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効果的な花粉対策のためのガイドラインを制定
(2014/12/4 15:43)
花粉問題対策事業者協議会「Japan Anti-pollinosis Council」(以下、JAPOC)は、同協議会が制定した花粉対策のガイドラインなどを紹介する報道関係者向けのイベント「秋季フォーラム」を開催した。
JAPOCは、花粉問題に取り組む企業や研究機関が中心となり、花粉に関するさまざまな問題を解決するために、より効果的な研究や活動を行なう協議会。2012年9月に結成され、医療機関や家電メーカー、製薬会社などが参加している。オブザーバーとして、文部科学省や林野庁なども名を連ねている。
協議会の発起人であり、特定非営利活動法人産学連携推進機構 理事長の妹尾堅一郎氏は、JAPOC発足のきっかけや取り組みについて次のように述べた。
「自分自身が花粉症であり、どう対策したらいいのかイチ生活者としてもわかりづらいと思っていました。花粉症対策はどれもこれもやらなくちゃいけなく、一本道ではいきません。ならば、花粉に関わる人に集まってもらって、どういった合わせ技が有効なのかを考えようと思い結成しました。沢山の花粉対策品が売られている中、花粉問題には一定の基準値がありません。正しい知識に基づいた上で、花粉に効果のある対策を標準化することも取り組みのひとつです。今、日本では5~6人に1人が花粉症だと言われています。そうした国民病である花粉症の正しい対策を、花粉に対する研究を第一線で行なっている機関や企業とともに、国民の皆さんに広げていきたいと思います」
空気清浄機やパーソナル保湿機など、花粉に効果のある家電も展示
JAPOCでは、花粉問題を「花粉の生成/飛散/曝露(屋外)/曝露(屋内)/発症」の各段階に分けて、それぞれの解決策を提示している。
「花粉の生成」に関しては「スギ花粉の将来と効果的な削減方法がわからない」という問題提起に対して、「花粉生成の100年先までのトレンドを予測し、スギ材の積極的な利用で花粉を減らす」という解決策を提示している。この調査・研究は、「独立行政法人森林総合研究所」が担当した。
「飛散」の段階では、「花粉がいつ、どこに、どの程度あるのかわかりにくく、適切な対策がとりにくい」という問題を、ウェザーニューズが解決する。具体的には、独自センサーで花粉の飛散量を計測したり、同社のウェブサービス内でユーザーがウェザーリポーターとして周辺の雄花の花粉量をチェックする「雄花リポート」などで地域の花粉量を予測し、分析結果をトータルに提供して対策につなげるという。
屋外での花粉の曝露には、鼻や口からの花粉の侵入にはマスクを、目のかゆみにはメガネの使用を推奨して対策を呼びかける。
屋内に浮遊する花粉には、空気清浄機の使用を解決策として提示する。会場では、三菱電機の「空気清浄機 MA-83H」、ダイキン工業の加湿ストリーマ空気清浄機「MCK70R」が展示されていた。
このほか三菱電機では、パーソナル保湿器やふとん乾燥機など、花粉対策に効果のある家電製品も展示していた。中でもパーソナル保湿機は、睡眠時の顔周りを集中的に保湿し、花粉症によって引き起こされる喉の痛みや鼻づまりに効果を発揮するという。
最終段階である「発症」では、「花粉を曝露してしまうと症状を止められない」という問題に対して、薬物療法や花粉症を根本から治す舌下免疫療法を解決策として提示する。中でも舌下免疫療法は、2014年5月から保険適用がスタートし現在注目を集めている。病院での治療について、日本医科大学 耳鼻咽喉科 松根彰志氏が詳細を説明した。
「花粉症の患者さんに薬を出すとき、ただ効果のある物を渡すのではなくきちんと患者さんと対話をしてから決めています。“副作用で眠くならないものが欲しい”など、患者さんが今回の治療に何を求めているかを把握することを心がけています。また、昨今の花粉症は低年齢化しています。これまでは10代以降の病気でしたが、最近は小学生や幼稚園児でも発症する人がいます。薬の投与を避けたい親御さんから、薬に頼らない根本的な治療はないかという声が多くあがりました。そういったときは舌下免疫療法で、花粉症の根本である免疫の部分から治療を推奨しています」
【追記】
なお、舌下免疫療法は欧米では6歳以上から可能だが、日本では12歳以上でないと現時点では行なえない。