パナソニック、省エネ性と横方向への送風性能が向上したエアコン

~室内機のデッドスペースを活用した「トップユニット構造」

 パナソニックは、「トップユニット」構造のエアコンで省エネ性と横方向への送風性能が向上したエアコン「Xシリーズ」を、10月21日に発売する。店頭予想価格は20万~33万円前後。

 同社のエアコンでは最高級クラスに当たるエアコンで、これまでエアコン室内機で使われていなかったデッドスペースに着目した点が特徴。従来モデルまでは室内機側面に配置していた電装部を、室内機上部のデッドスペースへと移動した。これにより、室内機サイズを大きく変えずに、熱交換器の面積が広げられるため、省エネ性が向上したという。同社では、この電装部を室内機上部に移動したデザインを「トップユニット」構造と名付けている。


エアコン「Xシリーズ」の室内機従来モデルでは、電装部が室内機右側に搭載されていた
新製品では、電装部を室内機の上部へ移動写真上が新モデル、下が従来モデル。「トップユニット型」とすることで、室内機の熱交換器が従来より設置できるようになった。これにより、省エネ効果がアップするという

 また、このトップユニット構造により、風の吹き出し口の横幅が拡大。横方向への気流の風速は、前年モデルの約2倍、気流到達距離は約1.7倍となった。

 気流を制御するための機能では、横方向に気流をコントロールできる「ビッグルーバー」、上下の2枚のフラップで気流を抑えこむ「上下フラップ」、横方向へ滑らかな風を送る「サイドディフューザー」が用意されている。同社では、新Xシリーズの気流を「ロングワイド気流」としており、部屋の隅まで気流が到達し、快適な空調が実現できるとしている。

写真は「上下フラップ」。2枚の横に広いフラップで、気流がしっかり押さえ込めるという従来モデルよりも面積が約2倍に増えた「ビッグルーバー」。気流がよりコントロールしやすくなったというフラップの両脇には、気流をスムーズに曲げるための「サイドディフューザー」が付いている
ロングワイド気流を実現するための機能一覧従来モデルでは、横方向に風が広がりにくいため、エアコン横方向への暖房がうまくできなかった本製品では風が横に広がるため、狙ったところに風が届き、設定温度を無理に高くする(冷房時は低くする)必要がないという

新しいXシリーズの、横方向への送風イメージ。横方向に風を集中して送風しているため、室内機正面の風車は回らない従来モデルのエアコン。室内機正面の風車は回っているが、サイドの風車は回っていない

エコナビのセンシング範囲が拡大。室外機には引き続き「エネチャージ」を搭載

 節電機能では、生活シーンの無駄を見つけて自動で節電する、パナソニック独自の技術「エコナビ」を搭載。従来モデルに引き続き、人や物の位置を見分け、人がいるエリアを中心に気流を届ける「ひと・ものセンサー」と、日差しの変化を見分けて能力を抑える「日射センサー」を搭載する。本製品では、ロングワイド気流が追加されたことにより、よりセンサーの検知範囲が広まっている。

 さらに、冷房時専用のセンサー技術として、「リズム温度制御」機能も新たに採用した。これは、ひと・ものセンサーで人を検知した場合、人の周囲温度を一旦上げつつ、暑く感じる前に設定温度に戻すことで、節電するというもの。人が室温の変化を感じるまでの時間差を利用して周囲の温度を変化させることで、快適性を損なわずに節電するという。

自動で節電するエコナビ機能を搭載エコナビの検知エリアは広くなった

 室外機では、従来モデルに引き続き、大気中に排出していたコンプレッサーの熱を暖房エネルギーに活用する「エネチャージシステム」を搭載。室外機の熱交換器に付いた霜も溶かせるため、霜取り運転中も温風を止めずに暖房運転が継続できる。また、温風スタート時の吹き出し温度も、約50℃の高温風となる。

 新製品では、暖房運転時の室温が安定した際にも、エネチャージシステムで蓄えた熱を使用。温度変化と、コンプレッサーのON/OFFによる電力ロスが低減できるという。

 このほか、パナソニックの除菌・脱臭技術「ナノイーイオン」の放出機能も搭載。ナノイーだけの単独運転や、ナノイー運転時の風量切り替えにも対応する。

室外機では、エアコンのコンプレッサーから出る熱を貯め、暖房に利用する「エネチャージ」システムを搭載コンプレッサーを取り囲む黒いパーツが、エネチャージシステムの蓄熱ユニットだエアコンのリモコンは薄型軽量ボディを採用したという


エコナビで『頑張る節電』から『賢い節電』へ

今秋より新たな「エコナビ」キャンペーンをスタート。エコナビ搭載製品を1台販売するごとに、1本の植樹を日本を含む世界58カ国で実施する

 パナソニックではまた、今秋より新たな「エコナビ」キャンペーンをスタートすると発表。パナソニックがエコナビ搭載製品を1台販売するごとに、1本の植樹を日本を含む世界58カ国で実施する。対象期間は10月1日から12月31日まで。

 パナソニック アプライアンス・ウェルネス マーケティング本部の中島幸男本部長は、エコナビ製品を使うメリットについて、人間ができない節電ができる点を指摘した。


 

パナソニック アプライアンス・ウェルネス マーケティング本部 中島幸男本部長

 「東日本大震災で、我々は改めてエネルギーの大切さを実感した。震災以降、節電への意識は高まっており、お客様の節電意識に、メーカーの立場でお答えする使命がある。そこで、冬シーズンに向けて、我々が提案していきたいのが、“『頑張る節電』から『賢い節電』へ”。家電でできる節電は家電に任せる、そんな賢い節電をご提案し、エコナビで日本中の節電を応援していきたい」(中島本部長)

 中島本部長はさらに、エコナビ商品の販売実績が、7月時点で累計1,000万台を突破したことを発表。商品カテゴリーも、2009年は8カテゴリー75機種だったのに対し、2011年には21カテゴリー187機種に増え、加えて認知率も、2009年の70%から、2011年には90%と高くなっているという。中島本部長は2011年度のエコナビ製品の販売シェアについて、エアコンは高付加価値タイプで35%、冷蔵庫も400L以上クラスで35%、洗濯機はドラム式で45%を目指すとした。

震災以後、96%のユーザーが節電を意識したというパナソニックでは、エコナビ機能を使うことで、“『頑張る節電』から『かしこい節電』へ”を呼びかけている2009年に始まったエコナビは、2011年には187機種までに増えた。認知率も約90%を超えているという
エコナビ製品の累計販売台数は1,000万台2011年度のエコナビ製品の販売シェアについては、エアコンは高付加価値タイプで35%、冷蔵庫も400L以上クラスで35%、洗濯機はドラム式で45%を目指す

 また同社は、一般ユーザーに対して、エアコン、洗濯乾燥機、冷蔵庫を使った1カ月の使用電力量を比べるモニター調査を実施。この結果、エコナビを搭載していない家族の1カ月の電気代が4,380円だったのに対し、エコナビ搭載機種を使っていた家族は2,321円と、約47%の節電効果があったという。

一般ユーザーに対して、エアコン、洗濯乾燥機、冷蔵庫を使った1カ月の使用電力量を比べるモニター調査を実施この結果、エコナビを搭載した家電を使った家庭で、約47%の節電効果があったという
女優の吉瀬美智子さんは、エコナビの掃除機を愛用しているという

 発表会では、エコナビのテレビCMに出演する女優の吉瀬美智子さんが登壇。昨年結構した吉瀬さんは、家庭でしている節電について「旦那さんのエアコンのつけっ放しを消したりなど、協力しながらやってます。男性は忘れがちなことが多いですね(笑)」とコメント。エコナビ製品については「掃除機を使わせていただいていますが、勝手に節電してくれるので、非常に役立ってます」とアピールした。







(正藤 慶一)

2011年9月6日 16:00