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発電するガラス、自律移動ロボットなど集結「CEATEC 2023」明日17日開幕

「CEATEC 2023」が10月17日に開幕

10月17日(火)~20日(金)に、「CEATEC 2023」が千葉・幕張メッセで開催される。最新テクノロジーやサービスが披露されるこの大規模テクノロジーイベントの中から、家電やエネルギーに関連する出展内容や見どころなどを、開幕前に紹介する。CEATEC 2023の入場は無料(登録入場制)。

デジタルイノベーションの総合展示会として行なわれる2023年のCEATECは、コロナ禍を経て4年ぶりに展示とステージでのコンファレンスをリアル会場で開催。先進のテクノロジーやデバイス、活用事例が紹介されるだけでなく、サステナビリティや人工知能、デジタル田園都市国家構想をテーマとしたパネルディスカッションなども実施する。

出展社数は600社/団体以上、うち初出展は250以上を見込む。登録来場者数は10万人以上の見込み(9月29日発表時点)。

出展社のなかから、パナソニック、シャープ、日立、東芝の各社のほか、家具を動かしてくれるロボット「カチャカ」を出展するPreferred Roboticsや、コミュニケーションロボット「BOCCO emo」などを展示するユカイ工学について紹介する。

パナソニックは「発電するガラス」やV2H蓄電システムなど

パナソニックブースのイメージ

パナソニックグループは“発電するガラス”を出展。独自の材料技術やインクジェット塗布工法で発電層をガラス基板上に直接形成した「ガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池」の利用提案として、透過度の異なる4つのモジュールを展示する。

ガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池のプロトタイプ

太陽光発電や蓄電池、電気自動車を連携させて効率よく家庭のエネルギーを賄うV2H蓄電システム「eneplat」も展示。太陽光がつくる電気を、蓄電池や電気自動車にためて、必要なときに使うクリーンエネルギーの活用の仕組みを紹介する。

パナソニックグループは2030年までに自社の事業に伴うCO2排出量を実質ゼロに、また2050年に向けて、現時点の全世界の排出総量約330億トンの約1%にあたる3億トン以上の削減貢献インパクトの創出を目指しており、くらし、街・工場、モビリティなど様々な領域でのCO2削減につながる技術やソリューションを紹介する。

パナソニック インダストリーブース 展示概要

シャープは「フクロウの羽根」から着想したヒーリングファン

シャープブースのイメージ

シャープが家電などで手掛けている、動物など自然の形を模倣した「ネイチャープロダクト」について展示。生物の構造から着想を得て家電などの性能を改善してきた、これまでの15年にわたる取り組みを紹介する。

新たに生物の“動き”にも着目した運動模倣技術を初めて採用した「ネイチャープロダクト」も展開。ブースでは初披露の参考出展として、フクロウの羽ばたきを手本とし、心地よい自然の風を再現したヒーリングファン「はねやすめ」を体験できる。

次世代蓄電技術「フロー型亜鉛空気電池」のコンセプトも紹介する。大容量で高い安全性を持ち、使用する金属として埋蔵量や産出量が多く、比較的簡単に精錬できるベースメタルである亜鉛を用いるのが特徴。

そのほか、電気自動車と太陽光発電システム、蓄電池システムを連携させたV2Hシステムについての取り組みや、消費電力0Wで表示保持が可能な電子ポスターのカラーモデル「ePoster(イーポスター)」、独自の透明フレキシブルセンサーシートが“触れる”と“押す”を判別できる業界初「Click Display(クリック ディスプレイ)」、再生プラスチックを約60%使用したスマートフォン「AQUOS wish3」も紹介する。

シャープ CEATEC 2023 ニュースリリース

日立は再生プラスチックの家電や、EVの防災活用など

再生プラスチックを用いた日立スティック掃除機「PV-BH900SL」

コードレススティック掃除機の素材の一部に再生プラスチックを用いて環境に配慮したモデル「PV-BH900SL」や、ストレージ製品のベゼルにPCR(ポストコンシューマーリサイクル)プラスチックを使ったモデルを展示。環境配慮型製品により、サステナブルな社会の実現に向けた取り組みを紹介する。

電気自動車を災害時の給電装置として利用するEV活用ソリューションも開発。地方自治体が立ち上げる災害対策本部や1次避難所を対象に、必要十分なEVをマッチングして避難所に派遣するITシステムのデモなどを行なう。2021年12月より営業運転を開始した、台湾の都市間特急車両も紹介。世界の様々なデザイン賞を受賞した車両EMU3000の模型を展示する。

CEATEC 2023 日立ブース 展示情報

2種類の次世代太陽電池が東芝から。ゲリラ豪雨など高精度な気象予測も

東芝ブースのイメージ

次世代太陽電池として、高効率なCu2O(亜酸化銅)タンデム型太陽電池と、薄型で曲がるフィルム型ペロブスカイト太陽電池の2種類によって、今まで太陽電池を置けなかった場所へも設置できるというメリットを紹介する。

気象予測ソリューションとしては、気象レーダーとデータ解析技術により、ゲリラ豪雨や降雹(ひょう)、発雷、突風などの気象変化を高精度に予測して気象災害リスクを低減する仕組みについて紹介する。

CEATEC 2023 東芝特設サイト

ロボット最新動向。ユカイ工学“呼吸するクッション”、Preferred Robotics「カチャカ」

ユカイ工学の「BOCCO emo」(左)と「fufuly」(右)

家族のように話しかけられるコミュニケーションロボット「BOCCO emo(ボッコ エモ)」を展開するユカイ工学は、音声対話でシニアの日々の健康習慣をサポートする新サービスを展示。

同社の新製品としては、呼吸するクッション「fufuly(フフリー)」を先行展示する。抱きかかえると呼吸をするように膨らんだり縮んだりして、リラックスしたいときや、仕事の合間、寝る前に抱えて使用する。JT、博報堂、ユカイ工学3社による共同プロジェクトから誕生したもので、10月17日よりKickstarterで支援を募る。

ユカイ工学 ニュースリリース

Preferred Roboticsの「カチャカ」に大規模言語モデルを採用。より人の意図を理解した動作に

Preferred Roboticsの「カチャカ」は、話しかけると家具を動かしてくれる家庭用自律移動ロボット。キャスターの付いた専用家具「カチャカシェルフ」と、それを運ぶ本体「カチャカ」で構成し、目的の棚を移動してほしい場所まで運んでくれるのが特徴。

現在、大規模言語モデルを活用した新機能によって、難易度の高い抽象的な指示による操作に取り組んでいるという。例えば「リビング、ゴミ」と単語を羅列するだけでカチャカがリビングルームへゴミ箱を運ぶなど、人の指示をより認識しやすくなる機能をCEATECで紹介する。

カチャカ 公式サイト