三菱電機、エコをテーマとした体感型展示場「EarthE」をオープン

エコをテーマとした三菱電機の体感型展示場「EarthE」

 三菱電機は、岐阜県の中津川製作所にエコをテーマとした体感型展示場「EarthE(アースエ)」を11月5日オープンした。

 同社の太陽光発電システムや、換気技術、床暖房システムなどの住宅設備を展示する体験・体感型展示場。建築主や設計者、販売店など建築設備の関係者を対象としており、一般には公開されていない。来場は予約制となっている。

 EarthEは、「省エネ・再エネ・創エネ」をテーマとした展示場で、館内は風・空気・水光をテーマとした4つのゾーンから成る。また、オール電化ハウスのモデルも併設される。

 館内では、ジェットタオルを使うことによって紙の無駄を省く、効率のよい換気によって空調に使用する電力を抑えるなどエコをテーマとした展示が行なわれる。また、EarthEの建物自体でも、ほぼ全ての照明にLED照明を採用し、使用電力を従来型照明の約30%程度に抑えたほか、外壁に設置した太陽電池で館内で使う電力をまかなうなど環境に配慮した造りとなっている。

EarthEのコンセプト概要。「省エネ・再エネ・創エネ」をテーマとしており主に住宅設備の展示を行なっている館内は4つのゾーンで区切られている外壁には太陽光発電パネルを設置し、館内で使用する電力はほとんどここでまかなうという

 三菱電機では、マーケティングコンセプトとして「eco Change」を掲げるなど、環境関連の製品に積極的に取り組んでいるほか、同社の創立100周年となる2012年までに達成すべき環境目標として「環境ビジョン2012」を掲げる。環境ビジョン2012では製品生産時と製品使用時のCO2排出量をそれぞれ30%削減することや太陽光発電システムやヒートポンプ技術などの普及によるCO2削減への貢献を挙げている。また2009年から2011年までの環境計画としては生産時のCO2排出量を18%削減、製品使用時のCO2排出量を25%削減することを掲げている。

三菱電機が掲げるマーケティングコンセプト「eco Change」創立100周年の2021年までに掲げる環境目標「環境ビジョン2012」
三菱電機 専務執行役 リビング・デジタルメディア事業本部 事業本部長 中村一幸氏

 三菱電機 専務執行役 リビング・デジタルメディア事業本部 事業本部長 中村一幸氏は、環境のために今後成長拡大させていきたい事業として太陽電池発電事業、ヒートポンプ関連事業、LED照明事業の3つを挙げたほか、リサイクル事業への本格的な取組みを明言した。同社では、2010年に千葉県内にリサイクルを目的とした素材化工場を立ち上げ、同社の家電製品に使用する約18%相当のプラスチックを自己循環リサイクルするという。

同社が今後環境関連事業として推進していきたい3つの分野とリサイクル事業同社が2010年に立ち上げ予定の千葉のリサイクル工場では、自社製品の回収・リサイクルにより自己循環リサイクルを目指すという

 中村氏は、2008年度の家電機器セグメント売上高で約56%を閉める空調冷熱分野には今後も力を入れていくとしながらも、太陽光発電事業には強い期待を寄せていると語った。自身が先月アメリカに渡った経験から「アメリカでは設置費用の元を取るという考え方がごく当たり前だが、三菱の太陽電池はその効率の良さや、安心感で確実に選ばれている。鉛を使っておらず環境に良いというのも評価されている」と話し、自信を見せた。

中津川製作所 所長 杉山武史氏

 また、中津川製作所所長 杉山武史氏は太陽電池市場は一時的に停滞しているが、今後は回復に向かっていくとし、海外市場を強化していくと共に、日本市場については「補助金再開、11月から始まる新電力買取制度など市場は急拡大していく。今後は更に強化し、特に施工研修には力を入れていきたい」と話した。

中津川製作所で扱う主な製品太陽電池事業では今後の市場拡大が見込めるとして更に強化していくという

 EarthEの館内の様子は以下、写真でご紹介する。

風のゾーン~ジェットタオルなど

館内入り口に設けられている大型液晶ビジョン。ここでは館内の概要や同社の取組みなどが映像で紹介される入り口では換気の必要性が分かりやすくパネルで展示されている住宅の換気の仕組みが分かりやすい模型で展示される。排気のファンが起動していても吸気のファンが動いていないと、室内の空気は換気のファンが設置されている部屋しか動かないという
同社のジェットタオルのラインナップ。小さな個人商店用のものから大きな会社や工場向けのもの、海外向けに開発されたものなどが揃うジェットタオルの風量の強さを体感できるコーナー。かなり力をいれないと動かせない10本の水が入ったペットボトルも、ジェットタオルの風量で簡単に動かせるこちらはジェットタオルの使用によって考えられる紙の節約について分かりやすく展示している

水のゾーン~ヒートポンプ式温水床暖房

床暖房ゾーンでは、床の高さに応じた温度を表示することで室内の環境を分かりやすく展示ヒートポンプを用いた温水式床暖房「ユカヌクール」。1台で最大60畳までの床暖房に対応するという様々な素材の床材に対応する

光のゾーン~太陽光発電システム

太陽光発電システムを紹介する光のゾーンでは実際の太陽光発電パネルを展示。大きい方のパネルで約185W、小さい方のパネルで約92.5Wの発電量となる館内では様々な種類の太陽光発電セルを展示。同社では発電効率が高い多結晶シリコンを採用する素材からセルとして完成するまでの工程を細かく展示する
発電の大変さを知るというテーマで、自転車のペダルをこぐことで発電を体験するコーナーも設置同社の太陽光発電システムは世界各地に納入されている

空気のゾーン~換気送風機など

同社の換気扇のラインナップ。中津川製作所は、換気扇や扇風機を古くから取り扱っている冷房や暖房を効率よく行なうための換気システム「ロスナイ」。外気と室内の空気を最適化するため、冷暖房の効率が良くなる
室内の風を効率よく動かす「エアー搬送ファン」なども展示される。ビルなど風の動きが少ない場所でも効率的に風を起こすことによって、冷暖房なども効率的に使えるという会場では、展示を分かりやすくするためあえて通常より低めの位置にダクトを設置。露出している学校などでも換気システムが採用されているという

オール電化体感ハウス

館内奥に設置されたオール電化体感ハウスでは、照明にはほぼ全てLEDを採用するリビングに設置された同社のムーブアイ技術が搭載されたエアコン「霧ヶ峰」リビングには同社の家電製品も展示されていた
同社の家庭用太陽光発電システムでは発電量や使用電気量をモニターで随時確認できるベランダには同社のエコキュートが設置されるエコキュートを使った給湯システムの操作パネル




(阿部 夏子)

2009年11月5日 15:12