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積水・東芝・ホンダが、2020年代の暮らしのあり方をモーターショウで展示

積水ハウス、東芝、ホンダの社長が集結。左から、積水ハウスの阿部俊則社長、東芝の田中久雄社長、ホンダの伊東孝紳社長

 積水ハウス、東芝、ホンダの三社は、第43回東京モーターショウにおいて、合同ブースを出展した。「もっとスマートに、もっと自由に。」をテーマとした出展で、従来のスマートハウスやスマート家電の大きな流れであった、エコやエネルギーマネジメントという目的だけではなく、快適や楽しさを追求した2020年代の暮らしのあり方をそれぞれの得意技術を活かして提案するというもの。

12月1日まで、東京ビックサイトにて開催されている第43回東京モーターショー。一般公開は11月23日から
積水ハウス、東芝、ホンダの三社ブース
三社が考える2020年代の暮らしのあり方が展示されている。写真はジオラマ
家庭のエネルギー環境を一目で見られるシステム
地域全体のエネルギー環境も、管理できる
大型の蓄電システムも備えられている

特定のメーカーや機器に依存しないHEMSこそが理想~積水・阿部社長

積水ハウスの阿部俊則社長

 ブース出展に伴って開催された記者会見では、三社の社長が出席し、それぞれプレゼンテーションを行なった。

 積水ハウスの阿部俊則氏は「住まいと暮らし、家電、インフラを組み合わせることで、未来の暮らしはより豊かになり、生活の重要度が高まる」と語った。

 同社では、水素社会の実現を見据え、業界に先駆けてスマートハウスを展開。「現在市場に出回っている燃料電池のうち、半分は積水ハウスのスマートハウスについているもの」と自信を見せた。その一方、エコやエネルギー制御のためにだけ使われていると現在のHEMSのあり方については、さらなる進化を求める。

 「HEMSによって得られたデータを活用することで、エネルギー制御だけではなく、健康管理のツールとしても十分機能する」として、積水ハウスが2014年度内の運用に向け、実証実験を行なっているバイタルセンサーを例に挙げる。これは肌に直接つけることで、ユーザーの心拍数などのデータを得るというもの。データはリアルタイムで、スマートフォンやパソコンなどで閲覧可能で、「得られたデータを蓄積することで、ヘルスケアサポートサービスを確立できる」という。

積水ハウスが2014年度内の運用に向け、実証実験を行なっているバイタルセンサー
ユーザーの心拍数、呼吸数、歩数計、姿勢のほか、ストレスや体温などのデータもリアルタイムで確認できる。会場では阿部社長が装着しているバイタルセンサーの数値をその場で発表。「ストレスが100%なのは緊張しているから」と、会場を盛り上げた
データをクラウドの集結させることで、その人が欲しい情報を提供できるようになる

 「まずは健康からスタートしたが、データをクラウドに集結させることで、介護や教育、地域、気象などのデータも活用し、よりよい暮らしをおくれるようになる。これが積水ハウスが目指すスマートサービスプラットフォームだ」と説明した。さらに、同社では、特定の機器やメーカーに依存しないHEMSを目指す。これにより「様々な可能性が広がる」という。

水素は究極のクリーンエネルギーになり得る~東芝・田中久雄社長

東芝の田中久雄社長

 東芝の田中久雄社長は、まず東芝が現状で行なっている様々な取り組みについて説明した。

 「国内外36カ所で、様々な検証を行なっており、それらのデータを蓄積してよりよいシステムを構築している。住宅用パネルやEVの普及により、家や車がコミュニティとつながり、阿部社長が提案されたような健康管理もできるようになる」

 また今後の具体的な取り組みとしては、「従来の家庭用エネファームに加えて、電力と水素によるエネルギー拡大が進むだろう。それに伴い、電力を貯蔵できるシステムが不可欠になる。特に水素エネルギーに関しては、水素を製造、貯蔵、必要な時に使えるように、蓄電池と組み合わせて使えるようなシステムを作ることで、コミュニティのさらなるスマート化が進むだろう」とした。

東芝は国内外36カ所で、様々な検証実験を行なっている
ユーザーのデータを蓄積することで、予防、医療、介護、福祉までトータルでサポートできるようなシステムが可能になるという

 会場から出た「具体的な時期などはいつになるか」という質問には「水素エネルギーを普及させるためには、様々なサプライチェーンが不可欠。今検証を重ねている最中だが、皆さんに勘違いしてほしくないのは、水素は危険なものではないということ。適正な取り扱いや貯蔵をすることで、究極のクリーンエネルギーになり得る。将来的に作っていかなくてはならないもの。そこを今回の3社でコミットしていこうというのが、今回の記者会見の強いメッセージでもある」と説明した。

水素を使った究極のエコカーを2015年に投入~ホンダ・伊東孝紳社長

ホンダの伊東孝紳社長

 ホンダの伊東孝紳社長は将来的なモビリティについて「電動化をすすめていく。EV、水素をエネルギーキャリアとして、エネルギー管理も変わってくる。地域の地産地消、家庭での家産家消がすすむだろう。水素をエネルギーとした燃料電池電気自動車は、走っても水しか出さない究極のエコカーであり、非常用電源としても活用できる」とし、2015年に投入予定の新型燃料電池電気自動車「Honda FCEV CONSEPT」を披露した。

 「今後のモビリティは、住まいと家電の連携を深めて、人の暮らしをより豊かにしていく。安全・便利なのはもちろん、わくわくするような楽しい暮らしを提案したい」と話した。

今後はさらなる電動化を進めていく
2015年に投入予定の新型燃料電池電気自動車「Honda FCEV CONSEPT」
会場では超小型EV「MC-B」が展示されていた

 会場からは、「現状EV(電気自動車)は、戸建ての家しか使えないが、今後分譲住宅や賃貸住宅でもEVを使えるようなシステムは広がっていくのか」という質問が出た。

 阿部氏は「現状でも進めているところだが、今後のことを考えると、EVよりも燃料電池を使った自動車の普及が中心になっていくのではないか」と答えた。それに対して、ホンダの伊東孝紳社長は「近距離に関していえば、EVの使い勝手は良いし、今日ブースに展示してある超小型EV、MC-Bのようなサイズなら、夜帰ってきて、一晩で充電できる。水素自動車はまだこれからの分野で、勉強の余地がある」とし、若干の見解の相違を見せた。

 第43回東京モーターショウの一般公開は23日から12月1日まで。開催時間は月曜~土曜が10時~22時、日曜が18時まで。入場料は1,500円(前売1,300円)、高校生500円(前売400円)、中学生以下は無料。

阿部 夏子