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パナソニック、ベルリンで立ち上がる大規模なスマートシティ構想への参加を表明
2016年9月1日 11:47
IFA2016に出展するパナソニックは現地時間8月31日に記者会見を開催し、ドイツでは初めてのスマートシティ構想となる「Future Living Berlin」の立ち上げを発表した。
本プロジェクトのメインプレーヤーにはパナソニックのほか、ベルリンに拠点を構える建築設計事務所のKrebsコーポレートグループのほか、建設業者のGSW Sigmaringenが参加に名乗りを上げた。パナソニックは国内の「Fujisawa SST(藤沢SST)」をはじめ、いくつかのプロジェクトが進行するサスティナブル・スマートタウンの街づくりによって得た技術とノウハウを同プロジェクトにも活かす。
同社の役回りは主に再生可能エネルギーやセキュリティ、モビリティシステム、クラウドサービスの技術提供となり、開発プロジェクトの総指揮はKrebsグループが担当する。
「Future Living Berlin」の開発予定地はベルリン南東部の郊外、アドラースホーフの街にある約7,500m2の空き地。この場所の開発を2017年中頃に着工し、2018年末までの街開きを予定する。敷地内には全て新築となる69家族が入居できる集合タイプのスマートホームがつくられる。
入居者は今後、公募によって選ばれるが、パナソニック独・蘭のマネージングディレクターであるChristian Sokevic氏は「家族から学生、介護が必要なお年寄りまで年齢・国籍を問わず幅広い属性の入居者を募りたい」と壇上でコメントした。
新たに建設されるスマートホームには、各棟に太陽電池パネルによる発電設備のほか、ヒートポンプの技術を使った蓄熱設備などが整備され、入居者が高効率なエネルギー循環システムを利用できる環境作りを目指す。入居者によるエネルギーの利用データはクラウドサーバーに保存され、モバイル端末上でモニターしながら管理できる仕組みもつくる。
パナソニックのSokevic氏は「BtoB、BtoC向けの両方に展開してきたスマートセキュリティの製品、サービスのノウハウが活かせる」とも語る。同社にはホームセキュリティに関する多様なユーザーのニーズに応えられる豊富な経験があると、Sokevic氏はアピールする。
また藤沢SSTにおける電気自動車や電動アシスト自転車のシェアリングサービスについても、新たに立ち上がるベルリンのスマートシティ構想の中に組み込まれる。
IFA2016にパナソニックが出展するブースでは「Future Living Berlin」のコンセプトを模型とともに展示。スマートホーム関連の先端テクノロジーを紹介している。Krebsグループの社長であり、同プロジェクトの全体設計を担当するKlaus D. Krebs氏は「スマートホームの構築において、一般的に最も困難であるとされるのはよいプラットフォームをつくること。
今回ベルリンで立ち上がるスマートシティ構想については、ドイツのスタートアップ企業であるWibutler社の開発によるスマートホームのためのプラットフォーム技術を採用する。異なる種類のデバイスを柔軟に結びつけることができて、しかも発展性・拡張性の高いプラットフォームであることが採用の決め手になった」と述べている。
プレスカンファレンスの壇上にはパナソニック欧州社長のローラン・アバディ氏も登り、「スマートシティは今後全世界で需要の拡大が見込まれる市場。開発に携わる者は、目先のライフスタイルをスマートに変えることだけでなく、地球環境にもやさしい持続可能な技術開発であることを強く意識して、より良いライフスタイルと社会づくりに貢献しなければならない」と強調する。アバディ氏は壇上で、今後もパナソニックが推進するスマートシティのプロジェクトを全世界で成功させて、これを実績として示していく考えを伝えた。