長期レビュー
シャープ「ウォーターオーブン ヘルシオ AX-CX1」 その1
シャープ「ウォーターオーブン ヘルシオ AX-CX1」 |
寒さもわずかだが和らぎ、新しい生活を心待ちにしている方も多いのではないだろうか。これから初めて一人暮らしをするという方は、新居探しから、家具や家電製品を買いそろえるなど、忙しいに違いない。そして、真っ先に浮かぶのは、今や一家に一台の電子レンジやオーブンレンジだろう。
家電製品は1度購入すると数年、場合によっては10年以上使い続けることになるため、新規購入ならなおさら長く使い続けられるものを選びたいはずだ。今回はコンパクトになったシャープの「ウォーターオーブン ヘルシオ AX-CX1」を試してみたので、操作感や、ファミリータイプとの違いなどをレポートしてみたい。
メーカー | シャープ |
製品名 | ウォーターオーブン ヘルシオ AX-CX1 |
希望小売価格 | オープンプライス |
参考価格 | 59,800円(ヨドバシカメラ) |
■あのウォーターオーブンのヘルシオが、軽く、コンパクトに
ヘルシオと言えば、“水で焼く”、つまり過熱水蒸気を使って、ビタミンを守りながら、余分な塩分や油を落とす「ウォーターオーブン」が有名だ。以前にも、ファミリータイプの「AX-X2」をご紹介したことがあるが、揚げ物などのカロリーを抑えたい筆者は、そのヘルシー効果を身をもって実感している次第だ。
また、スチームを使ったあたため機能も優秀で、中華まんを簡単にしっとりふっくらと温めてくれるので、AX-X2導入後は、餡がやたら熱いだけの中華まんとは別れを告げている。さらにパンを焼くなどのオーブン機能も大活躍中である。
そんな便利なヘルシオだが、シングルライフには少々大きすぎると思えるシーンがあるのも事実。まず、その物理的なサイズだ。キッチンにおけるその存在感は圧倒的である。「うちのキッチンには大きすぎ」という理由で、導入を見送っていた方もいるに違いない。庫内は広く、「ご飯を1膳温めるのにはちょっと大げさかな……」と思うこともある。
一人暮らしでは、冷蔵庫の上に電子レンジを設置するパターンをよく見かけるが、AX-X2ではそれもできない。また、2枚付属する角皿は、たくさんのオーブン料理を作りたいときには便利だが、普段は2枚のうち1枚は常に控え選手になりがちである。
そんな悩みを解消するのが「AX-CX1」というわけだ。本体サイズは、490×400×345mm(幅×奥行き×高さ)、重さ約17kg、容量18Lと、小型冷蔵庫のトップテーブルに設置できるサイズ、および背面を壁にぴたっとつけられる省スペース設計が特徴のコンパクトなヘルシオなのだ。付属品として、角皿1枚、調理網1枚、水タンク、つゆ受け、取扱説明書とレシピ集を兼ねたクックブックが1冊付属する。AX-X2には付いてきたミトンは付属しない。
本体正面 | 上から見た様子。左上に見えるのは排気口 | 右側面 |
左側面 | 背面 |
内部の様子。角皿受け棚は2段分あるが、2段調理用ではない | 付属品の角皿と調理網。角皿はどの向きから入れても棚にセットできる | 角皿の裏面 |
角皿に調理網をセットした「高アミ」状態。調理網を裏返してセットすると「低アミ」。メニューによって使い分けられる | 角皿セットイメージ | 角皿のサイズ比較。左が「AX-X2」、右が「AX-CX1」。思ったほど違いがない |
設置する際、従来タイプの「AX-X2」とコンパクトサイズの「AX-CX1」を並べてみたところ、違いは一目瞭然。設置後のキャビネット周辺もだいぶすっきりした印象になった。
高さの違い。左が「AX-CX1」、右が「AX-X2」 | 幅の違い。手前が「AX-CX1」、奥が「AX-X2」 |
軽くなったのは重量だけではなかった。ヘルシオは、ドアの開閉により電源が入るのだが、AX-X2の場合、大きいだけあって少々力を要する。ドアを引く力と、閉まる直前のバン!という衝撃を抑える力が必要なのだ。気をつけないと、拙宅の安いキャビネットは全体が激しく揺れて、庫内の飲み物などがこぼれてしまう。その点、AX-CX1のドアの開閉は、かなり軽くなっていた。勢いに任せて思い切り閉じてはいけないが、以前ほど神経を尖らせることはなくなった。地味だが、かなりうれしい変化である。
キャビネットに「AX-X2」を設置した状態 | キャビネットに「AX-CX1」を設置した状態 |
■性能はそのままに、使い勝手はアップ
操作部 |
AX-CX1の操作部は、ドアの左側に配置されている。基本となるのは、動作のスタートキーとして動作する「あたため/スタート」キ-、メニュー番号の選択や、時間、分量、状態、手動加熱の出力指定などができる「回転つまみ」だ。
これらのほかに、自動でレンジ加熱するときや、、最大 500gまでを100g単位で指定できる「解凍」キー、操作や加熱を途中でやめるときに押す「とりけし」キー、加熱時のパワーを200W/500W /600W/950Wの中から指定し、時間もコントロールできる「手動加熱」キー、あたため開始後に仕上がり温度を強/弱で変えられる「仕上がり・温度」キーなどが用意されている。
これらのキーを用いて、8種類の機能を使い分ける。まずは、自動、サックリ、しっとりといった3種類のレンジ機能が使い分けられる「あたため」。次に、冷凍食品の「解凍」、「蒸し物」、上のヒーターから加熱する「グリル」。また、100℃以上の過熱水蒸気で加熱する「ウォーターグリル」、上下のヒーターで庫内温度を一定に保って加熱する「オーブン」、指定した温度を保ちつつ、100℃以上の加熱水蒸気で加熱する「ウォーターオーブン」、45℃までの水蒸気加熱する「発酵」など水蒸気を使った調理メニューも備える。
ドアには選択できるメニューや機能が25種類記載されており、すべては「回転つまみ」で選べる。また「手動加熱」キー押すことで、メニューの17番以降の呼び出しが素早くできるようになっている。
主なボタン操作 |
表示部の液晶は2.4型の単色だ。普段使っているAX-X2では、カラー液晶を使用しているので、寂しく感じるのではないかと思っていたが、全く不自由は感じなかった。むしろ、動作がキビキビしていて心地よいくらいだ。
AX-CX1は、ドアの開閉の軽さ、独立キーによる選択のしやすさ、表示の速さなどから、次の動作をスムーズに行なえる。表示のための待ち時間がなく、食材を入れたらすぐ「あたため」キーを押せるので全くストレスがない。全体的にとても使いやすいと素直に感じられた。
ドアの開閉、水タンク、つゆ受けの扱いなどヘルシオならではの操作方法を動画で紹介 |
また、密かに感動したのは、水タンクの扱いやすさだ。AX-X2は、細長く大きな水タンクをセットする必要があり、満水時の扱いはかなり神経を使う。AX-CX1の水タンクは本体に合わせてコンパクト化されており、形も片手でグリップできる扱い易いサイズになった。当然容量も減っているのだが、ウォーターオーブンも、蒸し物も、水が足りなくなって困ることはないのでご安心いただきたい。
水タンク | つゆ受け | ドアを開けた状態 |
■絞られているが、不足は感じないメニュー数
選択できるメニューは、ドアに表示されている |
選べるメニューは、クックブックメニュー82種、自動メニュー49種、健康メニュー13種となっており、揚げないから揚げも、とんかつも、コロッケも作れるし、塩分を落としながら魚を焼くこともできる。ただ、ファミリータイプと比較すると、だいぶ少ないのは事実だ。単純に数だけ見ればスペックダウンだが、ターゲット層に合わせて、よく使うメニューに絞り込んだという印象だ。
以前の筆者なら、単純にメニュー数が性能比較の条件に入っていたが、滅多に使わない、ほぼ使わないものもあると分かった今は、AX-CX1の内容で十分だとも思える。「飲み物のあたためも回転つまみではなく、独立したキーとして欲しいな」と思った程度で、「これができないのは困る」という場面には、今のところ遭遇していない。
表示されているもの以外は“作れなくなった”のかというと、そうではない。AX-CX1の庫内側面には、上下2段の角皿受け棚が用意されているが、調理そのものは1段に限られており、付属の角皿も1枚のみという物理的な制約がある。このため、2段使った調理や、同時調理などのセットメニューはできないが、基本機能に変わりはない。
自動調理メニューとしてプリセットされていないだけで、手動加熱を使えば従来通り幅広い調理が可能になっている。その意味で、AX-CX1は、自炊派向けの、より身近なフレンドリータイプと言えるだろう。
次回からは実際の調理例をご紹介しながら、より細かい使用感をお伝えしよう。
2011年3月2日 00:00
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)