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室内光だけで動く充電不要のワイヤレスマウス。リコーの有機系太陽電池を内蔵

リコーとビフレステックが共同開発したワイヤレスマウス「SMART R MOUSE」

リコーは、室内光だけで充電しながら使える「固体型色素増感太陽電池(DSSC)」搭載のワイヤレスマウスを、ビフレステックと共同で開発。日本国内向けに「SMART R MOUSE」として1万個限定でビフレステックから10月1日に発売される。価格は1,480円。

リコーが2月に発売したエネルギーハーベスト(環境発電)製品である、室内光で発電可能な固体型色素増感太陽電池モジュール「RICOH EH DSSC2832」を搭載したマウス。この電池を一般向けに初めて実用化した製品となる。

左が搭載するDSSC太陽電池。500円玉ほどの大きさ

リコーの固体型色素増感太陽電池(DSSC)は、同社が複合機の開発で培った有機感光体の技術を応用したもの。電解液を用いる電池とは違い、液漏れや腐食といった心配がなく、照度の低い室内光でも高い発電性能を持つことを特徴としている。

分類上は太陽電池だが、シリコンではなく有機材料を使うため、紫外線などの影響を受けないように主に室内での利用を想定する。電池そのものの耐用年数の目安は、1日8時間発電した場合で5~6年。

数量限定で発売されるマウスSMART R MOUSEは、この電池と、ビフレステックが選定したリチウムイオンキャパシターを搭載。1日12時間、600lx照明が照射されている環境であれば、1日1時間程度のパソコン操作でマウスを使う場合、充電不要で使えるという。使い捨て電池を使用しない「環境にやさしいマウス」としている。フル充電時の連続使用は約18時間(自然放電などを考慮しない計算値)。

付属のUSBレシーバーをパソコンに接続して、2.4GHz RFのワイヤレスマウスとして利用可能。使用時は手で電池部分を覆う形になるため、マウスに長く手をのせ続けるような使い方ではなく、時々マウスを動かす(パソコン使用中の5%程度)ような、比較的ライトな用途に向いた製品となっている。

使用例

マウス本体は折り畳み可能で、使用しないときは折り畳んで上にパネルを向けた状態にすると、効率よく充電できる。折り畳み中はマウス電源はOFFになるが、太陽電池での発電やリチウムイオンキャパシターへの充電は行なわれる。

なお、USB経由でも充電可能。付属のマグネット式USBケーブルをパソコンに接続して、約90秒という短時間でフル充電できる。

折り畳んだ状態
USBレシーバーをマウス本体に収納できる

マウス操作は2ボタンと中央のスクロールセンサーを利用。読み取りは光学センサー方式で、分解能は1,200dpi。本体サイズは57×109×39mm(幅×奥行き×高さ)、重量は60g。レシーバーは15×19×6mm(同)で、2g。レシーバーはマウス本体に収納して持ち運べる。

低照度で発電するDSSCを、様々な分野のIoT化へ

リコーが今回マウスを共同開発したのは、低照度で動作するDSSCを使った製品を一般用途に向けて提供することで、多くの人がこの電池に触れる機会を設けるため。

今後IoT社会が進むことを見込み、使われるセンサーの電源としてDSSCが活用されていくことを想定。ハードウェアだけでなく、サービスを含めた提供を目指すという。

同社はDSSCを使った環境センサー「D101」を現在開発中。温度/湿度/照度/気圧/キャパシター電圧の情報を取得してBluetooth送信できるもので、電気工事や電池交換は不要。工場や倉庫、オフィスなど様々な分野のIoT化への活用を見込んでいる。

DSSCを使った環境センサー「D101」。中央のDSSCは1.7×1.9cmの小型サイズ