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1,000km走れる電動アシスト自転車、シャープのかわいい新ロボ【CEATEC】
2025年10月22日 07:05
ITとエレクトロニクスの国際展示会「CEATEC(シーテック) 2025」が、10月14日からの4日間の会期で開催された。810の企業・団体が出展したなか、生活に密着した注目すべき3つの新技術を紹介する。
皮脂RNAを解析し、より自分の肌にあったコスメや化粧品が選べる
RNA共創コンソーシアムという聞き慣れない名前のブースは、花王が開発した「皮脂RNAモニタリング技術」をもとに、より満足度の高い商品やサービスの提供を実現する仕組みの創出をめざす取り組みだ。
まず、広く知られる遺伝子情報を伝えるDNA(デオキシリボ核酸)は、基本は生まれた時から一生変わらないもの。このDNAを一部コピーしたものがRNAなのだが、こちらは生活習慣や環境に応じて、その時々に必要な情報が反映される。そのためRNAを調べると、その人の習慣などに応じたスキンケアやヘルスケアが分かる、手がかりになるという。例えば、DNAが全く同じ一卵性双生児……双子でも、生活習慣が異なる場合には、肌などの外見の差が広がっていく。
同コンソーシアムのメンバー企業である花王の担当者によれば、従来、RNAを調べるには、採血したり皮膚の一部を切り取って分析する必要があった。だが近年、同社は顔の皮脂の中にRNAが存在することを発見。油取りフィルムで皮脂を拭うことで、RNA解析が可能になったという。
以前よりも格段に、RNA解析が容易になったことで、多くの人からデータの収集が可能になった。これらのデータを分析した結果、大きく「C1(クラスター1)」と「C2(クラスター2)」の2種の肌タイプに分類できることが分かったという。この肌タイプの違いにより、スキンケアやヘルスケア、相性の良いサプリなど、摂るべきものが異なる可能性があると考えられるという。
また、C1とC2のどちらなのかを、スマートフォンでより容易に調べられる、分類に特化した技術も開発。既に@cosme(アットコスメ)を運営するアイスタイルのアプリに、導入されているという。
そして、自身がC1なのかC2なのかが分かれば、より自身の肌と相性の良い化粧品を選べるのでは? と、期待されている。同ブースには、アイスタイルが調査した既存の化粧品を展示。C1の人たちから口コミ評価の高かったものと、C2の人たちから高評価を得たものとが、それぞれ並べられていた。これにより、「私の肌はC1だから、こっちの化粧品を選ぶ」など、より自身にあった化粧品を選べるようになるという。
もちろん現段階では明確に「ここからはC1」などと決まっているわけではなく、C1とC2の間は「どちらかといえばC1」あるいは「どちらかといえばC2」といったように、グラデーションになっている。また「C1向け化粧品」と言っても、ユーザーの主観的な評価をもとにしたものであり、遺伝子情報レベルで根拠を示しているわけではない。
それでも、RNA分析を活用し、より客観性を高めた商品選びが可能になるため、安心感や納得感の向上につながりそう。RNA共創コンソーシアムには、花王やアイスタイルのほか、キリンやコーセー、マツキヨココカラ&カンパニーなども参画している。今後、どのような形で「皮脂RNAモニタリング技術」が社会実装されていくのか楽しみだ。
1回の充電で1,000kmのアシスト走行が可能になる電動アシストシステム
太陽誘電のブースでは、最新の回生電動アシストシステム「FEREMO(フェリモ)」が展示されていた。同システムは名前の通り、バッテリーの「回生充電」に対応している。
ペダルで漕ぐのを停止したりブレーキをかけた時、回生充電できる電動アシスト自転車自体は以前から製品化されていた。実際、同社とブリヂストンが共同開発した電動アシスト自転車が、「DUAL DRIVE」というシリーズで販売されている。停止時など、無駄に放出される運動エネルギーを使って発電することで、アシスト可能な距離を伸ばすという画期的なシステムにも思えるが、実際にはいまひとつ普及していない。
普及していない理由を、同社の解説員は個人的な見解として「回生充電中に異音がする」ことと「価格が高いわりに発電量が少なかった」という点を挙げた。だが開発中の新型フェリモは、異音を減らしつつ、充電効率を飛躍的に上げることを実現したという。ちなみに価格は、回生充電機能のないものよりも高い点は変わらない。
開発中の新型フェリモに関して、公表されているスペックによると、1回の充電で最大1,000kmの電動アシスト走行が可能だとする。例えば、毎日片道5kmで往復10kmの道のりを通勤・通学している場合でも、バッテリーを自宅で充電する回数は年に3〜4回だけで済むということ。
これだけでも凄いが、おもしろいのはペダル停止時やブレーキ時だけでなく、常に発電する「スマート発電モード」を搭載していること。もちろん同モードに設定した場合には、発電するために余計な負荷がかかるため、アシスト走行よりも疲れるのだが、前述の解説員は「下り坂が多い道のりだったり、もしくはフィットネス感覚で使っていただけると思います」と語る。
「スマート発電モード」は、3段階で負荷、つまり発電量を切り替えられる。最も負荷が大きい発電モード3では、600m弱で10Whの発電が可能。おおむねスマートフォン1台を満充電できる発電量だ。
また同社は、バッテリーと組み合わせることで、USB Type-A出力を可能にする「USBアダプタ」を発売する予定。停電などの災害時であれば、自転車で移動した時に作った電気で、スマートフォンやLEDライトなどへ給電できるのだ。
なお「スマート発電モード」を搭載する新型の「FEREMO」は、来年2026年の1月に丸石サイクルから発売されるという。今後、同システムを採用するメーカーが増えていくことを期待したい。
本当にどこにでも連れていけそうなサイズのシャープのロボット「ポケとも」
シャープのブースでは、11月から発売される対話AIキャラクター「ポケとも」が出展され、話題を集めていた。「ポケとも」は、身長が約12cmで重さは約200gのポケットサイズ。本体価格はオープンで、市場想定価格は39,600円前後。別途月額利用サービス(月額495円または990円)への加入が必要だ。
関連記事:シャープ、話し相手になるAIロボットとアプリ「ポケとも」
実際に持ってみると、一般的なぬいぐるみのような感触。会話時には左右の手をちょこちょこと動かしたり、首を少し上下に振ったりしながら話す。
同社の説明員の話によれば、月額利用料金を必要とするのは、ChatGPT 4-oを使っているためだという。「こんにちは」と話しかけて、応答があるまでを1ターンとし、1回の会話としてカウント。月額495円のプランでは400回、同990円プランでは800回の会話が可能。会話回数の設定は、同社が2016年から販売している「RoBoHoN(ロボホン)」から得られた知見によるもの。ロボホンの場合は、ユーザーのひと月の会話数が、だいたい400回で収まっているという。
初期設定にはスマートフォンの専用アプリが必要。だが設定後は、Wi-Fiに接続されている限り、ポケとも本体のみで会話可能だという。
会話や過ごした時間を記憶し、ユーザーのことを理解していき、パートナーとして成長していくため、一緒に過ごせば過ごすほど愛着が湧きそうだ。また、今回のミーアキャットをモチーフにした本体は「第1弾」としている。今度、どんなキャラクターが増えていくのかも楽しみだ。






