家電製品クロスレビュー
ダイソン「DC35 マルチフロア」最終回
ダイソン「DC35 マルチフロア」 |
注目の家電製品を複数の人間が交代で使うことで、多角的な観点からレビューする「家電製品クロスレビュー」。今回は、ダイソンのサイクロン式ハンディクリーナーDyson Digital slim DC35 multi floor(デジタルスリム DC35 マルチフロア)」(以下、DC35)の最終回として、3LDKのマンションで2人暮らしをする私の使用レビューをお伝えしよう。
仕事上、これまで色々な掃除機を使ってきたが、その中でもDC35はかなりのヒット。結論からいうと、二人暮らしのマンション住まいならこれ1台で充分だ。
なお、DC35については、既に「家電製品レビュー」でも詳しく取り上げている。このレビューと併せて、参考にしていただきたい。
・独身1人暮らしの男性記者がDC35を使った1回目は→こちら
・一戸建ての実家に家族4人で住む女性記者が使った2回目は→こちら
■DC26ユーザーも満足の吸引力
実際にDC35を使い始めて約2週間が経過するが、これといって大きな不満点はなく、ほとんどのところで満足している。自宅にはDC35以外にもキャニスター型の掃除機もあるが、この2週間は一度も使っていない。その必要性を感じないのだ。それは、コードレスならではの便利さと、いつでもすぐに取り出せるブラケットの存在はもちろん、ダイソンならではの吸引力によるところが大きい。これまでの経験から言うと、いくら本体機能が便利でも、吸引力が物足りないと、自然に使用頻度は減ってしまっていた。
何を隠そう、私は根っからのダイソンユーザーだ。最新のDC26からDC22、スティック型のDC24までこれまで3台のダイソンを使ってきたが、その魅力は何と言っても吸引力。床上にある微細なゴミも残さず掃除してくれるのが気持ちいいし、手入れも楽。しかも、長期間使い続けても吸引力が落ちないため、ストレスがない。その点からいっても、DC35は期待通りだった。
使用中に、ダストボックスを回転する空気も一緒だし、部屋の隅に溜まった微細なホコリも残さずに吸い取ってくれる。
使っている様子 | ゴミ捨てはほかのダイソン製品と同じようにワンタッチで行なえる | 壁にかけて収納できるブラケットも付属する |
ヘッドは左右に大きく曲がる構造で、ブラシはカーボンファイバー(炭素繊維)を採用している |
特に感動したのはヘッドの構造。DC35では「carbon fibre(カーボンファイバー) DC26」と、同様のカーボンファイバー(炭素繊維)をヘッドに採用しているため、静電気によって床面に付着した細かなホコリまで残さずとることができる。
また、この手のコードレスクリーナーとしては珍しく、ヘッドにモーターを搭載しているというのもポイントだ。通常、充電式のコードレスクリーナーでは稼働時間を少しでも伸ばすため、ヘッドにモーターを搭載していないタイプが多い。DC35では、レギュラーヘッドのほか、布製品などに付着した毛やホコリをかき出すように掃除する「ミニ モーターヘッド」にもモーターを搭載しているというこだわりようだ。
本体にはこのほか、すき間などの掃除に便利な「隙間ノズル」、先端にブラシが付いた「コンビネーションノズル」など3種類のアタッチメントが付属し、掃除する場所や状況に応じて、付け替えて使用する。本体重量が2.2kgと軽くて、コンパクトなため、キャニスター型が苦手とする高い場所や狭い場所なども楽に行なえる。その際、一点だけ気になったのは、本体を逆さの状態にして高い場所を掃除するときに、排気がモロに顔に来るということ。生温かい風が顔を直撃するので、顔の位置をずらすようにしていた。
ベッドの下なども楽に掃除できる | 隙間ノズルを付けて高い場所を掃除しているところ | 先端にブラシがついたコンビネーションノズルを付けて網戸を掃除しているところ |
ハンディクリーナーとしても使える | 隙間ノズルでホコリの溜まりやすいオーディオ周りそ掃除しているところ | 照明器具を掃除しているところ。本体を逆さにすると、排気がモロに顔に直撃する |
■壁掛けブラケットで使いやすさが更に倍増!
今回壁掛けブラケットを設置した木製の本棚 |
充電式のコードレスクリーナーにとって、充電方法は使い勝手を左右する重要なポイントだ。DC35では、本体に直接コードを差し込む方法のほか、専用の壁掛けブラケットを付属し、そこに本体を収納すると自動で充電できるという方法も用意する。本体の収納場所と充電場所が一度に確保できる便利な付属品だ。
ただ、DC35の収納用ブラケットは固定をネジで行なうため、壁に穴を開けなければならない。賃貸マンションやアパートに住む場合、それはなかなか難しい。そこで、今回は壁ではなくて、大型の本棚の側面板にブラケットを固定することにした。本棚は木製で、側面板の厚みも充分にあるので、これなら耐えられると判断した。
まずは、充電用のコードをブラケット背面のコード用の溝にセットするところから始めた。コードは固めで頑丈な造りのため、かなり力を入れて無理矢理ねじ曲げるようにして作業をすすめる。ここで、しっかり配線を行なっておかないと、壁面に設置したときにブラケットが浮いてきてしまう原因にもなるので、少々面倒だが、確実に作業を進めた方が良い。
壁掛けブラケットのセット | 本体背面にコードを配置する | コードの差し込み口がブラケット上部にくるようにセットする |
次に実際にブラケットを設置する場所を決める。付属の説明書には、ブラケットの設置場所は、コンセントに近い壁面で、高さは1,200mmという指定があった。ブラケットは両端に設置された2本のネジ穴で固定する構造。本体が斜めになったりしないように、しっかりと高さを図ってから設置場所を決めた。
設置場所を決めたら次はいよいよ固定だ。本体には固定用のネジが付属していなので、自分で用意する必要がある。今回は自宅にあったネジが、ちょうどいいサイズだったので、それを使用した。自宅にあった電動ドライバーを使って、まずはネジの下穴を開け、その後にネジを固定した。
本棚の近くにはちょうどコンセントがあった | 設置場所は床から1,200mmの場所 | ネジは付属しないため、自分で用意した |
ネジを選ぶときは本棚の厚みを確認して、本棚の厚みより短いものを選んだ | 電動ドライバーを使ってブラケットを固定する | 設置後のブラケット |
今回は電動ドライバーがあったから比較的スムーズに作業を進めることができたが、これが手動のドライバーだと、時間も労力もそれなりにかかりそう。女性で、日曜大工の経験がない人だと、設置には苦労しそうだ。また、設置用のネジが付属していない、取り付け用の説明書がやや分かりにくいなどの不満点も残る。
使い勝手に関しては、ブラケットを設置した方が断然良い。構造もシンプルで、壁もしくは家具に固定してもそれほど圧迫感はない。DC35本体の取り外しもスムーズだし、本体充電中の見た目も機能的で、スマートな印象だ。本体が浮いた状態での充電となるため、最小限のスペースで設置できるのも嬉しい。
DC35を収納した状態 | 充電中はコードに備えられているランプが点灯する | ブラケット取り付け用の説明書はペラ紙1枚でややわかりにくい |
■本体重心が上で、長時間使うとちょっと疲れる
ほぼ毎日DC35を使っているが、その中で気になったのは、本体の重心が上で手首に負担が来ること。DC35は、モーターや充電池が上部に設けられているため、持ち手にズシっと重みが来る。本体重量は2.2kgで、それほど重い訳ではないのだが、10分以上連続使用すると、手がしびれるような感覚になる。DC35の場合、使用中は電源スイッチを常に押していなければならないので、余計に負担が大きいのかもしれない。
モーターや充電池などは全て本体上部に搭載されている | 使用中は常にスイッチを押していなければならない |
たとえば、エレクトロラックスの充電式スティッククリーナー「ergorapido(エルゴラピード)」の場合、重心が下部にあるため、使用中に本体の重みを感じることはほとんどない。同じ充電式スティッククリーナーでいうと使い勝手は、マキタの「充電式クリーナー CL140FDRFW」に近い。CL140FDRFWも本体重心が上部にあり、使用中に電源スイッチを押しっぱなしにするという点でも一緒だ。
とはいえ、この手の充電式スティッククリーナーの1回の起動時間は短く、DC35の場合も約15分(通常モード使用時)なので、長時間の使用を想定していないというのも理解できるところだ。
■1人暮らしから一戸建てのサブ掃除機として
ブラケットを使うことで、収納場所を考える必要もなく、充電の手間も省ける |
DC35は本体サイズがコンパクトで、容量も小さいため、メインの掃除機としては、サブ掃除機として考える人も多いかもしれないが、二人暮らしのマンション住まいならこれ1台で充分だと感じた。
スティッククリーナーやハンディクリーナーは、サイズや値段も手ごろなものが多いため、特に1人暮らしや若い世代に人気があるが、吸引力の点ではまだまだ問題がある製品も多い。「使い続けていくうちに吸引力が落ちた」、「まったく吸わないのでストレスを感じる」など私自身の体験も含めて、これまでなかなか満足できる製品に出会えなかった。
その意味で、DC35はこれまでのスティッククリーナーやハンディクリーナーの枠を超えた製品だ。ハイパワーで吸引力が落ちないので、これ1台で充分。今使っているスティッククリーナーやハンディクリーナーに不満を感じている人に、一度使って欲しい優れた製品だ。
■生活環境の違う3人の記者がそれぞれ満足!
今回は3人の記者がそれぞれ違う使用状況でDC35をご紹介してきたが、いかがだったろうか。住んでいる場所から、家族構成まで全く違う3人だったが、結果的にはおおむね満足だったようだ。
・独身1人暮らしの男性記者の場合
ハンディクリーナーとしても使えるから、パソコンやゲームなどでごちゃついた部屋の掃除に便利
・一戸建ての実家に家族4人で住む女性記者の場合
色々な使い方ができるから、階段から車内まで家族のニーズにそれぞれ対応。メインの掃除機との使い分けで、主婦が喜ぶ1台
・共働きでマンション住まいの女性記者の場合
キャニスター型の出番がない! これ1台で充分。壁掛けブラケットを使って、収納場所もしっかり確保
2011年5月19日 00:00