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そこが知りたい家電の新技術
ナショナル「おるすばんツインPa/リフターツインPa」

~成熟した市場に挑む“アイデア系”照明器具
Reported by 村元 正剛

 生活に欠かせない器具であり、最近はインテリア性も重視される傾向にある照明器具。そこに新たな付加価値をプラスしたハイグレードな照明器具が、新しい市場を開拓する気配を見せている。

 昨年(2006年)、ナショナル(松下電工株式会社)の「ツインPaシリーズ」に、防犯や清潔、健康など、暮らしをより快適にする便利機能を搭載したラインナップが登場し、好調な売れ行きを示しているという。これらの企画・開発に携わった同社の住宅照明事業部・事業企画グループ・課長の植田豊志氏と、商品企画グループ・グループ長の西浦晃司氏に話を聞いた。





防犯はまず「狙わせない」のが基本

松下電工株式会社 住宅照明事業部
事業企画グループ 課長 植田豊志氏
 「ツインPaシリーズ」は、松下電器産業製の二重環状蛍光灯「ツインパルック」を用いた照明器具だ。従来の蛍光灯よりも細くして、本来は1本の管を特殊な技術で二重にしたもの。一般的な蛍光灯よりも消費電力が低く、明るいという利点を持つ。

 「ツインPaの中にも、スタンダードとハイグレードがあります。照明器具本来の基本的な機能を充実させたものがスタンダード、それにさらに高付加価値を付けたものがハイグレードと区分しています。ハイグレードは、とくに地球環境、防犯・防災、清潔・健康といった消費者ニーズに、家の中にある照明器具で応えられないか、ということに重点を置いて開発しております」(植田氏)

 昨年以来、同社が積極的にユーザーにPRしているのが、ハイグレードの「おするばんツインPa」と「リフターツインPa」だ。

 2006年6月に発売した「おするばんツインPa」は、照明器具に簡易防犯機能を付加したもの。外出時にタイマーを設定しておくと、設定時刻になると自動的に点灯し、消灯する。空き巣に在宅であるかのようにに見せかける仕掛けだ。

 「照明器具はどこの家庭にも必ずあります。そこに防犯機能を付けたら一台で二役を果たせるという発想です。夜になっても照明が点らないのは留守である証拠。照明が勝手に点くことで泥棒に在宅と思わせて、狙われる確率を減らせる効果があります」(植田氏)


おするばんツインPaは、部屋の壁などに設置したセンサーが侵入者を感知すると照明の点滅と警告音を発する おするばんツインPaは、照明器具とリモコン、センサーの3点セットで簡易防犯を実現 リモコンのボタンを押すだけで「るすばんモード」にできる

 長期的に不在にする場合は、消灯する時間をランダムにずらすなどの工夫もなされている。だいたい4日周期で消灯時間をずらし、それを繰り返す設定になっているという。

 万一、空き巣が入った場合には、センサーが感知して照明器具に信号を送る仕掛けになっている。センサーは温度差を検知して人の存在を認識する遠赤外線センサーを採用している。侵入者を検知すると、最初はLED常夜灯が点灯し、続いて「ピピッピピッ」という予報音が鳴り、その後、あかりが点滅し、警告音が鳴り、侵入者をあきらめさせて追い返す仕組みだ。

「センサーは部屋のどこにでも取り付けられます。センサーの届く範囲は一般的なリビングルームを想定しています。障害物がなければ約4mの距離まで検知できます」(植田氏)


松下電工株式会社 住宅照明事業部 商品企画グループ グループ長 西浦晃司氏
 ペットを飼っている人は、部屋で放し飼いにしている犬や猫が感知するのではないかということも気になるだろう。

 「そういう問い合わせも多くいただいており、検知するエリアを制限できるよう、センサーに取り付けるキャップも同梱してあります。犬が歩き回っても警報機が鳴らないようにできます」(植田氏)


 住人が帰宅した場合も、当然のことながらピピピピッという予報音が鳴る。その音が鳴っている間に検知を解除する必要があるが、防犯上その機能についてはここでは詳しく明かせない。ちなみに、リモコンや壁に取り付けたセンサーのスイッチを押して「るすばんモード」にした際、直後約5分間は検知しない設定になっている。押した瞬間に慌てて部屋を出たりする必要はない。

 防犯グッズは増えているが、犯人の検挙率は上がっていない。たとえば、玄関などに監視カメラを設置しても、他の部屋から侵入されたら意味がない。新築やリフォーム時であれば、警備会社のトータルなセキュリティシステムを導入することもできるだろうが、何十万という費用がかかり、毎月の利用料も発生する。

 「泥棒の意識・感覚として、最も嫌がるのは光と音だそうです。光によって自分を映し出されますし、音によって周囲から注目を集めることを嫌がる。おるすばんツインPaは、泥棒に対して、まず留守に見せないことによって“その気にさせない”、音によって“あきらめさせる”、さらに照明の点滅や警告音によって“周囲に知らせる”ことができる商品です。これだけの安心感を、同等の性能・デザインの照明器具にプラス1万円ほどで得られます」(西浦氏)


点灯時間と消灯時間を設定して、外出時も在宅であるかのように装える
【動画】おるすばんツインPaで不審者を検知したときのようす(WMV形式, 1.01MB)

 実際に、その警告音を聞かせてもらったが、相当に根性が座った空き巣でない限り、家の中にあるものを落ち着いて物色できないと思われる音量。尋常ではない光と音に気づいた周囲の住民が、警察に通報することも考えられる。

「実は、従来から玄関に取り付けるタイプの防犯照明器具はあるのですが、家の中にも取り付けることで、より安全性を高めることができると思います」(西浦氏)





業務用昇降機を応用した上げ下げ自在の照明

 昨年10月に発売した「リフターツインPa」は、あかりを点灯したままでリモコンで昇降できる照明器具。通常天井に吊してある照明の位置を下げることで明るさを得られ、また掃除や電球交換などのメンテナンスがスムーズに行なえるという一石二鳥の商品だ。

 「メインターゲットは団塊世代。この世代は行動的で、生活に対していろいろなこだわりも持っています。第2の人生を迎えるにあたって、住宅の買い替えをしたり、リフォームをしたりという人が増えています。そうした人たちに提案する商材として発案しました」(植田氏)

 照明器具を昇降できる装置は従来からあったが、それは「あくまでも“装置”であり、サイズの面でもコスト的にも簡単には組み込めないものだった」(植田氏)という。

 リフターツインPaは最大110cmまで無段階で昇降できる。一般的な住宅の天井高は240cm。下まで下げると床から照明器具までの高さは110cmになる。85WタイプのリフターツインPaの場合、最も上に上げると高さ40cmの卓上で約390ルクス、下まで降ろすと約1,860ルクスの明るさを得られる。つまり約5倍も明るくなる。


リフターツインPaは通常「シーリングポジション」で部屋全体を明るくする
あかりを点けたままで、リモコンで昇降させることができる
ワイヤーを巻き上げる装置を格納するドラム部分。同心円状に巻くことで薄型を実現

 「とくに何もしない場合、部屋の明るさは30~100ルクスあれば十分。ちょっとした作業を行なう場合には150ルクス以上は欲しい。高齢になってくると視力が低下するので、読書するには600ルクス以上、裁縫などの細かい作業をするには1,500ルクス以上の明るさが必要です。リフターツインPaはそれ以上の明るさを確保しています」(西浦氏)

 リビングで新聞や本などを読む際、室内灯では明るさが足りず、照明スタンドなどを補助灯にしている人が多いだろう。リフターツインPaなら高さによって明るさを調整できるので、スタンドは必要なくなり、省スペースにもつながる。さらに、リモコン操作によって約10~100%の調光も可能だ。

 料理をするためにレシピ本を読んだり、家族で過ごすリビングのテーブルで宿題などをする子どもも少なくないだろう。リフターツインPaは、主に高齢者層向けに開発されたものだが、口コミによる需要の広がりも見込める商品といえそうだ。

 実際にリモコンを使って昇降してみた。安全性を考えてのことであろうが、昇降スピードはかなり遅い。天井高から最も低い位置に下げるまでに、約1分かかる。昇降中はジーッというモーター音もする。気になる音量ではないし、この音がすることで昇降中であることがわかり、直感的に操作しやすいと言える。

 一番下に降ろした状態だと、驚くほど明るくなり、本などは非常に読みやすくなる。単純な原理ではあるが、このメリットは、ショールームなどで実際に試してみないと実感できないかもしれない。


シーリングポジションで読書をしたイメージ
110cm降ろして「ペンダントポジション」にすると、約5倍の明るさを得られる。シーリングポジションの時と同じシャッタースピード、絞りで撮影した。

【動画】リフターツインPaで、ライトを下げるようす(WMV形式, 1.77MB) 【動画】リフターツインPaで、ライトを上げるようす(WMV形式, 1.69MB)

3本のワイヤーで固定。巻き上げ部分の小型化に苦心

 リフターツインPaを開発する上で、同社がとくに配慮したというのがインテリア性。照明器具を揺らすことなく昇降させるためには3本のワイヤーで吊り下げる必要がある。これが太いと見栄えはよくない。

 「ワイヤーを巻き取る部分をどれだけ小さくできるか。それが技術的な面での最大の課題でした。できるだけ細くて丈夫なワイヤーと小さなモーターが必要であることは言うまでもありませんが、巻き取り方にも工夫が必要でした。普通にワイヤーが重なるように巻き上げると厚みが出てしまう。同心円状で大きく巻き取る構造を採用することで、1回転で巻き上げる長さを増やし、ドラム部分を薄くすることができました」(西浦氏)

 実際、リフターツインPaを天井まで上げると、モーターやワイヤーを収めるドラム部分はランプシェードに隠れるのでまったく気にならない。タイプにもよるが、全体の厚さも20cm程度なので、一般的なシーリングライトとして違和感がない。

 低い位置に降ろして掃除をしたりする際の利便性を考えて「器具上面の凹凸をなくし、カバーも取り外しやすくしています」というように、ユニバーサルデザインの視点からの配慮もなされている。上面もフラットなので、雑巾などで軽く拭き取るだけで掃除ができ、年末の大掃除の手間も多少は省けそうだ。


リフターツインPaのリモコン。調光ボタンや、子どもの誤動作を防止する「チャイルドロック」も装備 ライトが下がってくることにより掃除がしやすいというメリットもある

 ツインPaのような新たな動きをする製品を市場に送り出すにあたっては、一般ユーザーが使用していくうえで想定されるトラブルなどに対する検証も必要になる。

 「昇降中に人や障害物にぶつかったりした場合は、自動的に昇降が停止します。『たるみ検知センサー』によってワイヤーが不自然にたるんだり、曲がったりするのを防止する仕組みです。小さな子どもがぶらさがったり、飼っている猫が飛び乗ったりという状況も考えられます。そうした外的衝撃への耐久テストも行なっていますし、揺れを検知して自動的に停止する機能も備えています」(植田氏)

 おするばんツインPa、リフターツインPaともに、今設置している照明器具を外して単品で取り替えて使える商品。リフターツインPaは、昇降装置がある分、そこそこ重量はあるが(最も重いもので約7.3kg)、それでも「男性なら10分ほどあれば取り付けられる」とのことだ。





ライフスタイルの変化をつかみたい

 今後のツインPaは、どんな方向を歩むのだろうか。

 「かつては、家の中にある照明器具を、ただ単に『電気』と呼んでいました。ちゃんと点いていればいいという感覚でしたが、ライフスタイルの多様化により、照明器具に求める要素や質は、どんどん高くなってきています。お客様のニーズは十人十色なので、我々がどれだけニーズに応えるものを提案できていけるかが今後の課題です」(植田氏)

 「シーリングライトだけではなく、ダウンライトなどにも付加価値を付けられるかもしれない。もちろん、そういう展開も考えております。ただし、機能を盛り込むことが可能だとしても、サイズやコストの問題があります。市場に認められる価格を想定して商品開発を進めていますが、現行のツインPaシリーズでも『この価格なら買いたい』という人がいれば、『やっぱり高いかな』という人もおられます。全体的なコストパフォーマンスも考えつつ、照明器具をより便利で快適なものにしていきたいと考えています」(西浦氏)





URL
  ナショナル(松下電工株式会社)
  http://www.mew.co.jp/
  ツインPaシリーズ 製品情報
  http://biz.national.jp/Ebox/twinpatvcf/index.html

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2007/05/28 00:01

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