パナソニック、三洋・パナ電工との合同入社式を大阪・門真本社で開催

~大坪社長「『くらし』を起点とした改革を」
3社合同での入社式が行われた大阪府門真市のパナソニック本社

 パナソニックは、2011年4月1日午前11時から、大阪府門真市のパナソニック本社において、入社式を行なった。

 同日付けで完全子会社化したパナソニック電工、三洋電機と初めて合同で入社式が実施された。3社合計で約500人の新入社員が出席。パナソニックの大坪文雄社長が訓示を行なった。

 パナソニックは、2004年にパナソニック電工を子会社化、さらに2009年には三洋電機を子会社化していたが、これまで入社式は別々に行なわれていた。三洋電機とパナソニック電工が2011年3月29日に上場廃止し、4月1日付けで完全子会社化したことにあわせて初めて入社式を一本化。これが2社を完全子会社して初の公式行事となった。

パナソニック本社と同じく京阪国道沿いにある三洋電機の本社(左)とパナソニック電工の本社(右)

 パナソニックの大坪文雄社長は、入社式の冒頭で、「東北地方太平洋沖地震により、亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げ、全員で黙祷を捧げたい」と述べ、新入社員とともに黙祷を行なったのちに、訓辞をはじめた。

 大坪社長はまず、震災の影響に言及。「東北地方太平洋沖地震で、国難としてとらえるべき大きな被害を受けた。当社は地震発生翌日に全社緊急対策本部を立ち上げ、従業員の安否確認、拠点やお取引先の被害状況の把握を行なうとともに、被災地への支援などの対応を行なってきた。地震発生から3週間が経った現在では、苦しい状況が続くなか、事業再開に向けた活動も進めている。被災拠点では自らも何らかの被害を受けた仲間が復旧に向けて必死で頑張っている。1日も早い復旧を果たし、必要な商品を世界中にお届けすることが、社会の一員としての当社の使命。災害支援と事業復旧の両面で大いに貢献できるよう、皆さんとともに力を尽くしたい」とした。

 一方で、「当社を取り巻く世界の経済情勢は、ますます不透明になっている。先進国地域は雇用情勢が厳しく、財政危機も抱えており、力強い回復の兆しが見えない。また、中東で起きた政変の動きが世界経済への不安につながりつつある。さらに東北地方太平洋沖地震がグローバルサプライチェーンのなかで、経済的にも大きな影響を与え始めている。新興国の台頭と、地球環境に対する意識の高まりは、確実な変化であり、新興国は今後ますます大きな存在感と影響力を持つ。先進国の大量消費と新興国の急成長により、資源・エネルギーの消費量が急激に増大し、深刻な地球温暖化につながる可能性があるだろう。また、石油やレアメタルなどの資源枯渇も、差し迫った課題。さらには、今回の津波による福島第1原発の問題を契機にエネルギーについての新たな議論が拡大することは必至だ」と、パナソニックが置かれた現状を指摘した。

 その上で、「社会に大きな変化が起こっている今、重要なのは、拠り所となる『信念』や『強み』に立ち返り、自分は何をするべきかをよく考えること。当社は『事業を通じて社会に貢献する』という経営理念の実践を何よりも大切にしてきた。これからの時代における当社の使命は、地球環境に対して正面から向き合い、『くらし』を起点とした改革を、先頭に立って起こしていくことだ」などとした。

 具体的な取り組みとして、2018年の創業100周年に向けたビジョンである「エレクトロニクスNO.1の環境革新企業」を打ち出していることを説明。そのなかで、環境革新企業とは、環境貢献と事業成長が一体化した企業であり、あらゆる事業活動の基軸に「環境」を置き、「グリーンライフ・イノベーション」、「グリーンビジネス・イノベーション」の2つのイノベーションを起こしていく姿勢を示した。

 一方で、「戦略の方向が良くても、スピードが伴わなければ勝つことができない。残念ながら今のところ社会の変化に素早く乗り、事業を大きくしているのは韓国、台湾、中国のメーカー。当社もポテンシャルでは負けていないが、それをフルスピードで最大限発揮しないと競争には勝てない」と危機感を募らせながら、「パナソニック電工と三洋電機を加えたグループ全体の事業再編はシナジーの最大化とスピードアップにどうしても必要。2012年1月には新たな事業体制をスタートする。グループ飛躍の大きなチャンスである。誰かがやるのではなく、自分がやるという気持ちを定めて一人ひとりが行動していく必要がある」と語った。

 さらに、パナソニックグループの社員としての心構えについても言及。「当社にとって、いかなる時代にあっても変えてはいけないことは『経営理念』。一言で言えば『モノづくりを通じて社会の発展や豊かな暮らしに貢献する』こと。これは創業者の松下幸之助が日々の仕事で得た体験や感じたことなどをベースに、周りの方々から学んだことも肉付けし、考えに考え抜いて作り上げたもの。当社が今日まで発展し続けることができたのも、全社員が深く学び、拠り所とすることで、信念をもって事業を進めることができたからこそ。しっかりと学び、繰り返し反芻し、自分のものにしていってほしい」と呼びかけた。

 「皆さんにはグローバルに活躍する人材『グローバルチャレンジャー』になってほしい。グローバルチャレンジャーの要件は、異なる価値観や文化、風土、習慣の存在を認め、許容し、尊重するマインドを持つこと、世界に通用する自分自身の専門能力を持つこと、グローバル時代の新たな課題を自ら的確に捉える課題形成力を身につけること、共通言語として英語を自由に操り、コミュニケーションできる能力を備えることである」とした。

 最後に、「今日は、パナソニック電工、三洋電機を含むパナソニックグループとして行なう初めての入社式。これからの皆さんの活躍と成長を大いに期待する。職場に新たな風を吹き込み、大いに活力を与えていただくことを心から期待する」と締めくくった。





(大河原 克行)

2011年4月1日 18:43