やじうまミニレビュー
手書きの文字を一瞬でデータ化&クラウド連携できるデジタルノート
by 藤原 大蔵(2014/11/19 07:00)
ノートに書いた筆記文書を、書いたそばから「一瞬」でデータ化(デジタル化)できる、スグレモノの筆記具が登場した。コクヨS&Tの「デジタルノート CamiApp S」を紹介しよう。
メーカー名 | コクヨS&T |
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製品名 | デジタルノート CamiApp S |
品番 | NST-CAS-NA5 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 22,000円 |
筆記した文書が一瞬でデータ化される秘密は、本体パッドと専用ペンにある。パッドの上に置いたノートに専用ペンで書くと、パッドに仕込まれた電磁誘導センサーが、詳細にペンの軌跡を読み取ってデータ化する。データ化するのにカメラもスキャナーも要らないのだ。
データ化された文書は、スマホに転送して、管理・編集できるほか、筆記文字のテキスト化、クラウドへのアップロードも手間をかけずにできる。アクションマーカー機能を使えば、瞬時に共有もできる。
シリーズのラインアップは、見開きの「ノートブックタイプ」と「メモパッドタイプ」の2種類に、それぞれAndroid版とiOS版があり、合計で4種類となる。今回はその中から、ノートブックタイプのAndroid版を購入した。
デジタルノート CamiApp Sは、パッド(本体)、専用ノート、専用ペンと筆記具らしいシンプルな構成だ。
閉じた状態でノートを含むサイズは179×258×38mm(幅×奥行き×高さ)。ペンは長さ16㎝、重さは18g。長さも重さも一般的なものと同じだが、先端の直径は12mmと若干太い。ノートとペンをまとめた重さは755g。多少ずっしり感はあるが、カバーを付けたiPad 2とほぼ同じ。ペンホルダーとカバーベルトも付いているので、スマートに携帯できる。
使う前の準備は、大きく分けて4つある。
(1) 電池をパッド本体に装着し、充電する
(2) 専用ノートをパッドに貼り付けて固定し、ノートの種類を設定する
(3) 手持ちのAndroid端末に、専用アプリを2種インストールする
(4) 本体と端末をBluetoothでペアリングする(NFCにも対応している)
前準備は、取り扱い説明書に沿って行なえば、(充電時間を除いて)30分ぐらいで済んだ。詳細は、ホームページの「設定マニュアル」で確認していただきたい。
準備の補足として、充電に必要なMicro USBケーブルが同梱されていないので、充電は手持ちのAndroid端末の充電ケーブルとACアダプターを利用した。満充電までは一晩もかからない。満充電後の連続筆記時間は4時間。専用ペンに電池は不要だ。
準備が済んだらいよいよ使ってみよう。使い方は至極簡単。ノートにペンで書く感覚と全く同じだ。ノートは、「打合せ記録」ノートを使っている。
書く→保存する
書いて保存は本当に簡単だ。本体の電源を入れたら(ステータスLEDが緑色に点灯)、あとはいつものようにペンを持って、ノートにどんどん書きこんでいけばいい。書いた軌跡はパッド面が読み取る。その間、ステータスLEDが緑色からオレンジ色に変わり確認できる。
保存は一瞬で終わる。書き終えたら、紙面右下にある「SAVE」ボックスに「チェックマーク」を入れるだけで保存が完了する。保存が確定すると、ステータスLEDが3回点滅して知らせてくれる。
書き進めるなら、ページをめくって書き進み、同じようにチェックし、ページごとに保存していく。スイッチを入れる以外、普通のノートに書くのと同じ感覚で進められる。
保存したデータをスマホで取得、確認する
パッドに保存した筆記データを、スマホで取得するのもとても簡単だ。データは、インストールしたアプリの「CamiApp」内に取り込まれ、アプリ内で管理・編集ができるようになる。取り込み方法は、設定時に手動/自動と選択できる。
【手動取り込み】
本体の電源は入れたまま、スマホのアプリ「CamiApp」を開く(Bluetoothの接続を確認)。CamiAppのトップ画面下、「チェックマーク」をタップすると、本体へパッドに保存されたデータの取り込みが始まる。
【自動取り込み】
自動取り込みならば、文書作成の前に「CamiApp S」アプリ内で設定しておく。アプリを立ち上げ(Bluetoothの接続状態で)、画面内の「本体設定」をタップし、「自動取り込み」にチェックを入れる。
設定しておけば、ノート紙面右下の「SAVE」ボックスに「チェックマーク」を入れた10秒以内に、スマホアプリへの取り込みが自動で行なわれる。自分の使い方に合わせて、手動/自動を選ぶといいだろう。
【文書の確認】
取り込んだ文書の確認は、「CamiApp」アプリでできる。アプリのトップ画面の「すべて」をタップして「すべて画面」に切り替える。タイトルとサムネイルが表示された中から、確認したいデータをタップすると、「詳細画面」に切り替わる。表示されたノートの画像をタップすれば、書いたものが画面いっぱいに表示される。
表示されたデータは、ノートをそのまま撮影した画像のように鮮明だ。細かな文字もハッキリ読め、筆跡のクセまでそのまま再現されていた。
1画面戻って「詳細画面」を見ると、文書にはタイトル、作成日なども自動で付いている。これなら後でも整理しやすい。驚いたことに、図形こそ認識されないが、コメント欄には手書きした文書が「テキストデータ化」されていた。
書き方の癖や書き順などで、文字認識の精度は左右されるが、コメント欄にあるテキストは、スマホのキーボードで即座に編集できる。このテキストデータは、文書の検索のキーワードに使えるところがポイントだ。
取り込んだ筆記データをアップロードする
取り込んだデータをクラウドサービスへ簡単にアップロード(共有)できる点も、本製品の大きな特徴だ。対応クラウドサービスは、お馴染みのEvernote、Dropbox、Googleカレンダー、Yahooボックスをはじめ、全部で12種類と多彩。もちろん、スマホ内のアルバム等へもアップロードできる。
クラウドサービスの設定は、設定マニュアル参照して「CamiApp S」アプリでしておく。設定は数ステップでできた。クラウドサービスの目的に合わせて、JPG、PDF、情報付PDFの中から変換形式が選べる。
アップロードは「CamiApp」アプリ内で簡単にできる。共有したいファイルを「詳細画面」で表示させ、次に画面左下のマークをタップすると、先に設定したクラウドサービスへの「共有先画面」が立ち上がる。その中から希望のサービスを選べばアップロードが完了する。
実際にPDFファイルに変換し、DropboxとGoogleカレンダーへアップロードした。
PCのブラウザーでDropboxを確認してみると、すでに「CamiApp」フォルダーができていた。その中に、転送したデータがPDFファイルとして筆記した姿のまま確認できた。これをPCにダウンロードすれば、スマホとは全く別に管理、応用ができるだろう。
Googleカレンダーに転送したものは、データを作成した(保存した)日時に「予定」の1つとしてアップロードされていた。カレンダー内の「説明」には、テキスト化されたデータが入っており、これも編集できる。いつ、そのノートを書いたのか忘れずに覚えておけるだろう。
以上のように、1つの筆記ファイルを元に、目的に応じて複数のクラウドサービスへ何度でも使い回しができるのだ。
瞬時に自動タグ付け&自動アップロードができる、アクションマーカー機能
ここまでは、手書きでノートを書いて保存→スマホの「CamiApp」アプリへ取り込み・確認→クラウドサービスへアップロードを段階に分けて手順を追ってきた。
ところが、ノートを書いて保存したら、一発でアップロードまでできる方法があるのだ。それが「アクションマーカー機能」だ。この機能を使えば、スマホに取り込んだ瞬間に、データには自動でタグが付き、クラウドサービスへ自動でアップロードしてくれるようになる。
もちろん、そのためには前もって設定をしなければならない。だが、この設定も「CamiApp」アプリ内でできる。
アプリのトップ画面右下の歯車マークをタップすると、「設定」画面に変わる。設定画面の「アクションマーカー設定」をタップすると、数字とマーク(※)が並んだ「アクションマーカー設定」に切り替わる。
(※数字横のマークは、従来のCamiAppがスマートフォンと連携したアナログノートと互換性を維持しているそうだ)
その中の番号をタップすると、「アクション設定」画面に切り替わるので、用途に応じて「アップロードするサービス」と「タグ」を選ぶ。それぞれ自由に組み合わせられる(クラウドサービスとタグの種類は、設定マニュアルを参照して前もって設定しておくこと)。
アクションマーカーを実行するのに、特別な手順は何も要らない。ノートに書き終えたら、「SAVE」ボックスの左にある「Action」ボックスに、アクションマーカーの「番号」をかき入れ、最後に「チェック」を入れればマーカー付き文書で保存される。
手動取得なら、スマホにデータを取り込んだ瞬間にタグ付けと同時に、クラウドサービスへアップロードが実行される。自動取得なら、ノートにチェックした10秒以内にどちらも実行される。書いたそばからアップロードされるので、とにかく面倒臭さが微塵もない。
デジタルノート CamiApp Sは、ビジネスシーンに特に威力を発揮する魅力的なツールになるだろう。というのも、商談中や訪問先でPCやスマホを操作するのは相当ためらうものだが、本製品はソフトカバーの付いた普通のノートに見えるので、堂々と広げられる。それでいて、書きながら同時進行でスマホに取り込み、共有までできてしまう。あとで議事録を起こすのも相当ラクになるだろう。
価格は必ずしも手頃ではない。だが、思い立った時に、ササッと絵も文字も書ける「手書きの良さ」と、管理、編集、共有、検索が容易な「デジタルの良さ」が同時に得られるのは、他ではなかなか見当たらない。まさに、ハイブリッド筆記具の決定版として、仕事にプライベートに大いに活用してはいかがだろうか。