ダイキンのストリーマ放電、結核菌の分解・除去にも効果

~“医療用途や院内感染対策に期待”
ストリーマ放電技術は、ダイキン工業の空気清浄機に搭載されている

 ダイキン工業は、同社の空気清浄機に搭載されている除菌・脱臭技術「ストリーマ放電」技術が、結核の原因となる菌「結核菌」を分解・除去することを実証したと発表した。


ダイキンの除菌・脱臭技術「ストリーマ放電」

 ストリーマ放電は、空気清浄機を初めとするダイキンの空調機器に、「光速ストリーマ」として搭載されている除菌・脱臭技術。酸化分解力の高い「高速電子」を広範囲に発生することで、ニオイや菌などを除去する効果がある。これまでにも、インフルエンザウイルスやノロウイルス、花粉など、空気中のウイルスやアレル物質を不活性化する効果が、大学や公的研究機関との共同で実証されてきた。

 今回、効果が実証されたのは結核菌。結核はエイズ・マラリアと並び世界の3大感染症のひとつで、財団法人結核予防会によると、世界人口の約1/3が結核に感染し、毎年940万人が発病、180万人が命を落としているという。空気感染により広まるため、旅行者による菌の持ち込みや、生活空間の気密化により集団感染例が増加しており、日本の結核罹患率は19%と、イギリス(13.9%)やアメリカ(4.3%)よりも高い数値となっている。

ストリーマ放電で生成した活性種を試験菌液に照射したところ、24時間で99.99%以上分解・除去できたという

 試験内容は、結核菌を培養した試験菌液に、ストリーマ放電で生成した活性種を照射し、4週間後培養した後、結核菌と菌のコロニー数を計測するというもの。この結果、結核菌の細胞を24時間で99.99%以上分解・除去できたという。試験機関は財団法人北里環境化学センター。

 さらに、結核菌を入れたシャーレに、ストリーマ放電で生成した活性種を照射したところ、24時間で結核菌の細胞を破壊、120時間でDNAを99.9%以上分解・除去できたという。試験機関は東京慈恵会医科大学。


ストリーマ照射による、結核菌の形態変化
結核菌に対する反応メカニズム

 結核菌は、DNAを取り巻く細胞質の周りが、油分を多く含む「細胞壁」で覆われているため、乾燥状態でも他の細菌より抵抗力が強いという。ダイキンでは、今回の試験結果を受けて「ストリーマ放電の技術の高さが立証された」としており、ストリーマ放電の医療用途や院内感染対策用途への応用を期待している。

これまでにストリーマ放電で実証された試験項目




(正藤 慶一)

2010年9月7日 14:47