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2012年の家電市場は前年比11%減、エコポイント制度開始前レベルに回帰

~約1割をインターネット通販が占める

 ジーエフケー マーケティング サービス ジャパン(GfK)は、2012年の家電及びIT市場の販売動向を発表した。

 テレビやオーディオ関連、スマートフォンのほか、冷蔵庫などの白物家電製品を含む2012年の国内家電市場は前年比11%減の7兆4,800億円の見込み。GfKでは、今回の結果について、エコポイント制度、アナログ停波による特需の反動を挙げる一方、2008年以前の家電市場規模は7兆円台であり、結果的にはエコポイント制度開始前の市場規模レベルに戻ったと分析する。また、家電のインターネット通販は成長を続けており、2012年では家電市場全体の1割弱をインターネット通販が占めたと見られる。

 2012年の冷蔵庫市場は、数量前年比3.5%増の495万台となった。これは、エコポイント制度等の特需があった2010年の523万台に次ぐ販売台数で、猛暑や消費者の節電意識がプラス成長を後押ししたと推測する。内訳では、501L以上の大容量クラスの身長が著しく、4年間で数量構成比は7%ポイント伸長し、金額ベースでは15%を占めた。また、省エネタイプの製品が人気で、年間消費電力250kwh以下の数量構成比は前年19%から大幅に拡大し40%を占めた。

 クリーナー市場は数量前年比2%増の804万台となり、3年連続のプラス成長を記録した。傾向としては、紙パック式の掃除機が縮小傾向にあり、キャニスタータイプがマイナス成長となった一方、充電式のスティッククリーナーの人気が高まり、スティッククリーナーにおける充電式の割合は32%を占める。また、国内大手メーカーが参入したロボット掃除機も好調で、数量前年比56%増となった。タイプ別の数量構成比はキャニスタータイプが65%、スティックタイプが14%、ハンディータイプが14%、ロボットタイプが5%となった。

 調理家電では、コーヒーメーカーが好調だった。2012年のコーヒーメーカー市場は、ドリップ式が前年並みにとどまる中、エスプレッソマシン、インスタントコーヒーマシンが市場を拡大し、数量前年比8%増の179万台となった。エスプレッソマシンは数量前年比29%増の大幅な伸長を記録し、GfKでは、エスプレッソ、カプチーノなど多様なアレンジを自宅で手軽に楽しめる製品の魅力と積極的な販促が市場拡大を後押ししたとみている。ドリップ式では、保温力に優れたステンレスポットタイプが販売を伸ばし、ドリップ式における数量構成比は前年の22%から28%へ増加した。数量構成比はドリップ式が74%、エスプレッソマシンが16%となった。

 2012年の薄型TV市場は数量前年比60%減の837万台となった。エコポイント制度やアナログ停波による特需の反動は大きく、2012年は従来の水準であった1,000万台を大きく下回った。傾向としては、50インチ以上の大画面が増加しており、数量ベースで前年の2%から5%に、金額ベースで7%から18%に推移している。

 ポータブルオーディオやヘッドホン、再生デバイスなどを含むポータブルメディアプレーヤー市場はスマートフォンへの移行により、数量ベースで前年比20%減の519万台となった。しかし、音質の優れた高単価製品が身長により平均価格が上昇しており、金額ベースでは前年並みの結果となった。

 そのほか、パソコンは2006年以来のマイナス成長で1,528万台。タブレット端末は数量前年比2倍を超える300万台を達成している。デジタルカメラは、数量前年比6%減の897万だった。コンパクトカメラが減少している一方、レンズ交換式のカメラの人気が高まっており、特にミラーレス一眼は前年比56%増の77万台を記録している。携帯電話市場は前年並みの3,783万台でスマートフォンは、数量前年比63%増の2,550万台となり、携帯電話販売数に占める構成品は前年の44%から67%に拡大している。

阿部 夏子