エステー、測定感度が向上した7,900円の放射線測定器「エアカウンターS」

~2月3日出荷。ユーザーの測定結果を地図化するサービスも
エアカウンターS

 エステーは、家庭用の放射線測定器「エアカウンターS」を、2012年2月3日に出荷する。希望小売価格は7,900円。初回出荷数は10万個。

 同社が発売した家庭用の放射線測定器「エアカウンター」の新モデル。エアカウンターは、10月20日より9,800円で発売されたが、多くの消費者に受け入れられ、月産約1~2万個の生産体制が、需要に追いついていないという。また、当初は福島県を中心に発売していたが、関東地方でも放射線のホットスポットが見つかるなど、需要エリアが広がっているという。

 今回発売する「エアカウンターS」は、量産体制を整え、購入しやすい価格と、性能をより向上した点が特徴となる。価格については、従来より1,900円安い7,900円とした。発売時の出荷数も10万個を予定しており、全国を対象に出荷する。

 性能面では、従来のエアカウンターより測定感度をアップした。現行品では測定時間が最長で約5分間だったが、「S」では最長2分に短縮。さらに、計測中に放射線を感知するたびにブザーが鳴る機能、計測終了後、10秒経過するごとに、直近1分間の平均値を表示する機能も搭載した。

 本体サイズも変更された。従来は62×34×82mm(幅×奥行き×高さ)だったが、「S」では約22×170mm(直径×高さ)のスリムタイプとなった。また、重量も110gから60gに軽量化された。

 測定方法は、自宅や公園の砂場など放射線が気になる場所で、地上から1mの高さに本体を構え、本体の測定ボタンを押すと、空気中のガンマ線(γ線)を測定するというもの。測定範囲は、0.05~9.99μSv/h(マイクロシーベルト毎時)。

 電源は単三アルカリ乾電池1本。1日1時間の使用で約2カ月使える。連続使用時間は約60時間。付属品として、サンプル用の乾電池、首都大学東京大学院 人間健康科学研究科 放射線科学域の福士政広教授が監修する小冊子「正しく覚えよう! 放射線の基礎知識」が同梱される。

 なおエステーによると、「エアカウンター」を開発するに当たって、玩具メーカーのタカラトミーより半導体センサーの新技術の提供を受けたという。新製品の「S」については、タカラトミーグループで玩具の規格・製造・販売を手がけるタカラトミーアーツと共同で開発したという。エステーとタカラトミーアーツでは現在、「消費者の不安解消への対応、子どもたちの健やかな成長の一助となる製品」の企画・開発を進めているという。

測定方法従来モデルの「エアカウンター」

ユーザーから送られた測定結果を集積、地図化するサービスも

エアカウンターリポートのイメージ図

 エステーではさらに、「エアカウンター」「エアカウンターS」のユーザーサービスとして、自身で測定した放射線量の結果や測定場所を送信して、各地域から集まった放射線の測定結果がネット上の地図で確認できる「エアカウンターリポート」も、2012年1月10日から展開すると発表した。

 エアカウンターリポートの概要は、エアカウンターのユーザーがカメラ付きGPS携帯電話を利用し、放射線量の測定結果、測定場所の画像を送信し、同サービスのシステムが集計し、専用サイト上の地図に反映するというもの。自らが測定した結果に加え、近隣や外出先などの放射線量の状況が、携帯電話やパソコンからチェックできるという。

 送信にはエアカウンター本体に記載されているシリアルナンバーが必要となる。また、放射線に関する疑問や質問も送信でき、内容によっては首都大学東京の放射線安全管理学の専門家が回答するという。

 エステーでは、「各地の放射線データを収集することは、生活者が不安を感じている放射線の分布や放射線量などの現状を把握するとともに、学術的にも大きな意義がある」としている。なお、エアカウンターリポートのシステム構築は気象情報会社の「ウェザーニューズ」が担当する。






(正藤 慶一)

2011年12月8日 00:00