パナソニックの第3四半期、連結は赤字も単独では黒字に

~好調な生活家電、市場占有率は“過去最高”

減収減益も、経営体質の強化で第3四半期単独で黒字に転換

 パナソニックは、2009年度第3四半期(2009年4~12月)連結決算を発表。売上高は前年比16%減の5兆2199億円、営業利益は49%減の1,299億円、税引前損益は62%減の1,442億円、当期純損益は前年同期の654億円の黒字から、マイナス146億円の赤字となった。

 第3四半期単独での連結業績は、売上高が前年並の1兆8,866億円、営業利益は283%増の1,010億円、税引前損益は前年同期の591億円の赤字から脱却し、811億円の黒字。当期純損益は前年同期の631億円の赤字から、323億円の黒字へと転換した。

パナソニックの第3四半期の連結決算。4月~12月の累計ではマイナスだが……10~12月だけに限ると、前年同期の赤字から、323億円の純利益に転換した

 「第3四半期単独は増収増益となり、累計営業利益では、年間公表値を上回った。経営体質強化では、固定費の削減として、年間目標として掲げた2,600億円の削減目標に対して、この9カ月間で2,590億円とほぼ達成。損益分岐点額の引き下げとしては、年間10%引き下げの目標に対して、9カ月間で12%の引き下げに成功するなど、年間の目標を上回る形で経営体質を強化できている」(パナソニック 上野山実取締役)

 

年間2,600億円の固定費削減目標に対して、9カ月で2,590億円の削減を既に達成したというパナソニックの上野山実取締役

生活家電は好調。市場占有率は“過去最高”の29.8%に


生活家電を扱うアプライアンス部門も、第3四半期単独では好調。営業利益は前年同期比69%増という307億円となった
 2009年度第3四半期累計のセグメント別の業績のうち、白物家電(生活家電)などのアプライアンスの売上高は前年同期比12%減の8,566億円、営業利益が8%減の597億円。主要製品では、エアコンが前年同期比16%減の1,715億円、冷蔵庫は10%増の971億円。

 第3四半期単独では、売上高は前年同期比1%減の2,895億円、営業利益は69%増の307億円。エアコンは、前年同期比4%増の423億円、冷蔵庫は27%増の319億円となった。なお、営業利益は白物家電の全ドメインで増益になり、10.6%という2桁台の利益率を達成している

 上野山氏は「日本での白物家電の販売が好調で、白物家電の合計占有率は、第3四半期の金額ベースで29.8%と過去最高になった。9カ月累計でも28.3%のシェアを獲得し、前年同期よりも1ポイント増加している。ブランドを統一した成果が間違いなく出ている」と話す。

 第3四半期累計では、冷蔵庫が日本・海外ともに好調に推移したものの、エアコンおよびコンプレッサーが落ち込んだ。一方で、空気清浄機が好調な売れ行きを見せているとした。

 「白物家電の第2四半期の利益率は3.2%。これが第3四半期には10.6%に跳ね上がった。要因としては、白物家電の売り上げが増加していること、鉄や樹脂などの材料費が下落傾向にあり、材料コストの合理化が進んだことがある。また、拡売費の清算が第4四半期にずれたこともあり、固定費を含めて80億円程度、先送りになった影響もある。第3四半期の実力ベースでの利益率は8%程度」(上野山氏)


電工は苦戦も回復基調、パナホームは分譲・リフォーム事業で黒字確保

 パナソニック電工とパナホームは、売上高が13%減の1兆1,844億円、営業利益が53%減の216億円となった。電工では、電材・住設建材の販売が依然として苦戦したもの、電子材料や制御機器が好調に推移。営業利益は回復基調にあるという。パナホームは住宅市況が厳しいものの、分譲事業やリフォーム事業の販売増により黒字を確保したという。

 その他のセグメント部門での売上高は、映像、音響、通信機器を扱うデジタルAVCネットワークの売上高が、前年同期比15%減の2兆5,782億円、営業利益が46%減の529億円。デバイスの売上高は20%減の7,568億円、営業利益が61%減の212億円。その他事業の売上高は17%減の6,777億円、営業利益は71%減の83億円となった。

 なお、2009年度上期の地域別売上高は、日本が11%減の2兆7,809億円、米州が12%減の6,750億円、欧州が18%減の5,819億円、中国が16%減の5,629億円、アジアが5%減の6,192億円となった。

売上高の低下が進むパナソニック電工とパナホームだが、電工は電子材料や制御機器が、パナホームは分譲・リフォーム事業が好調映像、音響、通信機器を扱う「デジタルAVCネットワーク」も減収減益だが、第2、第3四半期で回復傾向にある地域別の売上高では、アジア圏の伸びが高くなっている

三洋電気子会社化により、売上高と営業利益は増加の見込み

2009年度は、三洋電気の子会社化により売上高と営業利益が増加するという。純損失の1,400億円は変わらず
 2009年度の業績見通しは、三洋電機の完全子会社化の影響もあり修正。売上高は3,500億円増の7兆3,500億円、営業利益は300億円増加の1,500億円、税引前損益のマイナス400億円、および当期純損益のマイナス1,400億円は据え置いた。

 三洋電機の第4四半期の業績および連結化の影響として、3,750億円増加を影響分として加味したほか、営業利益では70億円の減少、税引前利益では150億円の減少、当期純利益では100億円の減少が、それぞれ影響するという。三洋電機分を除くと、売上高は実質的には250億円の減少となり、前年比では5%減、三洋電機を除いたベースでは10%減となった。



2010年2月5日 20:23