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シャープ、電子レンジと融合した「クッキング冷蔵庫」に「愛情ホット庫」など。歴代冷蔵庫を一挙公開
2017年12月13日 12:16
シャープは、冷蔵庫の世界累計生産6,000万台達成を発表し、歴代モデルの公開や冷蔵庫工場の見学を、大阪府・八尾事業所においてメディア向けに開催した。
同社は、1957年に冷蔵庫第1号となる「HR-320」の生産を、大阪府・平野工場でスタート。高度経済成長期を背景に家電の需要が高まり、以降は八尾工場を竣工し、量産体制を確立した。
シャープでは、チルド室の先駆けとなるフレッシュルーム搭載モデルや、左右どちらからも開ける「どっちもドア」など、さまざまな冷蔵庫を展開。さらにはインドネシアやタイといった、グローバルでの生産も拡大し、冷蔵庫生誕60周年を迎える2017年に、世界累計生産6,000万台を達成した。
電子レンジと融合した「クッキング冷蔵庫」や、-17~60℃に温度設定できる「愛情ホット庫」など
生産6,000万台達成に合わせ、八尾事業所では、第1号機からクラウド連携の最新モデルまで、歴代の冷蔵庫が公開された。
初代モデル「HR-320」は、容量91Lで当時の家庭用として最適のサイズだったという。1日の電気代は10円で、従来の「氷冷蔵庫」で必要だった日々の氷代と比較すると経済的だったとしている。
その後、現在の冷却方式の主流となる「ファン式霜なし 2ドア冷蔵庫 SUH-162」(1968年)、チルド室の先駆けとなるフレッシュルーム搭載「SJ-1971」(1972年)、野菜室独立の先駆けとなる「独立野菜室 3ドア冷蔵庫 SJ-3300X」(1974年)などを開発。
1980年以降は、電子レンジと融合した「クッキング冷蔵庫 SJ-30R7」(1986年)、左右どちらからでもドアが開ける「左右開き(どっちもドア) 冷凍冷蔵庫 SH-38WH」(1988年)、-17~60℃に温度設定できる切替室を搭載した「愛情ホット庫 SJ-HV46J」(2005年)など、業界初の機能を備えたモデルが登場した。
現在は、大容量冷凍室を備えた「メガフリーザー」や、ドアに軽く触れるだけで自動で開く「電動どっちもドア」、クラウド連携のAIoTなどを特徴としたモデルを中心に展開。
シャープ 健康・環境システム事業本部 メジャーアプライアンス事業部長 菅原 靖文氏は、「電動どっちもドアは、開発から30年目を迎える『どっちもドア』の集大成ともいえる機能です。シャープの冷蔵庫は、常にお客様の生活に寄り添う視点で生み出してきました。今後も変わらぬ視点で開発して参りたいと思います」と述べた。
日本市場向けモデルを生産する八尾工場を見学
さらに、八尾事業所内にある冷蔵庫工場も公開。八尾工場では、容量350L以上の日本市場向けモデルを生産している。
製造はまず、外箱の成形・組立ラインからスタート。シート材に穴開けや切込み加工を行ない、高周波加熱やフランジ成形加工を施し、フチを曲げて形作り。その後、外箱にセットされた凝縮器(コンデンサパイプ)をアルミテープで固定する。凝縮器は、サイドコンデンサとホットパイプを一体化した構造で、溶接点数が少なく、商品信頼性向上と省エネ性に役立っているという。
外箱がU字に曲げられると、内箱を取り付ける自動組立ての工程に。2つの金型を載せた移動式台車が交互運転しながら、外箱に内箱を自動的に組み込んでいく。
なお工場では、容量やサイズごとにグルーピングして数量単位で製造するロット生産を採用。製造工程に誤りがないよう、製品固有の生産情報をバーコード化し、製品本体に自動貼り付けを行なっている。バーコードラベルの情報により、製品プロセス管理やライン制御がされている。
断熱材として使われているウレタン素材の実験も行なわれた。ウレタンの材料となる、イソシアネートとポリオールの液体が用意され、2つを同じ紙コップに入れて勢いよく攪拌。するともこもこと膨らんでいき、あっという間に紙コップから溢れるほど膨張していた。手を近づけてみるとほのかに温かく、時間が経つと完全に固まるという。この素材が冷蔵庫のすみずみにまで使われており、真空断熱材とあわせて冷蔵庫の断熱性を保ってるという。
庫内の部品やドアは、手作業で取り付け。最後は梱包作業となり、バーコード情報で冷蔵庫のサイズを判別し、最適なサイズにカットされたビニールが自動でかぶせられる。ダンボールに梱包された後は工場外に搬出され、その後量販店などに流通する。
同社の冷蔵庫工場は、日本・インドネシア・タイ・中国の世界4カ国に生産拠点を構えている。菅原事業部長は、グローバル生産拠点について次のように語った。
「八尾工場は日本市場向けのモデルを生産しており、マザー工場という立ち位置になります。ハブ工場はタイにあり、ASEANや中近東アフリカ、欧州市場など全世界に向けて流通しています。日本で培った技術である、省エネ性や使い勝手などはグローバルモデルにも活かされ、そのうえで世界各地域のお客様の生活に対応する商品開発をしています。特に東南アジアではまだ冷蔵庫の普及率が低く、今後も重点市場として注力していく予定です」