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パナソニック、ミラノサローネの展示内容を事前公開
~「Energetic Energies/エネルギーの情景」
(2013/3/13 00:00)
パナソニックは、4月にイタリア・ミラノで開催される世界的な家具見本市「ミラノサローネ」において実施する空間展示「Energetic Energies/エネルギーの情景」の事前プレゼンテーションを行なった。
「Energetic Energies/エネルギーの情景」は、太陽光パネルを用いた新しい都市のイメージを表現するインスタレーションアート(空間芸術)。Energetic(エナジェティック)とは、「エネルギッシュな」という意味があり、エネルギーに満ち溢れた自然の太陽光を電気に変えて都市に供給するエネルギーマネジメントシステムの様子を、都市のミニチュア模型のような空間で表現する。
パナソニックがミラノサローネに出展するのは6年目。会場の演出は、昨年に引き続き建築家の平田晃久氏が手掛ける。
平田氏は、展示の狙いについて「現代のテクノロジーで、人間と自然を繋ぐ発想を展示したかった。太陽光発電は、発電所の中に閉じこもっている発電装置と違い、自分の日常生活の近くにある。生き物の世界が、お互いに影響し合うように、エネルギーの世界も、太陽光パネルや蓄電池といった要素がもっと人々の日常生活と絡みあっても良いのではないか」と話す。
展示のコンセプトは、2012年と連続している。2012年の展示内容は、“自然とエネルギーマネジメントの融合”をテーマに、ミラノ大学の中庭に両面採光の太陽光パネルを設置。昼間は発電、夜間はLEDの照明が包み込むように演出することで、エネルギーマネジメントの概念を示した。
2013年は、自然とエネルギーマネジメントの関係をさらに都市空間に広げた。展示会場には、植物のようにミニチュアのビル群の模型を並べ、その上に小さな太陽電池モジュールを葉のように散りばめる。そして、そこに動く雲の影を投影する。鑑賞者は、遮光された長さ30mに及ぶ展示の中を、歩いて観ることになる。なお作品では太陽光パネルは発電せず、蓄電池や照明とは連携しない。
展示用の太陽光パネルには、昨年と同じ、両面採光タイプを採用。20分の1サイズに分割し、ミニチュアの街並みに溶け込ませた。パネルは昨年と同様、平面的に置くのではなく、樹木の葉のように立体的に配置した。「太陽光パネルというと、芝生のような二次元的なものを思い浮かべるかもしれないが、三次元の森のように進化しても良いのではないか。今回の展示のように、パネルが細分化された太陽光発電があってもいいのではないだろうか。自然界にはこの小さなパネルのようなサイズの葉っぱがたくさんある。現状には耐久性や安全性の問題があるが、今後素材や考え方が発展していく上で、もう少し、柔らかい形態も考えられる」(平田氏)
また平田氏は、展示中の太陽光パネルが色々な方向を向いていることについて、「完全に均質な効率だけ優先して取り付けられた世界に、僕たちは住みたいだろうか? 」と疑問を投げかける。「効率的な観点から言えば、真南を向けたほうが良い。だが太陽の日差しは一日中、南から照らしているわけではない。いくつかあるパネルのうち、数枚が東を向いていれば、日の出時に効率よく発電する。パネルを様々な方向に向けることで、時間帯によって一番効率の良いパネルが入れ替わる。これは自然の樹木の葉でも起こっていること」と説明する。
展示では雲の影を投影するが、「都市にも自然にも、同じように日の光が注ぐし、雲の影もできるが、自然は常に同じ効率で動いているのではない。気象の変化に対し、発電効率は移り変わっていく。より広い視野でエネルギーマネジメントを考える時、1軒ごとにパネルの向きを変え、街単位で発電した電力を融通できるような関係性を築くほうが、効率的ではないだろうか」と平田氏は提案する。
実際にパナソニックでは、エネルギーマネジメントを都市のレベルで見直すスマートタウン事業に力を入れている。その一環として、神奈川県藤沢市に「藤沢サスティナブルスマートタウン」を2014年の街開きを目標に開発している。
展示会場では、インスタレーションのほか、同社のLED照明器具などの製品も展示。また、イタリア在住のアーティストとコラボレーションした4種類のシャンデリアも展示するという。ほかに、子供向けの「あかりのエコ教室」を、ミラノ市内の小学校で実施する予定。
展示期間は2013年4月9日~14日、開場時間は9:00~24:00(いずれも現地時間)。会場はミラノ大学内インテルニ会場。15世紀に建てられたミラノ大学の建物で、パナソニックの展示は、メインエントランスを入って右側の柱廊(コリドー)空間を使用する。会場スペースは約360平方m。