小型エコキュートを標準装備した賃貸マンション、東京・高円寺に完成

~ランニングコストは月4~5千円おトクに

トレステージ東高円寺の外観
 東電不動産と東京電力は、マンション用の小型エコキュートを全国で初めて採用したオール電化賃貸マンション「トレステージ東高円寺」を、10月30日に竣工。11月10日、報道関係者向けに内覧会を開催した。

 エコキュートは、空気中の熱を使ってお湯を沸かすCO2冷媒式の給湯器。電気給湯器よりも消費電力が少なく、また電気料金の安い深夜にお湯を貯めておけることから、地球環境にやさしく、かつランニングコストに優れた給湯器として注目されている。

 しかし、貯湯ユニットの容量が300~460Lという、4人家族以上向けの大型製品が主流となっており、マンションなど集合住宅では設置しにくいという問題があった。

 トレステージ東高円寺では全15戸に、コロナとデンソー、東京電力の3社が開発した、少人数世帯向けのエコキュート「エコキュート・ライト」を、入居時に標準装備している点が特徴。同製品がマンションに採用されたのは、全国で初という。

玄関脇にある、エコキュート・ライトの貯湯ユニットの設置スペース。狭いスペースにピッタリと収まっているエコキュートの室外機は、各部屋のベランダに置かれている
台所に設置されているエコキュートのリモコン浴室リモコン。台所との相互通話機能を備えている


 「エコキュート・ライト」は、貯湯ユニットの容量が185Lと、1~2人の少人数世帯向けに適した点が特徴。貯湯ユニット全体のサイズが450×550×1,890mm(幅×奥行き×高さ)とスリムなため、賃貸集合住宅にも採用しやすいというメリットがある。さらに、入退去時の排水作業もボタン操作などで簡単にできるため、オーナーや管理会社の作業負担も軽減できるという。

 トレステージ東高円寺では、玄関脇にエコキュート・ライトを収納するためのスペースを確保。防水パンや、床面に負担を掛けないための器具「鉄アングル」も標準で用意している。エコキュートの収納スペースは部屋によって異なり、エコキュート・ライトがちょうど収まるタイプや、大型タイプとの入れ替えに対応する大型タイプもある。

 室内にエコキュートを設置する理由として、マンションの設計・施工を担当した積水ハウスは「従来のマンション設置では、外に貯湯ユニットを並べていたが、見栄えであったりメンテナンスの面で不安があった」としている。


大型タイプとの買い換えを考慮し、大きめの設置スペースを用意した部屋もある防水パンと床面へのめり込みを防ぐ「鉄アングル」が、各部屋に標準装備されている

 一般的な賃貸住宅と電気料金を比較すると、積水ハウスのシミュレーションでは、平均的に月4千円から5千円ほど安くなるという。 ただし、電気料金が深夜よりも高い昼間にお湯を大量に使った場合は、逆に一般的な賃貸住宅よりも割高になる可能性があるとしている。

 エコキュート・ライトを販売するコロナによると、現在の導入事例はトレステージ高円寺のみだが、導入を求める声は多く寄せられているという。

 トレステージ東高円寺の所在地は東京都杉並区高円寺南1-3-13。アクセスは地下鉄丸ノ内線の東高円寺駅から徒歩7分。重量鉄骨造りの地上3階建てで、住戸は1LDK、2K。室内面積は44.1~49.19平方m。家賃は月額13万7千円~15万円。共益費は月額4千円。敷金、礼金はそれぞれ2カ月。現在入居者募集中で、入居開始日は12月上旬。東京電力によれば、オール電化やエコキュートを採用していることで、家賃は相場と比べても高めになっているという。



そのほかの設備

室内のようす。1LDK、2Kが中心となる。エアコンは各部屋に1基ずつ採用されているオール電化住宅ということで、キッチンはもちろんIHクッキングヒーター。パナソニックのビルトイン型「S44EB1S」が備えられていた

エアコンはダイキン工業製1部屋にエアコンが2台付くため、室外機も2台。エコキュートと合わせて、合計3台の室外機がベランダに並ぶことになる

浴室には衣類乾燥機能も搭載トイレはTOTOの温水洗浄便座「ウォシュレットJ1」

キッチンには、調理中に家族と会話できる小窓が付いている部屋もある部屋の間仕切りは、半透明のガラス戸。高級感が漂うワンフロアに部屋は5戸。エレベーターはない。ちなみに共用エントランスには、オートロックとテレビドアホンを備えている



(正藤 慶一)

2009年11月11日 00:00