日立、4つのセンサーで加熱ムラを抑えたIHクッキングヒーター
HT-D20TWFS |
3つ口全てにIHを搭載しており、そのうち2口にアルミや胴鍋が使用できる「オールメタル」対応IHを搭載するクッキングヒーター。HT-D20TWFSでは、より正確な温度制御を行なうために4つのセンサーを搭載し、センサーの位置を改良した。
センサーでは鍋の形状や状態まで感知するため、従来機種に比べ使用できる鍋の種類が増え、さらに正確な温度制御ができるようになった。
トッププレート | 操作パネル | 左右の大口のIHはアルミや銅がしよう出来るオールメタル対応のIHヒーターを搭載している |
まず、鍋の底部分の温度を正確に感知するため、センサーの位置を見直した。
従来、IH加熱では、鍋の中央部分と、中央から5cm程度離れた場所では、離れた場所から先に熱くなるという特性がある。同社では、温度差による制御のズレを防ぐために、従来コイルの中央部分に搭載していたセンサーを、中央から5cm程度に離れた場所に設置した。
本体カットモデル。本体は複雑な制御が多数搭載されているため、基板の数も多い | 本体に搭載されているコイルのモデル。センサーは4カ所に搭載されている | 従来のコイルと、HT-D20TWFSに搭載されているコイル。センサーを中央より5cm離れた場所に設置するためにコイルの形状を変更。コイルの分割は従来では困難だったが、巻き方を二重から三重にし、発熱量を確保した |
厚さの違う2つのフライパンで実験。フライパンの中央と、中央より5cm程離れた場所の温度を感知する | 中央から5cm程度離れた場所の方が先に温度が上がる | センサー搭載で制御を加えたことで温度の上昇がほぼ同じになった |
これにより、使用できる鍋の幅が広がった。従来、加熱のムラがあるとして、鍋底の厚さ1.5mm以上のもの、直径16~26cmのもの、底部の反り1mm以下、など使用できる鍋に制限があったが、HT-D20TWFSでは、直径12~26cm、底の厚さ1mm以上のもの、反り3mm以下などより幅広い種類の鍋が使えるようになった。
HT-D20TWFSで使用できる鍋の種類 | 精度の高いセンサーを位置を調整して搭載したことで、鍋の薄さや材質まで感知出来るようになり、温度制御が正確に出来るようになった | 鍋の薄さや反りなど従来より制限が緩くなった |
従来では難しかった低温から中温の温度制御も可能になった |
また、センサーの改良により、従来では難しかった中温の温度を保つことができるようになったため、適温調理メニューとして設定温度目安170℃の「卵焼き」メニューを新たに追加。温度は10℃単位で調節が可能となっている。
そのほか、付加価値機能として、食材の脱塩・脱油しながら調理ができる過熱水蒸気調理を新たに搭載した。過熱水蒸気調理は、グリル部で行なうもので、水蒸気を200℃以上の高温で加熱した過熱水蒸気で食材を調理する。これにより、食材の内部の塩分や、余分な脂を溶かしだし、通常調理と比べると、塩鮭で約1.9%塩分をカットできるという。
HT-D20TWFSのグリル部 | グリルの前方には水分をセットするケースが用意されている | ケース内部の水を200℃以上の高温にし、過熱水蒸気を発生させる |
過熱水蒸気調理をするときはグリル部前方のケースに水をセットする | 調理後の鶏 |
IHヒーターの火力は、左右のオールメタル対応IHが鉄・ステンレス鍋使用時で3.0kW、アルミ・銅鍋使用時で2.6kW。中央部分の小口IHは2.0kWで、従来機種の1.6kWより0.4kW向上させた。これは中央部分のIHヒーターとしては“業界No.1”にあたるという。また加熱方式には、トッププレートの温度を鍋底の温度以上に熱しない「ピュアIH加熱」方式を採用している。
日立アプライアンス 家電事業部 オール電化本部長 深水 祥光氏 |
日立アプライアンス 家電事業部 オール電化本部長 深水 祥光氏は、IHクッキングヒーターを含むオール電化関連製品について、「この不況においても、オール電化関連製品は確実に伸びが見込まれる市場。これまでのプレミアム路線に加え、今後はラインナップの豊富さでも勝負していきたい」とし、具体的な目標としては「現在13%程度のシェアを2011年には20%前後まで持っていきたい」と話した。
IHクッキングヒーター「HT-D」シリーズのラインナップ |
HT-D20TWFSの本体サイズは、749×560×232mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約29.6kg。また、5シリーズ全21機種を同時発売する。最上位機種を含む、主要な11製品の仕様は以下の表のとおり。
型番 | トップレート幅 | オールメタル | 中央ヒーター火力 | 希望小売価格 |
HT-D20TWFS | 75cm | 左右 | 2.0kW | 418,950円 |
HT-D20TFS | 60cm | 左右 | 397,950円 | |
HT-D10TWFS | 75cm | 右のみ | 371,700円 | |
HT-D10TFS | 60cm | × | 350,700円 | |
HT-D9TWFS | 75cm | 340,200円 | ||
HT-D9TFS | 60cm | 319,200円 | ||
HT-D8TWFS | 75cm | 1.6kW | 319,200円 | |
HT-D8TFS | 60cm | 298,200円 | ||
HT-D8WFS | 75cm | ラジエントヒーター1.2kW | 298,200円 | |
HT-D8FS | 60cm | 277,200円 | ||
HT-D8 | 257,250円 |
(阿部 夏子)
2009年7月6日 18:01
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