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左から、パナソニックの大坪文雄社長と、三洋電機の佐野精一郎社長
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パナソニック株式会社と三洋電機株式会社は、パナソニックによる三洋電機の子会社化を前提とした資本・業務提携に関する協議を開始すると発表したことを受け、11月7日、パナソニックの大坪文雄社長と、三洋電機の佐野精一郎社長が、大阪・OBP(大阪ビジネスパーク)のホテルニューオータニ大阪で会見を行なった。
今後、両社において、早急に協議に向けたプロジェクトチームを立ち上げて、子会社化に向けた詳細を検討することを明らかにした。
● 大坪社長、「電池や創エネ分野に期待」
パナソニックの大坪社長は、「当社は、10月1日付けで、社名を変更し、パナソニックブランドのもとで、暮らしを輝かせるアイディアを創ること、世界中の人々に明日のライフスタイルを提案し、地球の未来と社会に貢献することへの挑戦を続けている。一方、三洋電機は、『私たちは世界のひとびとになくてはならない存在でありたい』ということを経営理念に掲げており、これは『企業は社会の公器である』ことを掲げる当社と相通じる考え方である。
三洋電機は、創業60年のモノづくりの歴史を持つ、日本の電機産業界における貴重な財産である。近い理念を持つ両社が協業していくことで、経営ノウハウや経営資源を共有化し、グローバルな競争力を一層強化することでき、それが企業価値の最大化につなげることできる。三洋電機はエナジー事業領域、エレクトロニクス事業領域、エコロジー事業領域において、すばらしい技術力、商品力を持った会社。両社の協業による効果として、電池分野や創エネの分野が見込まれ、当社が持つ競争力のある事業、技術との組み合わせによる総合力も発揮できる。
また、数多くの製品群でのラインアップ拡充や、販売網の相互活用が期待できる。共同購買推進による効率化や、パナソニックが培ってきたイタコナ、コストバスターズなどのコスト削減の取り組みを三洋電機で活用することで、あらゆる事業領域で収益性の向上も可能になるだろう。一方で、三洋電機の優れた量産技術をパナソニックに活用することもシナジーの最大化につながる。三洋電機の中期経営計画の達成についても支援したい」とした。
また、パナソニックは、2009年度を最終年度とする「GP3計画」により、グローバルエクセレンスへの挑戦権獲得に向けた事業計画を推進しているが、これが折り返し点となる1年半を経過した段階で、経営環境が悪化し、厳しい分野も出始めていることを示しながら、「これから先を見込むと、我々の想いを達成することが困難であるという状況もある。4つの戦略事業のなかの一角である、カーエレクトロニクス事業は1兆円を目指す計画であったが、世界中の自動車メーカーが大きな岐路に立たされている。また、AV機器は価格下落のなかで厳しい戦いを勝ち抜いていくこと、白物家電はこれまで不十分だったマーケットに対して、これから攻め込んでいくという状況にあるが、ポストGP3やそれ以降の成長を見据え、グローバルエクセレンスを目指すなかでは、もう1つ大きな成長を担うエンジンが必要である。次の成長を考えたときに、三洋電機の事業は大変魅力があり、我々の技術や経営資源をもってすれば、もっと大きなシナジーが期待できる。苦しいときであるからこそ、さらなる成長に向けて大きな一手を打つべきで、その点でも、三洋電機が我々にとってベストパートナーである」と、大坪社長は語った。
● 佐野社長「パナソニックは条件にかなう相手」
一方、三洋電機の佐野社長は、「今回の協議開始は、先行きが不透明な厳しい環境のなか、パナソニックからのサポートを得ることで、中期経営計画に専念できる大きなチャンスを得た。懸案の優先株式の問題も、一定の節目を迎えることができ、次の成長ステージに向けて、大きな一歩が踏み出すことができるものだと考えている。当初は、2010年までの中期経営計画の達成を、経営の最優先課題とし、優先株の問題は将来の課題と考えていたが、9月の金融危機以降、具体的に考えなくてはいけないタイミングが早まった。今後の当社の資本政策のパートナーの選定に当たっては、十分な企業体力があり、グローバル競争で勝ち残っていくという観点から、大きなシナジーが期待できる事業会社が、最も理想的だと考えており、パナソニックは、その条件に合致するものとして、申し入れに対して真摯に検討した。物心両面からの絶大な支援表明は、三洋電機の技術力、人材力、これまでの数年間の構造改革の成果を高く評価していただい結果だと感じている。今回の資本・業務提携を通じたパナソニックの支援を得て、両社間のシナジーを極大化することで、2010年までの中期計画の達成はもちろんのこと、事業のさらなる発展を目指していける」とした。
そのほか、大坪社長は、「とくに環境・エナジー分野においては、消費者にとって、また企業にとって、大きなメリットを提供できる。2社が知恵を出し合うことで、シナジーとはこんな風に生み出すんだ、こんなにすばらしい商品、サービスができるんだという成功事例を必ず作り上げ、その成功を、日本を代表して世界にアピールしたい」などとした。
● パナソニックの燃料電池と三洋の太陽電池でシナジー狙う
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がっちりと握手する両社長。交渉の進捗は12月末に報告される予定
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今回の子会社化の詳細については、今後プロジェクトチームによって詰める内容として、詳しくは語らなかった。
大坪社長は、「子会社化ということは、パナソニックグループの一員となることであり、マジョリティの株式比率は抑えたい」としたに留まり、具体的な株式取得比率などについては言明を避けたほか、ブランドや雇用についても、「三洋電機が、パナソニックグループのなかでスタートする時には、いまある姿に近い形でスタートすることになる。ブランドについては、拡散するという点はあるかもしれないが、同時にシナジーの創出という点もある。いまの段階では、冷静に判断してシナジーを生むメリットを感じている」とするに留まった。
また、佐野社長は、「今回の話があったにせよ、なかったにせよ、事業が継続しない限り、雇用は継続しないのは確か。当社にも、厳しい実態の事業があり、これに関しては、三洋電機の判断で構造改革をやり遂げたい。やるべきことは必ずやる。環境分野、エネルギー分野への積極投資も推進していく。その成長をパナソニックに支援をしてもらうという考え方でやっていく」とした。
さらに大坪社長は、「三洋電機は、2005年の経営不振から大変な苦労をし、抜け出てきた。そして、全員で立てた中期経営計画の達成を、佐野社長が見届けたいという話も聞いた。パソナニックグループの一員になっても、三洋電機の社員が自己実現できるような場を考える」とした。
■URL
パナソニック株式会社
http://www.panasonic.co.jp/
三洋電機株式会社
http://www.sanyo.co.jp/
ニュースリリース
http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn081107-1/jn081107-1.html
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( 大河原 克行 )
2008/11/08 00:07
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