ダイソン、羽なし扇風機の模倣品を特許権侵害で提訴

~東京地裁で輸入販売を禁止する仮処分が決定

 ダイソンは、同社の扇風機「Air Multiplier(エアマルチプライアー)」を模倣した類似品について、東京地裁に仮処分申請を行ない、製品の輸入販売を禁止する仮処分決定が出されたことを明らかにした。

 以前から羽なし扇風機をインターネット上で多数販売していた都内のA社に対し、ダイソンが所有する2つの特許権(登録第4756286号、第4892641号)に基づき、特許権侵害行為を差し止める仮処分命令を東京地裁に申し立て、8 月14 日にA社による侵害品の輸入・販売を禁止する仮処分決定が出された。

代表的な類似品3機種(ダイソン提供)

 今回権利行使をしたダイソンの特許権は、送風を効率的に行うためのノズル部分の構成に関する発明と、送風方向を上下に制御するために基部を前傾・後傾させるための構成にかかる発明を保護するもので、Air Multiplierシリーズの扇風機およびファンヒーターにおいて実施されている。

特許権を侵害した製品の例(ダイソン提供)

 同社では、同様の羽根なし扇風機が、なお日本国内において流通していることを認識しており、引き続き権利行使を行なっていくとしている。

 ダイソンによれば、Air Multiplierについては、ここ2 年間で30カ国以上の国において約500件の侵害行為が起こったという。

 日本では、昨年から同社の登録意匠権に基づき、関税法による税関における差止めが認められ、少なくとも2,000個の侵害品の輸入および約1,500個の積戻しが阻止されたとしている。

 ダイソンのリリースでは、同社チーフエンジニアのジェームズダイソン氏による「ダイソンでは、多大なる費用と時間を研究開発に費やしています。製品は独自の技術に基づき研究開発及び製造されており、英国ダイソン社は多くの特許権、意匠権、商標権を多数保有しています。技術開発は各社が独自で見出さなければならず、それが技術開発の促進につながると考えています」というコメントを紹介している。






(伊達 浩二)

2012年11月1日 00:00