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世界初! 苗診断システム採用の完全人工光型植物工場
(2014/9/19 00:00)
フィリップス エレクトロニクス ジャパンの植物育成用LED照明器具「Philips GreenPower LED Production Module (フィリップス グリーンパワーLEDプロダクションモジュール)」(以下、プロダクションモジュール)を採用する、大阪府立大学の完全人工光型植物工場「グリーンクロックス新世代植物工場」の事前見学会が行なわれた。開所は9月19日。
グリーンクロックス新世代植物工場は、1日に5,000株の葉物野菜を生産できる工場。世界初となる「苗診断システム」や、国内初の「自動搬送システム」を採用している。
苗診断システムでは、青色LEDの光を苗に当て、植物体のクロロフィル色素を発光させる。これにより、個体サイズや形状の形態データ、クロロフィル蛍光強度などを算出し、優良な苗のみを育苗用のパネルに自動で定植する。研究員によると、診断する時点で育ちの悪い小さい苗でも、システムが優良と判断すれば育苗行程に進めるという。
自動搬送システムでは、育苗行程を終え、移動式の栽培ベッドに移植された苗を、自走式の搬送ロボットが所定の位置に移動させる。高さ9m、長さ30mの栽培室に、合計で104レーンの栽培棚が設置されており、18日間かけて定植側から収穫側に栽培ベッドが移動する。栽培ベッドを栽培棚の入庫口にセットするときのみ人の手が加わるため、作業員を半減できるほか、作業員の入室による有害な菌の持ち込みを防げるとする。
この植物工場で生産された葉物野菜は、運営販売会社のグリーンクロックスが10月上旬より「学園菜」ブランドとして販売する。
フィリップスはこの工場に、同社の植物育成用LED照明器具「プロダクションモジュール」を、13,000本提供している。プロダクションモジュールは、赤/白/遠赤のLEDチップを搭載。植物の育成に最適な光の波長と遠赤色を採用している。なおプロダクションモジュールは、従来の蛍光灯に比べ、最大で55%の消費電力を削減できるという。
大阪府立大学では、プロダクションモジュールの採用について、「遠赤色の光によって植物の成長を促進されることが確認されたこと、そしてIP66という防塵防水性能を評価したことにより決定した」とコメントしている。
なおフィリップスは、1995年から植物栽培用の照明に取り組んでおり、2008年からLED照明を採用している。植物栽培におけるLEDの長所を同社は、「植物に当たる光のスペクトルを簡単に調整できるため無駄な波長がなくなり、熱を発しないため植物の栽培に適している」とし、「これまで、赤/白や赤/青など様々な組み合わせで検証してきたが、葉物野菜が育ちやすいのは赤/白/遠赤の組み合わせということが分かった」とコメントした。