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パナソニックのHIT太陽電池、“世界最高”変換効率24.7%を達成

HIT太陽電池のセルの外観

 パナソニックは、同社の太陽電池「HIT太陽電池」が、結晶シリコン系太陽電池としては“世界最高”となる変換効率「24.7%」を達成したと発表した。

 この結果は、セルのサイズが100平方cm以上の実用サイズで、研究レベルにおいてのもの。セルの厚みは98μm。

 今回達成した24.7%という変換効率は、HIT太陽電池の過去最高値である23.9%よりも0.8%高い数値となる。また、これまでの実用サイズで報告されている単結晶シリコン太陽電池の最高値よりも、0.5%上回っている。

 高効率化を可能にした要素技術としては、(1)再結合損失の低減、(2)光学的損失の低減、(3)抵抗損失の低減が挙げられた。

 (1)では、HIT太陽電池の特徴である、単結晶シリコン基板表面に積層したアモルファスシリコン層について、より高品質なアモルファスシリコン膜を、基板表面へのダメージを抑えながら形成する技術を確立。太陽電池内部でプラスとマイナスの電気が結合して消滅し、出力が落ちる「再結合損失」を低減するという。

 (2)については、アモルファスシリコン層と透明導電膜層の光吸収率を抑え、セル表面のグリッド電極の面積を減らすことで、遮光による電力損失を低減。(3)では、グリッド電極を改良し、電流がグリッド電極を流れる際の抵抗損失を抑えた。

 パナソニックでは、HIT太陽電池が極めて高い変換効率を有していることが実証できたとしており、また厚さ98μmで世界最高効率が実現できたことは低コスト化の観点でも意義が大きいとしている。今後は高効率化技術の量産品への適用を進めるとともに、さらなる高効率化と低コスト化、省資源化を目指していくという。

HIT太陽電池の要素技術概要図

正藤 慶一