インテル、体重や血圧をパソコン上で管理する新サービスを公開

~「コンティニュア」の統一規格で異なるメーカーも通信可

測定結果を無線でパソコンに転送できるタニタの体組成計「BC-503-Continua」の試作品
 インテルは14日、体組成計や血圧計などで計測した体重や血圧などのデータを、パソコンに無線で転送し管理できるサービスを、報道関係者向けに公開した。同社ではサービスの開始時期について「今年中」との見通しを立てている。

 ネットワーク家電を用いて家庭での健康管理を促進する業界団体「コンティニュア ヘルス アライアンス(以下、コンティニュア)」が、日本市場に向けて開発したサービス。コンティニュアは2006年に全世界で設立され、現在はインテルなど約190社が加盟している。

 測定データの転送/管理には、タニタの体組成計「BC-503-Continua(試作品)」や、A&Dの血圧計「UC-772PBT」など、あらかじめコンティニュアに準拠した専用の製品を使用する。これらの機器には本体内にBluetoothが搭載されており、測定後に体重や血圧、歩数や消費カロリーなどのデータを無線でパソコンに転送、データを蓄積する。このデータ通信には、コンティニュアのガイドラインに準拠するフォーマットを使用しているため、異なるメーカーの製品であっても、コンティニュアの製品同士であれば、まとめてパソコン上でデータが受信できる。

コンティニュアに対応した測定機器。写真はA&Dの体重計「UC-321PBT」オムロンヘルスケアの体組成計「Continua対応体重体組成計」は試作品
オムロンヘルスケアの血圧計「Continua対応血圧計」(試作品)。パソコンへデータを送る場合は、「転送」ボタンを押すA&Dの血圧計「UA-772PBT」オムロンヘルスケアの歩数計も無線によるデータ転送が可能。ただし、写真右側のクレードルにセットする必要がある
体重計は自動でデータを転送する血圧計では計測終了後に「転送」ボタンが必要歩数計をクレードルの上にのせると、自動でデータをパソコンに送信する

 データは独自のローカルアプリケーション「めた簿」を使って、パソコン上で管理が可能。体重や血圧など、複数のデータをひとつのグラフにまとめて表示することもできるが、これにより健康に関するさまざまな気付きや発見が期待できるという。

 また、データはネットサービスにも使用可能。その一例として紹介されたのが、ジョギングなど運動結果を共有するSNSサイト「ジョグノート」。ジョグノートに測定データをアップロードすることで、知人に運動量のデータを見せたり、「ちゃんと運動しよう」といったコメントを書き込むといった使い方もできるという。さらに、田舎で離れて暮らす親が使用し、その測定結果で安否を確認できるという例も披露された。

これまではエクセルなどで各機器での測定データをまとめる必要があったが……アプリケーション「めた簿」を使えば、各機器から転送されたデータを自動でまとめられる。グラフ表示も可能

SNSサイト「ジョグノート」にアップしたデモ画面田舎で暮らす親の健康を見守ることもできるという利用例データを登録しなかった場合には「何かあったのかもしれません。早めに連絡してください」という警告画面も

 なお、データをパソコンへ転送する際には、オムロンの血圧計の場合は「転送ボタン」を押す必要があるが、タニタの体組成計とA&Dの体重計では、計測後に自動で転送するのが確認できた。また、オムロンの歩数計を転送する際には、専用のクレードルに載せ、そこから無線でデータを転送する仕様となっている。また、デモではタニタの体組成計で測定したデータは、計測後に体重と体脂肪率、BMI程度しか転送されなかったが、同社によれば、オプションで推定骨量や基礎代謝量といった値も転送できるという。
 
データ転送の際にパソコン画面に表示されたブラウザを見ると、血圧や脈拍の数字が確認できる体組成計で測定したデータを受信したブラウザ。体内年齢や基礎代謝といったデータは含まれていないが、オプションで送信することも可能だという

 インテル ソフトウェア&サービス統括部 アプリケーション技術部 アプリケーションエンジニアの林浩史氏は、家庭での血圧や体重測定について「従来は血圧や歩数を記録する際、自分でエクセルなどに入力したり、紙に書いて保存するという手間を伴ってきた。歩数計の中にはUSBでパソコンと繋いでデータを管理できるものがあるが、管理できるのは歩数計のデータだけで、結局、他のデバイスとはつながらない。一括管理してグラフを見たいという場合には、やはり自分で打たなければならなかった」と、データ入力面でのデメリットを指摘。そのうえで、コンティニュア準拠の計測機器を使用することについて「測ったデータがすべて無線でつながれるため、直接パソコンに入り、総合的に管理できる。測定結果をもとに専属のトレーナーがアドバイスをするなど、使い方はどんどん広がる」と、今後の展開に対する期待を見せた。

 ところで、インテルがコンティニュアの日本展開においてリーダーシップを取っている理由については「インテルはチップメーカーのため、比較的業界内で中立的にお付き合いができる特殊な立場にある。そういった立ち位置を活かし、今回さまざまな企業とうまく連携し、ユーザーの方々がメリットを感じられるような世界を作っていきたい」(インテルの事業開発本部 デジタルヘルス事業部長、コンティニュア・ヘルス・アライアンス 日本地域委員会代表 石川真澄氏)とのことだった。

インテル ソフトウェア&サービス統括部 アプリケーション技術部 アプリケーションエンジニア 林浩史氏インテルの事業開発本部 デジタルヘルス事業部長 石川真澄氏。コンティニュアの日本地域委員会代表も務める



(本誌:正藤 慶一)

2009年4月15日 00:00