長期レビュー

象印「真空内釜圧力IH炊飯ジャー 極め炊き NP-LU10」 最終回

~ご飯料理が楽しくなる多彩な炊飯メニュー
by 藤山 哲人

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



象印「真空内釜圧力IH炊飯ジャー 極め炊き NP-LU10」

 前回は、さまざまな炊飯メニューの紹介をして、調理メニューの説明が掲載できないという事態になったが、最終回の今回は調理メニューにあわせて、メンテナンス性と保温機能を紹介していこう。

1回目/2回目

熱々ごはんが12時間の保温機能

左側の「保温」ランプで状態が示される。

 保温機能は各社差別化をしづらいところで、象印の炊飯器も他社同様に高温保温と低温保温の2つのモードを持っている。

 高め保温は、家族の帰る時間がマチマチという場合に利用する短時間保温だ。およそ70℃で保温しご飯のにおいの発生を抑えるという。

 低め保温は長時間向けで炊き上がりから12時間おいしさをキープする。こちらは夕飯の残りを翌朝に食べるときなどに使うといいだろう。12時間以上経過すると自動的に高め保温に切り替わるので、熱々の朝ごはんが食べられる。

 高め保温の限界時間は、4時間~8時間といったところだろう。4時間保温したご飯は炊き上がりと遜色なかったが、8時間を越えるとかなりパサつき、色も黄色みかがっていた。味の濃い洋食と食べるなら8時間が限界、お漬物でご飯を食べるなら4時間が限界といったところだろう。

高め保温で8時間経過したご飯。見た目は炊き上がりと遜色ないご飯粒を拡大すると、水分が結構抜けている様子が分かる炊き上がりのご飯粒。水分が多くふっくらしている

多彩な調理メニューで自家製寄せ豆腐からスパゲティーまで!

無調整の豆乳とにがり、そして本体添付の調理鍋とフタを使う。

 ご飯の炊飯メニューも多彩だったが、調理メニューもさまざまなバリエーションがあり、料理が楽しくなる炊飯器だ。本体メニューには、ケーキ、豆腐、ヨーグルト、温泉卵、調理(煮込み料理)が用意されており、さらにカラーのレシピブックにはさまざまな料理が掲載されている。

 まずは寄せ豆腐に挑戦してみた。用意するのは、次の材料だ。

 注意するのは、豆乳パックの容量。どう見ても1Lパックなのだが、メーカーによって容量が900ccだったり800ccだったりする。いっぽうレシピは、500ccが基本単位となっているのでパックの容量に注意しよう。

 またマニュアルに掲載されていて初めて知ったのが、一概に「にがり」と言っても、豆乳を固める成分のマグネシウム含有量がマチマチということ。にがりの養分表示をよーく見て、100ccあたりマグネシウムが1,000mg程度であれば、豆乳500ccに対して20~30ccのにがりを入れる。またマグネシウムが3,000mg以上含まれている場合は、3~7ccと桁が違ってくるので注意しよう。

 豆乳は調理鍋に入れ、ライターなどであぶって泡を消す。

にがりの量やパックにより容量がマチマチなので、必ず計量カップで量って豆乳を注ぐこと着火用のライターを使って泡を火であぶると簡単に泡が消せる

 何度か作って見たのだが、豆腐作りのポイントはにがりの量もさることながら、いかに均一に豆乳に混ぜるかにかかっているようだ。

 にがりを一気に投入するのではなく、数滴落としては攪拌しを繰り返すと、きれいな豆腐ができる。一気ににがりを入れると、次の写真のようにうまく固まらない場合がある。

ちょっとずつ入れては混ぜ、入れては混ぜを繰り返すと成功率が高くなるにがりを一気に入れると固まらない場合がある

 にがりの量や加熱時間はまったく同じでも、にがりの入れ方1つで、できあがりがまるで違うのにはビックリだ。

きれいな豆腐の完成!にがりをちょっとずつ加えて作った豆腐

 温泉卵も簡単だ。他のメーカー同様に、規定値では40分になっているが、黄身までトロトロの場合は20分が目安。黄身がもっちり、白身さらさらなら25分が目安だろう。

サラダにローストビーフと温泉卵を添えると豪華な一品になる。しょうゆ系のドレッシングがピッタリで、子供たちに「また作って!」と大好評もちろんマッシュルームピラフも象印の炊飯器で炊き上げたものだ

 もう半年も炊飯器のレビューをやっていると、炊飯器調理の腕も上がるってモンで、時間をうまく使って調理できるようになる(笑)

 レシピブックにあった変わりモノとして実験してみたのは、ビーフン。5合炊きだと2人前しか作れないのが泣き所だが、スープと鷹のツメを炊飯器に入れて、加熱すること40分でご覧のような仕上がりに。

ビーフンは水で戻さずそのままスープに投入40分で旨そうなビーフンができた!

 ビーフンが仕上がる5分前あたりを見計らって、具材を炒めはじめ、できあがったビーフンと具材をあわせると五目ビーフンの完成だ。

キャベツに竹の子、にんじんときくらげ、チャーシューにエビ。ビーフン自体に味が入っているので、具材は軽く塩とコショーでOKできあがったビーフンを汁ごと投入して軽く混ぜる2人前を1人で食べたのでおなかいっぱい

 5人家族の我が家にとって2人前しか作れないのは問題だが、家族が帰省したタイミングを狙うことで問題を回避。とってもおいしいビーフンだが、1人で食べたことは家族には内緒になっている。

 なおレシピブックには、トマトベースのシーチキンパスタも掲載されていた。

 材料を全部入れて、パスタのゆで時間に関わらず20分加熱するという豪快さにビックリしたが、かかる時間を味を考えると、パスタのみは鍋でゆでたほうがいいみたいだ。

シーチキンとトマトビューレ、たまねぎとスープ。ここに半分に折ったスパゲティーも入れてしまう!味はいいが、舌触りがイマイチ。パスタ同士がくっ付いたり、ザラっっとした感じが残る

圧力式なのに部品点数は最小限でメンテナンスもラクチン!

 象印の炊飯器は、圧力式ながら流しに持っていく部品は、内釜のほか2点だけ。1つは上ブタ、もう1つは蒸気排気ユニットだ。

ロックレバーを指1本で外せる上ブタすんなり抜ける蒸気排気ユニット

 上ブタの蒸気バルブ2つは、指が入らないので水で流すだけとなってしまうが、炊飯器が熱いうちに洗ってしまえば簡単に汚れが落ちる。排気ユニットは2つに分解して中まで洗えるようになっている。

ステンレス製なので汚れは簡単に落ちるいい意味で大雑把に作ってあるため非常に洗いやすい

 象印の炊飯器で気になったのは、オネバがかなり上のユニットまで上がってくる点だ。白米の炊飯では分からなかったが、ピラフなどの色が付いたものを炊飯すると、排気ユニットまで上がっていることが分かる。

上ブタの内釜側にもびっしりデンプン質が付いているフタ内部も汚れているのが分かるだろう

 排気ユニットも含めて使い終えるごとに洗ったほうがよさそうだ。フタの内部と排気ユニットの差し込み口は水洗いできないので、水にぬらしたフキンなどで汚れを落としてやる。

油汚れでも簡単にキレイになったメニューによってはココまで汚れる場合があるので注意

オリジナルレシピ 似非チャーシュー!

ブタ ロース(バラだと脂っこいかも?)と、にんにくとしょうが、それにネギの青い部分だけ

 象印の炊飯器のフィナーレは、筆者オリジナルのチャーシューをご紹介しよう。材料は、これだけ。スーパーの特売品でブタロース肉があるときに作るといいだろう。

 チャーシューは焼くものだが、炊飯器でもおいしいチャーシューが作れる。煮込みに使うのは、肉が浸る程度の水に塩と砂糖、しょうゆ、それにお酒を加えたもの。濃さは味見できる程度で、飽和溶液にする必要はない。前回紹介したビックル液(香味野菜は入れない)に1日肉を漬け込んでおくともっとおいしくなるが、ここでは漬け込まずに煮込んでいこう。

水500ccに、砂糖が大さじ3杯ほど、塩が大さじ2杯。風味付けのしょうゆは大さじ1~2で、照り出し用に酒かみりんを大さじ2程度入れる材料を全部お釜に入れて煮込むだけ。好みで鷹のツメを入れてもいい

 これで下ごしらえはおしまい。あとは調理モードで60分煮込めばいい。

調理モードで60分煮込めばOKできあがり! うまそー!切ってみると肉汁があふれる仕上がりに!

 これだけだと煮ブタでしかない。そこで今度は、仕上がった煮ブタをフライパンで焼く。これで煮ブタは、一瞬でチャーシューに変身だ。強引だけど……

 本当は、焼き網を使って焼くほうが全体に焦げ目が付いておいしそうなのだが、奥さんが帰省中にガスコンロを汚してしまうと、また怒られてしまうので、ここでは断腸の思いでフライパンを使った。

本当は焼き網を使ったほうがいい。ここでは家庭事情でフライパンを使っている調味液をさらに煮込んで、付けダレにする

 煮込んだときに使った調味液は、フライパンに移して煮込むだけで付けダレになる。味見して「濃いな~」と思うまで煮詰まったら完成。肉にからむように、片栗粉などでトロみをつけてもいい。盛り付けるときに、ネギを載せると立派な小鉢のできあがりだ。

どう見てもチャーシューでしょ?

 肉の周りにできたコゲが香ばしさを出し、煮ブタだけど味はチャーシューそのものになる。つまみにしてよし、チャーハンなどの具材にしてよしと何かと使える便利な一品だ。

 さて3週間に渡ってお伝えしてきた、象印「真空内釜圧力IH炊飯ジャー 極め炊き NP-LU10」だが、一言で言うと

料理が楽しくなる炊飯器

と言えるだろう。それはご紹介してきたレシピの数でお分かりの通り。レビュー中に家族全員が帰省して、家には俺1人という状態が数日間あったにも関わらず、セッセと料理していたくらいだ。多彩なメニューは、アイディアと想像力でさらに応用範囲を広げ、炊飯器というより、マルチ調理機器と言ったほうがいいのかも知れない。



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2010年1月25日 00:00