【IFA 2012】
シャープ、欧州向け冷蔵庫や電子レンジのラインナップを拡大
IFA 2012のシャープブース |
シャープは、IFA 2012の会場において、販売店関係者などを対象として白物家電を展示した。欧州市場向けに冷蔵庫や電子レンジなどを投入している同社だが、プラズマクラスターイオン関連製品などの小物家電によって、市場参入を模索している様子が見て取れた。
■冷蔵庫と電子レンジはラインナップを拡大、タッチパネル搭載の冷蔵庫も
欧州市場向けの新製品として展示していたのが、8月から出荷を開始したサイドバイサイド型の大型冷蔵庫である「SJ-FS810シリーズ」である。
600Lタイプの4ドア冷蔵庫で、最大の特徴は、冷蔵庫前面にタッチコントロールパネルを搭載している点。このタッチバネルを通じて、氷が製氷できていることや、庫内にプラズマクラスターイオンを発生させていること、省エネ運転していることなどを表示。さらに、製氷する氷のサイズを選択するといった操作が可能になる。
シャープが展示した欧州市場向け冷蔵庫製品群 | サイドバイサイド型の大型冷蔵庫「SJ-FS810シリーズ」 |
冷蔵庫前面にタッチコントロールパネルを搭載 |
また、ドアを開けると、ドアの取っ手部に埋め込まれたLEDが光るといった工夫もしている。冷蔵庫内部は細かく区分けして収納できるようになっており、ボックスごとにどんな食材を収納すれば良いかも図柄で表示されている。
氷のサイズもパネルから操作できる | ドアを開けると、ドアの取っ手部に埋め込まれたLEDが光る |
冷蔵庫内部は細かく区分けして収納できるようになっている | 扉内部のサイドポケットも同様に図柄を表示 |
そのほか、同社では、冷蔵庫の製品群として様々なバリエーションを用意。「欧州市場では、上が冷蔵、下が冷凍といった製品が多いが、最近では下に冷蔵を持ってくるといった製品も人気が出ており、シャープでも両方のラインアップを揃えて展開している」としたほか、日本で高い評価を得ている両開きのドア「どっちもドア」を、「デュアルスイングドア」の名称で製品化している。
他のサイドバイサイド型冷蔵庫でも収納部を細かく分離している | 日本で「どっちもドア」と呼ぶ「デュアルスイングドア」を搭載 |
庫内にプラズマクラスターイオンを発生させる点も差別化の1つ | 冷凍庫を上部に配置したモデルも用意 |
電子レンジも、シャープがすでに市場参入している分野であり、ここでもラインアップを拡大していることを強調してみせた。
最上位となる「R-94ST」などのハイエンドクラスにはインバーター技術を採用。ステレンスを活用した高級感を持つ製品を品揃えする一方、普及モデルではODM(設計から製造までの委託製造)を活用した製品群を幅広く用意している。
ステンレス素材により高級感を打ち出した電子レンジ | 電子レンジの高機能モデルはタイの生産拠点で生産している |
日本ではヘルシオシリーズにあたる製品として、欧州市場向けに専用に開発された「STEAMWAVE」シリーズを展示していた。
これは2年前から欧州市場向けに投入している製品であり、現時点では、まだ認知度向上が課題とはいえるが、同社の健康指向を打ち出した製品展開の1つとして、今後の取り組みが注目されるところだ。
電子レンジの製品群。右側がODMで生産している普及モデル製品群 | 2年前から欧州市場向けに投入している「STEAMWAVE」シリーズ |
■プラズマクラスター搭載の扇風機や空気清浄機を紹介
同社が欧州市場に向けて、新たに参入準備を行なっていることをうかがわせたのが、小物家電製品だ。
すでに日本では発売されている、上下・左右に首振り運転する「3Dファン」を、日本で発売しているブラック、ホワイトをはじめとして、9色のカラーバリエーションで用意。「高濃度プラズマクラスターイオン7000」の発生装置を搭載した扇風機であることを訴求。また、空気清浄機やプラズマクラスターイオン発生機もラインアップを増やし、この分野での先進性を訴えた。
さらに、日本でも今年6月に発表したばかりのスロージューサー「ジュースプレッソ」も参考展示。「今回の展示での反応をみて、欧州市場への投入を検討していきたい」としていた。
3Dファンは9色のカラーバリエーションを用意した | プラズマクラスターイオン発生機や空気清浄機も展示 | 日本で6月に発表したばかりのスロージューサー「ジュースプレッソ」も参考展示 |
一方、一般来場者が見学可能な展示ブースでは、シースルー太陽光発電パネルの展示にスペースを割いていたのが特筆できよう。
これは日本では2012年10月からの本格発売を予定しているもので、欧州市場への投入は現時点では未定だという。
採光と発電を両立する建材一体型の太陽電池パネルで、すでに試験的に導入している神奈川県のリコーの社屋や、三重県の鈴鹿市民会館での事例などを示しながら、屋上だけでなく、壁面などにも設置でき、省エネ性の実現や、周辺地域に馴染んだ建物デザインが可能なことを示した。
さらに、HEMS関連では、日本ですでに発表している「電力見える化システム」を参考展示。専用タブレット端末や、タップ、中継器などを展示していた。
シースルー太陽電池パネルを使ってブースを構成 | HEMS関連では「電力見える化システム」を参考展示 |
■フリースタイルAQUOSは、欧州で来年発売予定
テジタル家電関連では、90型の液晶テレビを展示したほか、ICC-4Kテレビを参考展示。「90型の液晶テレビは、すでに米国では発売しているが、欧州では2013年度第1四半期(2013年4~6月)の発売を予定している。一方で、ICC-4Kテレビは、AQUOSとは別のブランドで展開することを想定している」などとした。
さらにすでに日本で発売しているフリースタイルAQUOSは、新たな提案として、2013年度第1四半期を目標に欧州市場での製品投入を検討していくという。
90型の液晶テレビをはじめ、大画面製品を展示 | 90型テレビは実際にリビングの雰囲気を持たせながら展示 | 3.5mの視聴距離の提案はシャープが日本の量販店店頭での展示手法と同じ |
AQUOS NET+の名称でインターネットテレビとしての提案も行なった | 2013年度第1四半期での欧州市場投入が予定されているフリースタイルAQUOS |
ICC-4Kテレビは専用ブースのなかで体験できるようにしていた | 右がICC-4Kテレビ。奥までピントをあわせた形で再現する |
100Wの大型スピーカーを搭載したGX-M10を展示 |
日本では発売していないオーディオ関連製品としては、100Wの大型スピーカーを搭載したGX-M10を展示。同製品は、iPhoneやiPadを接続して利用することもできる。
BtoB関連製品では、マルチタッチが可能な80型および70型の大型液晶ディスプレイや、日本で発売しているBigPadを展示。BigPadでは、日本と同様に、教育分野や医療分野などを対象に販売していくことになるという。
マルチタッチが可能な80型および70型の液晶ディスプレイも展示 | BigPadには実際に手書きを体験してみる来場者が目立った |
また、IGZO液晶に関する展示も行なっており、こちらはより製品化を意識した形での展示となっていたのが特徴だ。
手書きが可能なパッド型端末や、31.5型の液晶ディスプレイといった具体的な製品の形をみせており、亀山第2工場における第4四半期での大型IGZO液晶パネルの量産開始に向けても順調に準備が進んでいることを示した。
IGZOのロゴとともに展示に力を注いでいた | IGZO液晶は、製品化を意識した形での展示を行なっていた。写真は31.5型の液晶ディスプレイとして展示 | 手書きが可能なデバイスとしても利用できる |
32型パネルによる比較展示。右側がIGZO液晶 | 6.1型のWQXGAを実現したIGZO液晶 | 消費電力の少なさも特徴だ |
今年9月15日に創立100周年を迎えることも訴求 | ブース内には創業者である早川徳次氏の写真もあった | シャープブースのテーマは「This is Why」。これは欧州における同社が使用するキーワードでもある |
(大河原 克行)
2012年9月12日 12:46