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中国・北京で行なわれたダイソンの発表会に潜入! 1年間使った空気清浄機のフィルターがすごかった

 ダイソンは4月19日、空気清浄機能付きファン「Dyson Pure」シリーズのグローバル向け発表会を中国・北京で開催した。発表会が行なわれたのは、中国・北京にある古いビール工場をリノベーションして作られた現代アートの拠点、北京今日美術館だ。

空気清浄機能付きファンの発表会が開催された北京今日美術館

 今回発表したのは、日本市場でも3月29日に発表された、Dyson Pure Cool Link空気清浄機能付ファンの最新モデル。進化したフィルターを搭載し、PM0.1レベルの微粒子も99.95%と、有害なガスを捕らえて、清浄された空気に循環させることが可能。基本的なハードウエア構成は日本で発売されているモデルと共通だが、連携するアプリ周りで、中国国内のインターネット仕様にマッチするようにカスタマイズされているという。

中国市場向けのアプリ。花粉に関する表示など国による情報の違いはあるが基本的な機能は同じだ

 ダイソンは2011年に中国市場に進出。主にコードレス掃除機と羽根のない扇風機を中心に販売しているという。中国市場ではまだまだ、ほうきを使った掃除が主流と言うこともあり、2016年は前年比244%と大幅な売上げ増を記録。急成長を続けている。

 ダイソンによると、空気清浄機能を備えたPureシリーズの開発は、同社幹部が十数年前に中国を訪れたことがきっかけだという。そのときに世界規模での空気汚染が広がり始めていることを知り、それらに対応するためにDyson Pureシリーズは開発された。

 今回、Dyosn Pureシリーズの空気清浄機の最新モデルが、中国市場でお披露目された。会場には、中国国内を始め、アジア圏から多くのプレスが集まっていた。北京での発表会でダイソンが最も強く伝えていたのが、「空気の質の大切さ」と「室内の循環させること」の2つだ。

中国市場ではタワーファンの人気が高いとのことで、日本向け発表とは異なり、タワーファンがメインで展示されていた
性能が向上した360°HEPAフィルター。あらたにホルムアルデヒドやベンゼンなどの有害なガスも捕らえられるようになった

 清浄されたキレイな空気がしっかりと遠くまで届くのがDyson Pure Cool Link空気清浄機能付ファンの特徴。開場ではシャボン玉を利用して、6m先まで空気が届けられることがわかるデモを用意。空気をしっかりと循環させられることがわかった。

空気清浄機能付きファンから放出された空気が6mの距離まで届くことがわかるシャボン玉のデモ

 また、開場の入り口には1年間北京の一般家庭で利用したフィルターを展示。Dyson Pure Cool Link空気清浄機能付ファンに取り付けられていたものだが、その汚れ方は壮絶の一言。日本では考えられないレベルの汚れが付着していた。これが、室内の空気中を漂っていたとは考えたくないほどだ。Dyson Pure Cool Link空気清浄機能付ファンでは、この強烈な汚れをしっかりと漉し取っていることがわかった。

強烈な汚れが付着した360°HEPAフィルター。北京の一般家庭で使用されていたものだという。これを見ると空気清浄機が欠かせないことがわかる

高気密住宅では空気を循環させることで空気の質が改善できる

 発表会では、まず「空気の質の大切さ」を解説。中国において健康科学に基づく子育て知識の普及活動に取り組む医師、ツィ・ユタオ博士と、建築学の視点から中国の住環境を語るゲストとして、建築家の青山周平氏が登壇。住宅内の空気をどのようにして、キレイにするか、そして空気の循環の大切さについて解説した。

30年にわたって臨床小児医学の分野で活躍されてきたツィ・ユタオ博士

 まず、現在の中国の、一般住宅内の空気環境は、あまりにも悪いとツィ博士は語る。その原因はPM2.5だけでなく、循環することなく停滞する二酸化炭素など、多くの要素があるという。

 「中国の南方に行くと、何もないのに、北京に帰ってくると咳が出るという子どもがいます。その原因は簡単には特定できません。PM2.5などは空気清浄機で解決できますが、多くの場合、それで解決できるのは空気清浄機の周りだけ。空気清浄機の周りだけキレイにしてもダメなのです」

 ではどうするべきなのか。空気の質をよくするために欠かせないのが、室内の空気の循環をよくすることだという。現在の中国の家庭環境は気密性が非常に高いという。このため、空気の循環が少ない。そこで、Dyson Pureシリーズのようなキレイに清浄した空気を遠くまで届けられる空気清浄機が欠かせない。さらに問題はPM2.5だけでなく、多くの汚染物質に対応することだ。例えば、子どもの衣類をキレイにするために使う消毒剤も、これ自体が、一種の汚染物質だと教授は語る。

 「病院で勤務していますと、消毒剤入りのウェットティッシュを使う親御さんをよく見ます。これらは口に入れたら大変。子どもの健康のためにも、安全な環境作りは非常に重要です。また、カーテン、ソファ、絨毯。これらもすべて汚染源になります。子どもは背が低いため、より、多くの汚染にさらされるのです」

 子どものいる室内空間の状況を改善するために、しっかりと換気することで空気を循環させ、さらにPM2.5に限らず、さらにいろんな汚染物質をしっかりと空気清浄機で除去する必要があるのだ。

中国で絶大な知名度を誇る建築家の青山周平氏。

 続いて登壇した青山氏は東京大学卒業後、北京に移住。中国版「解決ビフォーアフター」とも言われる、人気の住宅リノベ-ション番組「無想改造家」に登場したことで、中国国内でも絶大な知名度を誇る建築家だ。

 青山氏はリノベーションを通して、宅内の環境を改善、具体的には室内の空気の循環をよくすることを提案。具体的なプロジェクトについて紹介、風通しを改善することと、光を採り入れることが重要だという。

 「現在、私たちの居住環境は、ますます密閉されています。しかし、窓を開けて換気をする人が少ないのが現状です。これはやはり汚染に関する配慮があるからです。しかし、空気の循環は必ず考えなければなりません」

建物の構造や大きさにあわせて、風の流れを考えることが建築からのアプローチだ

 青山氏によると、地域による風の向きや建物自体の長さや広さ、形によって、さまざまな空気の循環方法があるという。また、日本式エアコンを使って空気を循環させる機械的な方法もあるが、残念ながら中国では性能として不十分だと語る。それは空気を濾過する必要があるためだ。

ジェットフォーカステクノロジーが循環を促す

 ダイソンでエンジニアで空調家電の責任者を務めるポール・ドーソン氏も登壇した。ドーソン氏によると、全世界で約92%の人が汚染された空気の中で生活しているという。そして、この数値は前年よりも改善することはないという。

ダイソン空調家電担当グローバル製品開発ディレクターであるポール・ドーソン氏も発表会に登壇

 そんな中、ダイソンでは世界的な空気汚染について「何か方法はないか」と検証を重ねてきたという。そして伝統的な方法に対して、疑問を持ち、挑戦するなかで「清浄機能を持つ扇風機」を開発したと語る。そのポイントは以下の3つだ。

・高効率で有害物質を捕らえること
・効率よく風を届けること
・清浄された空気を循環させること

 1つめは、フィルター技術だ。ダイソンでは10年以上前に微生物学実験室を作り、ダニ、カビ、花粉といった微生物の研究をスタート。また、有害ガス、VOC(揮発性有機化合物)について調査し続けている。そうして開発したフィルターは200回以上、折り重ねることで、PM2.5よりも遥かに小さい、PM0.1の超微小粒子を99.95%除去する性能を実現している。

 「私たちは、フィルターについて努力を重ね、活性炭の量を3倍に増やしました。顆粒状の活性炭をトリス緩衝液でコーティングし、フィルター内部に配置することで、よりたくさんのVOC(揮発性有機化合物)を捕らえることができます。また、フィルターの周囲をゴム製フレームにすることで機密性を高めており、吸い込んだ汚れた空気を漏らしません」

進化した360°HPEAフィルターを搭載したことをアピールするドーソン氏

 また、空気清浄機能付きファンは、部屋の反対まで届くパワフルな風を起こすことができる。さらにダイソン独自のエアマルチプライヤーテクノロジーによりパワフルな気流を生み出して、部屋の空気を大きく対流させられるという。こうして、室内の空気の循環を生み出すことで、空気清浄機能付きファンのそばにいない人でも、きれいな空気を吸えるのだ。

 現在、中国の家庭環境も変化してきており、客間の広さは平均30m2、ベッドルームは平均18m2だという。部屋が小さくなり、高気密になるとそれだけ空気の停滞が発生する。ダイソンの調査によると53%以上のユーザーが空気清浄機を部屋の隅に置いており、それではしっかりと空気を清浄できないという。

直接風を当てないのが、快適に使うコツ

 最後にドーソン氏は空気清浄機能付きファンの使い方のコツを教えてくれた。

 「空気清浄機能付きファンの役割は、室内の空気の循環にあります。なので、特に夜使う場合は、空気の循環を促進するために使う。そうすることで、88%の人々が、よりよく眠れるという研究結果もあります」

 また、ダイソンは中国の家庭環境に関するテストラボを上海に作ることを表明。ハードウエアのエンジニアや中国のデジタル環境に合わせるためのアプリのエンジニアも育成するとした。この投資により、さらなる研究開発を進め、問題解決を目指すとしている。