パナソニック、人/間取り/日射しを認識して最大70%省エネするエアコン

~業界トップクラスの省エネ性能、ナノイーは1.5倍


パナソニックのエアコン「Xシリーズ」
 パナソニックは、人/間取り/日当たりを検知して自動で省エネ運転するエアコン「Xシリーズ」を、10月21日より順次発売する。価格はすべてオープンプライス。ラインナップは以下の表の通り。

型番電源冷房能力暖房能力店頭予想価格
CS-X220C単相100V2.2kW2.5kW20万円前後
CS-X250C2.5kW2.8kW22万円前後
CS-X280C2.8kW3.2kW24万円前後
CS-X280C2単相200V
CS-X360C単相100V3.6kW4.2kW25万円前後
CS-X360C2単相200V
CS-X400C単相100V4.0kW5.0kW26万円前後
CS-X400C2単相200V
CS-X500C25.0kW6.0kW29万円前後
CS-X630C26.3kW7.1kW31万円前後
CS-X710C27.1kW7.5kW33万円前後


冷房能力4.0kWクラスの「CS-X400C2」
 Xシリーズは、同社のラインナップではハイスペックモデルに当たる製品で、3つのセンサー機能を搭載することで、より高い省エネ性の実現を狙った点が特徴。同社の調べによると、約8割の家庭において、エアコンと人の間に家具が置かれているため、家具で気流が遮られエアコンの風が流れにくくなっているという。さらに、リビングの大型化により、窓の面積が拡大、1部屋当たりの窓の数が多くなっており、日差しが差し込んで温かい場所でも、無駄に暖房運転をしているケースも多いという。

 そこで本製品では、人/間取り/日射を検知する3つのセンサーを搭載。快適性と省エネ性を両立する運転を自動で行なう「エコナビ」機能を搭載した。

室内空間の大型化が進むにつれ、エアコンの前に家具があって風が遮られたり、窓から日射しが差し込んで余計に温めてしまったりなどの問題が増えてきたというそこで、従来の人センサーに加え、間取りセンサーと日射センサーの3つのセンサーを搭載。快適性と省エネを両立することを狙った

 従来から搭載されている人センサーでは、人の居場所や活動量を検知。人が居るエリアを中心に体感温度に合わせた空調を行なうことで、ムダのない省エネ運転ができるという。

 新たに搭載された間取りセンサーは、ソファーなど家具の位置を検知し、家具を避けて人に届くよう気流を制御する。家具の高さ、壁も認識できるため、快適さを保ちながら省エネ運転ができるという。なお、センサリング時には超音波を発し、超音波が跳ね返ってきたところを「家具あり」と判断している。これは、車や魚群探知機にも搭載されている技術とのこと。

 同じく新搭載された日射センサーは、窓からの日射量の変化を照度で検知。それに応じて、能力を抑えた温度制御で省エネ運転を行なう仕様となっている。

間取りセンサーは室内機向かって右側超音波からの反射で「家具アリ」と判断する。魚群探知機にも搭載されている技術だという
写真中央部の3つの丸い機械が人センサー。その右側が日射センサー照度を元に日射しを検知する

 これに伴って、同社の気流制御技術「気流ロボット」も改良。室内機の吹き出し口に長さの異なる2枚のフラップを採用することで、暖房では空気を絞り込んでより速く足元に暖房を送る「床暖ぽかぽか気流」、冷房では下部フラップを持ち上げることで天井へ冷気を飛ばし、部屋中をムラなく空調する「天井シャワー気流」の2つの気流が送れるようになった。これにより冷房能力4.0kWクラスでは、従来モデルと比べて風速が暖房時で20%向上、冷房時で10%向上した。

 この「エコナビ」と新しい「気流ロボット」により、エコナビOFF時の消費電力量と比べ、暖房時で最大約70%、冷房時で最大約50%の省エネ効果があるという。

気流技術も改良。吹き出し口内部に長さの異なる2枚のフラップを搭載を採用した風速は暖房時で20%、冷房時で10%速くなった3つのセンサーと気流技術により、暖房時で最大約70%、冷房時で約50%の省エネ効果があるという
発表会会場に設置された、エアコンの効果をモニターするための部屋。モデルさんは同社の乗馬式フィットネス機器「ジョーバ」に乗っている左の部屋で、エコナビ運転をした場合のサーモスタット映像(上)とエアコンの消費電力(下)。人が居る場所を中心に温めているため、消費電力は449Wと少ないエコナビをOFFにした場合の運転。サーモスタットを見ると、気流がソファに当たってしまい、テレビ周辺が無駄に暖まってしまっている。消費電力も1,317Wと、エコナビ時と比べて3倍ほど多い

こちらはXシリーズのエコナビをONにした部屋。ソファとテレビの間の風量は小さく、人の周辺に風が届くようになっているエコナビOFFの部屋。ソファとテレビの間で気流が遮られているため、風が人が居る場所まで届いていない

熱交換機は、冷媒管の配列を最適化
 内部構造では、熱交換機内における3種類の冷媒管の配列を最適化し、また、コンプレッサーに効率の良い集中巻モーターを採用するなど、高効率化を実現。冷房能力4.0kWクラスの「CS-X400C2」の期間消費電力量は1,272kWとなり、同社では業界トップクラスの省エネ性能としている。また、11年前のモデルと比べると32%の省エネになるという。

高効率のコンプレッサーモーターは集中巻モーターを新採用期間消費電力量は1,272kWh。11年前の機種と比べ32%省エネ化している


ナノイーのデバイスも改良。従来と比べ、ナノイーの放出量は1.5倍に増えているという
 また、従来モデルに引き続き、パナソニック独自のイオン「nanoe(ナノイー)」の発生装置も搭載。従来と比べると、ナノイーの発生量は1.5倍に増えているという。エアコンの運転終了後には、ナノイーをエアコン内部に放出して除菌する「ナノイー内部除菌」機能も備えている。

 ナノイーはウイルスの無力化や除菌/脱臭/肌のうるおい効果があるとされているが、今回は新たな効果として「部屋干し臭の抑制効果」、髪のうねりを抑える「美髪効果」もあると発表された。

 このほか、室内機のパネルには、電気代や現在の温度を表示する「エコ見えモニター」を搭載。リモコンの「お知らせボタン」を押して表示できる。なお、「エコナビ」の稼働中は、エコ見えモニター横のランプが点灯する。

新たに「部屋干し」のニオイの元となる雑菌の抑制に効果があると発表された髪のうねりを抑える効果もあるという

ナノイーの発生装置は、本体側面にある会場では、第三者による研究報告書も展示されていた第三者機関によるナノイーの効果の検証結果

 室内機のサイズは全モデルが798×268×295mm(幅×奥行き×高さ)。APFや省エネ基準達成率は現時点では公開されていない。なお、本製品は本体の高い省エネ性能に加え、使用状況によってさらなる省エネ効果を発揮する同社の家電商品群「エコナビ」の1つとして発売される。


“ウイルス対策に不安”は8割、室内の空気環境への対策が急務

パナソニック アプライアンス・ウェルネスマーケティング本部 中島幸男副本部長
 発表会に登壇したパナソニック アプライアンス・ウェルネスマーケティング本部の中島幸男副本部長は、エアコンの業界動向に触れ、2009年上期は台数ベースで前年同期比87.7%となる450万台と、天候不順により低調に終わる見通しであることを明らかにした。しかし、下期は「暖房需要が堅調に推移する」として、前年並みの250万台の需要を見通した。

 中島氏はまた、家庭における消費電力量の割合がエアコンは25.2%と、家庭の中で最も消費電力の高い製品であること指摘する一方で、業界では省エネ性能の高い、統一省エネラベル4つ星以上の製品の割合が、2008年上期の20%から、2009年には45%と、省エネシ品に構成がシフトしているデータを提示。「パナソニックとしては省エネタイプの構成比が55%と既に半分以上となっており、業界を牽引している」と、自社エアコンの省エネ性能の高さをアピールした。

 また、同社が6月に行なったウイルス対策に関するアンケートにて、現状の対策に不安を感じている人が8割以上を占めるという調査結果から「室内の空気環境への対策が急務、重要と認識している」と、空質の向上の必要性を指摘。そのうえで、今回発売するXシリーズを「さらなる省エネの追求、ウイルスの無力化、除菌をコンセプトとしたエアコン。エコナビとナノイーという、パナソニックの独自技術“ブラックボックス技術”を搭載した最先端のエアコン」と評価した。

2009年上期は、天候不順により前年同期比の87%という結果に。ただし、下期については従来並みの需要だという家庭内の消費電力量のうち、エアコンが最も大きいという調査データただし、省エネタイプの構成比は上がっている
同社の調査によると、約80%以上の人が現状のウイルス対策に不満を持っているというXシリーズでは、エコナビによる省エネ、ナノイーによる空質の向上をテーマとしている



 パナソニックでは、Xシリーズのほか、幅890mmのワイドシャーシを採用した、プレミアムモデルのエアコン「HXシリーズ」、寒冷地向けエアコン「RX」シリーズも11月より順次発売する。

 

幅890mmのワイドシャーシを採用した、プレミアムモデルのエアコン「HXシリーズ」。11月30日に発売寒冷地向けの「RXシリーズ」は11月1日発売



(正藤 慶一)

2009年10月8日 19:03