯し、部屋を明るく照らすという具合だ。
明るさは明暗の2段階ではなく10%~100%の10段階だが、使った感じでは無段階に感じる。10秒に1回、10段階の明るさをこまめに調整するのは、とても人間業ではないので、かなり省エネルギーに貢献できそうだ。パナソニック調べによれば、日中を中心に消費電力を60%カットできるという。
10% | 20% | 30% |
40% | 50% | 60% |
70% | 80% |
90% | 100% |
このシーリングライトが一番威力を発揮するのは、日当たりの悪い部屋で一日中照明をつけているという場合。点灯時間が長いだけに、電気代にも大きく跳ね返ってくることは確実だ。
難点はどんなに明るくなっても消灯はしない点。日中で明るくてもオートエコ調光モードでは、最低10%で点灯するようになっている。とはいえ、そこまで減光する以前に、自らスイッチを切るだろう。
実際の様子は、1日を1分半に縮めた次のムービーを見てもらうのが一番だ。外の明るさと蛍光灯の明るさ、左側の消費電力計と時計に注目して欲しい。
リモコン下部のカバーをスライドすると、設定用のボタンが現れる。 |
設置時の設定も特徴的だ。部屋の明るさは、壁紙や床、じゅうたんや家具の色などによって大きく変化する。このため取り付けしたあとでシーリングライトに、部屋がどれだけ明るいのかを記憶させてやる必要がある。また季節によってカーテンの色を変えたり、家具の模様替えをしたりといった場合も、部屋の明るさが変化するので、その都度設定する必要がある。とはいえ、操作はボタン1発で終わってしまうので、パソコンの設定のように頭を悩ますことはまったくない。
さらに部屋が真っ白、暗めのほうが落ち着く、部屋が狭いという場合は、最大の明るさを制限することが可能。100%だと明る過ぎる場合は、最大の明るさを70%または50%に制限できるので、さらにエコノミーだ。
■とにかくエコ! ECO! エコロジーへのこだわり
従来型の蛍光灯は、常夜灯として1~3W程度のナツメ球を利用しているが、このシーリングライトは常夜灯もエコにこだわりLED式になっている。消費電力は1W程度。球切れで交換する必要もない上に、常夜灯も明るさを6段階で調整可能だ。
従来型のナツメ球。電球が切れてもそのまま放置という人も多いだろう | 「オートエコ調光付ツインPa」の常夜灯はLED方式 | 8灯のLEDで、6段階の明るさに変えられる |
明るさはすべてリモコンで操作できるので、布団に入って調整もできる。なによりうれしいのが、DVDを見るとき部屋の照明を自由にコントロールできる点。壁スイッチまで歩くのはもちろん、立って紐を引っ張るまでもなく、手元で10%~100%まで無段階(LEDは6段階)に明るさを調整できるのだ。映像の雰囲気を壊さず手元の酒とつまみを照らす落としどころが必ず見つかるはず。ただ欲を言えば、2つほど明るさをメモリーできるボタンが欲しいところ。
電球のマークは、常夜灯を示す。この部分は、蓄光(夜光)になっていて暗がりでもぼんやり見えるようになっている |
壁スイッチで電源をON/OFFした場合は、前回の「オートエコ調光」「お好みの明るさ」(明るさ含む)「常夜灯」(明るさ含む)モードを記憶しているので、わざわざリモコンで消灯する必要もない。むしろこのシーリングライトでは、壁スイッチを積極的に切って待機電力(およそ1W)をカットするといいだろう。
またリモコンといえば紛失がつきものだ。テレビのリモコンを見失って苦労した経験が誰にもあるはず。シーリングライトもリモコンを見失うと、もどかしい思いをさせられる。ところがこのライトは、壁スイッチをすばやく2回ON/OFFすると、オートエコ調光→常夜灯→全灯→お好みの明るさ→常夜灯……と切り替えができる。もしリモコンを見失っても、懐中電灯を持ち出して大捜索する必要はない。壁スイッチで部屋を明るくしてからリモコンが探せるのだ。
消費電力で従来機と比べてみると、次のようになる。
・従来機(20W蛍光管×5灯タイプ;点灯管式)
点灯モード | 消費電力 | 明るさ(ルクス) |
5灯 | 107W | 181 |
3灯 | 66W | 104 |
常夜灯 | 5W | 5 |
・オートエコ調光付ツインPa(100W蛍光管×1灯;インバータ制御式)
点灯モード | 消費電力 |
100% | 95W |
90% | 85W |
80% | 68W |
70% | 56W |
60% | 45W |
50% | 40W |
40% | 35W |
30% | 29W |
20% | 24W |
10% | 17W |
常夜灯(明) | 1W |
常夜灯(5) | 1W |
常夜灯(4) | 1W |
常夜灯(3) | 1W |
常夜灯(2) | 1W |
常夜灯(暗) | 1W |
※点灯直後と安定してから(点灯開始から1~2時間後)では、消費電力に差が出る様子。安定後は数W下がる傾向にある。データは、安定後の値で筆者独自の調べによるもの。
■女性でも取り付けられる簡単さ
実際に奥さんにやってもらった |
従来器には、安定器(トランス)と呼ばれる鉄の塊の部品が蛍光灯の本数ぶん付いていたが、このシーリングライトは軽量で小型のトランスがいくつかあるのみで、重量は3.3kgと軽量だ。
天井への取り付けは、引っ掛けシーリングにカチッ!っと取り付けるだけ。壁スイッチをOFFにして、蛍光管を取り外してから作業すれば、安全に取り外しできる設計になっている。
1)引っ掛けシーリングにアダプタをセット
取り付け可能な引っ掛けシーリングは、以下のタイプとなっている。
角型シーリングにも対応 | 一般的な丸型シーリングもOK。またツバの付いた引っ掛け丸型シーリングにも対応 | 引っ掛け埋め込みローゼットにも取り付け可能 |
これら以外の場合は、引っ掛けシーリングの取り付け工事を電気店に依頼すること。これは電気工事士の資格を持っていないとできない工事だ。
2)カバーを取り外し蛍光管を外す
カバーは1/4回転させると簡単に取り外せる | 万が一落としてしまっても蛍光管が割れないように、取り外してから本体を取り付けた |
ランプの支持がバネになっているので、ゆっくり蛍光管を外す必要がある。ただ従来型より着脱が簡単になっている。
カバーと蛍光管を外した重量は、2.9kg。ちょうど特売の牛乳1本とキャベツを買ってきた程度だろう。このぐらいなら、どんな女性でも楽々持ち上げられるだろう。
3)アダプタに本体を押し込む
これで仮止めできたので、手を離しても大丈夫。
4)センサーが窓の反対側になるように回転させる
カチッと音がするまで持ち上げればOK | 仮止めでは向きを変えられる |
センサーが窓から入る直射光を拾わないように、窓とは反対側にするのがポイント。
5)もう1段階押し込んで固定しコネクタを差し込む
これで天井に固定される。
中心部を押し込んで、再度カチッ!音がしたら固定完了 | 蛍光灯から伸びているコネクタをアダプタに差し込んで配線は終わり |
6)蛍光管を付けカバーをしておしまい
元通りに蛍光灯を取り付ける | カバーをして取り付けは終わり |
リビングが何十畳もあるという豪邸にお住まいの場合は、リモコンのチャンネルが3つあるので、1部屋に3台まで取り付け可能だ。このとき本体側のチャンネル設定と、リモコンのチャンネル選択スイッチを切り替える必要がある。
「ON/OFF」スイッチは、手元で点灯の確認ができる。「音切入」スイッチは、操作時の「ピッ」音を鳴らすかどうかの設定をする | リモコン側のチャンネルは、横のスライドスイッチで決定する |
■心臓部の蛍光管ツインパルック プレミアに迫る
中央の太く小さい蛍光管が従来型の30W。2重になった照明だと内側にある蛍光灯だ。外側の細く大きな蛍光管がツインパルック プレミア100型 |
「ツインパルック プレミア」は、その前身である「ツインパルック」の改良型だ。ただし「ツインパルック」シリーズは、高周波点灯専用の2重環形蛍光灯のため、従来型の照明機器には利用できない点に注意して欲しい。
「プレミア」で改良された点は、寿命と明るさ。寿命は製造工程の改良により、1.6万時間まで利用できるようになり、「ツインパルック」の1.3倍(※パナソニック調べ)まで延ばした。
明るさは、丸形蛍光灯「パルックプレミアL」などで採用したガラス保護膜を均一に塗布する技術を投入し、「ツインパルック」の10倍の保護膜を作り1.6万時間の寿命を過ぎても、買った当初の明るさの80%を維持するというのだ。
「ツインパルック プレミア」のパッケージ。「オートエコ調光付ツインPa」はクール色のモデルのみだが、電球色(別売)などに取り替えてもかまわない |
「ツインパルック プレミア」には、40型(外径192m)、70型(外径296mm)、85型(外径342mm)、100型(外径400mm)があり、それぞれ電球色(やや赤みを帯びた色)、ナチュラル色(自然な色合い)、クール色(やや青みを帯びた色)のラインナップが用意されている。消費電力は、ほぼ「型」と同じ程度だ。
紹介したシーリングライト「オートエコ調光付ツインPa」では、100型のクール色が採用されている。なお型が同じであれば、他の色に変えても性能上問題はない。
■「ツインPa」シリーズは豊富なラインナップ
今回紹介した「オートエコ調光付ツインPa」は、部屋の広さに合わせて85型と100型タイプの2モデルが用意されている。またオートエコ調光が付いていない「ツインPa」シリーズも部屋の大きさやデザインに合わせて、さまざまなバリエーションがある。さらに天井から吊るすペンダントタイプのラインナップも用意されている。
ツインパルック プレミア蛍光灯の明るさや寿命が気になった人は、こられのラインナップを量販店などでチェックしてみてはどうだろう?
2009年9月24日 00:00