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第14回:明るさを示す単位「ルーメン/ルクス」とは



光源から発する明るさがルーメン、光で照らされた一定の場所の明るさがルクス

 ルーメン(lm)、ルクス(lx)は、どちらも明るさを示す単位です。

 しかし、それぞれが示す意味は大きく異なっています。 簡単に違いを述べれば、ルーメンは「照明器具そのものの明るさを示す単位」、ルクスは「光に照らされた面の明るさ」を示す単位となります。

 一般的に、照明器具の明るさを比べる場合はルーメンの数値で比べます。というのも、ルクスは同じ照明器具でも、利用条件によって値が変化することがあるからです。例えば、同じルーメンの蛍光灯を利用する場合でも、部屋が大きいほど広い範囲に光を届けなければならないので、照らされる面のルクスは小さくなります。逆に言えば、勉強机などで利用するデスクランプでは、光源から照らされる面までが非常に近いため、ルーメンが低い照明器具でも、照らされた面のルクスは大きくなります。

 こうした理由から、照明器具のスペック表では、ルクスではなくルーメンの値が記されているケースがよく見られます。製品によっては「光源から50cmの高さに置いた場合」など、一定条件におけるルクス値を明記されているものもあるようですが、照明器具の明るさを比較する場合は、一般的にルーメンの数値で比べます。

 ルーメンとは、光源が放つ光の明るさを示す単位です。日本語では「光束」という言葉になります。このルーメン値が大きいほど、人間の目で明るく見えることになります。技術的に言うと、「光度1カンデラの光源が1ステラジアンの範囲に放射する光束」が1ルーメンと定義されています。専門的にすぎるためここでは多くを触れませんが、簡単にいえば光源から一定の範囲内に光がどれだけ集まっているか、ということを示す数値です。ルーメンの値が大きい光源ほど、人間の目で明るく見えることになります。

 白熱電球や蛍光灯などの照明器具で明るさを示す場合には、「全光束」という指標を利用することが多くなっています。これは、その照明器具が照らす全方向の光束の総和を示しますが、定義自体はほとんど光束と変わりません。

 それに対しルクスは、光で照らされている面の明るさを示す「照度」という指標で利用される単位です。例えば、勉強机に置いたデスクライトを点灯させた場合に、机の表面やノート、本の表面がどの程度の明るさになっているのか、といったことを示す単位として主に利用されます。要はルクスの値が大きいほど、光の当たっている部分がより明るく感じる状態となります。

 なお、ルーメン値を照明器具の消費電力で割ることで、1W当たりのルーメンを割り出すことができます。この値は「発光効率」と呼ばれ、光源の省エネ性能を表す際に使われます。この値が大きければ大きいほど、より少ないエネルギーで、明るく光ることになります。


消費電力1W当たりのルーメンは「発光効率」と呼ばれ、照明の省エネ性能として評価されることが多い(写真はシャープ・業務用LED発表会より) 光源によって照射される場所の明るさを示す数値がルクス(写真はシャープ・業務用LED発表会より)

写真はハーマン・ミラーのLEDデスクライト「Leaf Light」。LEDが発する光の強さが「ルーメン」で、その光によって照らされたテーブルの明るさが「ルクス」となる テーブル上のルクスを照度計で測っているところ。同じルーメンの照明器具でも、設置する部屋が広ければ広いほど、広範囲に光を届けようとするため、ルクス値は少なくなる

あくまでも“感覚的な数値”

 ルーメンやルクスは、明るさを示す単位ではありますが、実際の使用状況下で、それ以外の要素も加わってきます。

 ルーメンやルクスは、あくまで人間の目が感じる明るさを数字で表したもので、照明器具の使用状態や部屋の大きさなど様々な条件で変化します。そういった意味では、ルーメンやルクスの値はもちろんですが、どういった条件で使うのかも考慮すべきでしょう。

 例えば、白熱電球や蛍光灯などの照明器具に記載されているルーメンの値は、その照明器具が全く劣化していない状態での値です。しかし、照明器具が劣化していなくても、表面にホコリが付着して汚れていると、光が遮られて暗く感じます。この状態では、照明器具のルーメンはもちろん、その照明器具で照らされる部分のルクスも減ることになります。つまり、照明器具が持つの本来の明るさを最大限引き出すためには、表面のホコリを拭って常にキレイにしておくことが大切です。

 また、光の色によっても変化します。人間の目では、黄緑色付近の光を最も明るく感じるのに対し、青や赤に近付くほど暗く感じるようになりますし、特に青付近は急激に暗く感じるようになります。そのため、同じワット数の蛍光灯でも、白色や電球色の方がルーメンの値が大きく、青色成分の強い昼光色はルーメンの値が小さくなります。

 なお、照明器具の明るさを示す単位としては、ほかにもカンデラ(cd)という単位があります。カンデラは、LEDや車のヘッドライトなど、指向性の強い光を放つ照明器具での明るさで利用されます。


照明器具のスペック表に掲載されているルーメン値は、その照明器具が全く劣化していない状態の値。劣化したり、ホコリをかぶったりすると、ルーメン/ルクスともに数値が落ちていく 人間の目は黄緑色をより明るく感じるため、昼光色よりも電球色の方がルーメン値が高い(写真は東芝「ネオボールZ LED常夜灯付き」)



【ルーメン/ルクス】の、ここだけは押さえたいポイント

・ルーメンは、光源が放つ光の強さを示す単位。照明器具の明るさを比較するならこちら
・ルクスは、光が照らす面の明るさを示す単位。デスクなど、光源によって照らされた場所の明るさを表す

2008年8月20日 初版





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2008/08/20 00:02
平澤 寿康
1968年、香川県生まれ。1990年代前半にバイト感覚で始めたDOS/V雑誌のレビュー記事執筆を機にフリーのライターとなる。雑誌やWeb媒体を中心に、主にPC関連ハードのレビューや使いこなし、ゲーム関係の取材記事などを執筆。基本的にハード好きなので、家電もハード面から攻めているが、取材のたびに新しい製品が欲しくなるのが悩ましいところ。

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