やじうまミニレビュー
ダイキン「バイオ抗体フィルター KAF979B4」
~インフルエンザ感染リスクを下げる空気清浄機フィルター
by 伊達 浩二(2013/5/17 00:00)
花粉シーズンが終了して空気清浄機のメンテナンス
5月も中旬となり、関東地方では花粉の飛来も、ほとんど感じられなくなった。ずっと稼働していた空気清浄機も、手入れが必要だ。
我が家では、猫を飼っているので、通常は1年を通して空気清浄機を動かしている。しかし、フィルターの掃除や交換などのメンテナンス作業を忘れがちなので、ゴールデンウィーク前後をメンテナンスをする時期と決めている。
今回紹介するのは、今回のメンテナンスで追加したダイキン工業の「バイオ抗体フィルター KAF979B4」という製品だ。
我が家では、ダイキン工業の2008年モデルの空気清浄機「ACM75J-W」を使っている。 バイオ抗体フィルターは、現在発売されているダイキン製の空気清浄機全機種と、一部のエアコンにオプションとして用意されている。インフルエンザウイルスの不活性化に効果があるという。残念ながら他社製品には対応していない。
メーカー | ダイキン工業 |
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製品名 | バイオ抗体フィルター KAF979B4 |
希望小売価格 | 2,100円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 1,830円 |
本来は、冬の季節性インフルエンザの時期に活躍する製品だが、中国での鳥インフルエンザA(H7N9)の死亡者数も増え続けていることを考慮して、新たに試してみることにしたのだ。人から人への感染が確認されたわけではないが、気味の悪いニュースで、気になっていたからだ。
なお、バイオ抗体フィルターは、現時点ではH7N9型インフルエンザウイルスの不活性化が実証されているわけではない。装備することによって、インフルエンザの感染するリスクが下がるだろうというのは、私個人の判断だ。まぁ、やれることはやっておきたいという気分だ。
今回は空気清浄機のクリーニングの様子も交えながら、バイオ抗体フィルターの取り付けと、その後の感想を紹介する。
触れたインフルエンザウイルスを不活性化するフィルター
バイオ抗体フィルターについて、もう少し補足しておこう。
「バイオ抗体フィルター」は、ダイキンが2003年に、5つの機関と共同開発した製品だ。共同開発には、早稲田大学、国立感染症研究所、エル・エス・エル、ファーマフーズ研究所、ゲン・コーポレーションが名を連ねている。
発表時のニュースリリースでは、「鶏卵抗体を活用し、空気中のインフルエンザウイルスを瞬時に不活化するバイオフィルター技術」と説明されている。
その効果は、「バイオフィルターにインフルエンザウイルス飛沫を通す検証実験により、バイオフィルターに噴霧した99.99%のインフルエンザウイルスが10分以内に不活化されることを確認しております」というものだ。10分以内が“瞬時”かという個人的な疑問は残るが、このフィルターにインフルエンザウイルスが触れると、ウイルスが働かなくなるという機能は分かる。
最近のダイキンは、空気清浄機の外に放出する「アクティブ プラズマイオン」も導入しているが、もともとは空気清浄機内に吸い込んだ空気を浄化する「光速ストリーマ」に力をいれているメーカーだ。つまり、空気清浄機自体が、外から空気を吸い込まないと効果がないバイオ抗体フィルターとは相性が良い構造なのだ。
空気清浄機内はホコリだらけ
では、実際に空気清浄機にバイオ抗体フィルターを取り付けてみよう。
バイオ抗体フィルターのパッケージは、新聞紙に近い大きさがある。厚みはほとんどなく、中にはフィルターが封入されているだけだ。
空気清浄機のフィルター交換をしたことがある方はお分かりだと思うが、稼働している空気清浄機の内部はホコリだらけと言って良い状態だ。ここからは、そういう写真が多いので、クリックして拡大するときにはご注意いただきたい。
作業の前には、汚れても良い服装に着替え、電気掃除機とマスクと軍手は用意しておこう。あらかじめ新聞紙などを敷いておくと良いかもしれない。また、万一に備えて、空気清浄機の電源コードは抜いておこう。
フィルターの交換方法は、空気清浄機の機種によって異なるが、だいたいフロントパネルを開けることから始まる。
機種によって異なるが、空気清浄機のフィルターの構造は、大きなホコリや毛を止めるプレフィルターとメインのフィルターの、2つのフィルターがセットになっていることが多い。以下は、ACM75に沿って説明するが、だいたい手順は同じだ。
まず、一番外側に見えるプレフィルターから掃除を始める。我が家では、飼い猫の鉄蔵がいるので、一般のホコリに加えて猫の毛がプレフィルターに貼り付いている。電気掃除機でホコリと猫の毛を吸い込む。これできれいにならない場合は、プレフィルターを水洗いして乾燥させる。そのフィルターが洗って良いものかどうかは、各機種の取扱説明書を参照されたい。なお、このプレフィルターは2週間に1回の手入れが必要とされているが、サボりがちで3カ月に1回程度になっている。
次に、プレフィルターの内側にあるプリーツフィルターを交換する。この空気清浄機の場合、プリーツフィルターの片面は白なのだが、そこにホコリがびっしり付いて黒っぽくなっている。今回、使っている「ACM75J-W」という空気清浄機は、本体内に交換用のプリーツフィルターが用意されているので、それに交換する。1年に1枚ずつ交換するようになっていて、最初から7枚付属しているのだ。なお、プリーツフィルターは洗ってはいけない。
これまでフィルターは、プレフィルターとプリーツフィルターの2枚だったのだが、その内側にバイオ抗体フィルターを追加する。取り付け方法は、「光触媒&ストリーマ脱臭触媒」という一番奥にあるユニットを本体から取り外し、その裏側に取り付ける。
バイオ抗体フィルターは白色だ。フィルター本体は薄い。向こうが透けて見えるぐらいの密度で、フィルターの繊維が見えており、通気性は悪く無さそうだ。
取り付け方法は、フィルターのフチに開いている穴を、触媒ユニットの突起に合わせてはめるだけで、難しくない。裏表もないので、取り付けはごく簡単に終わる。なお、バイオ抗体フィルターの寿命は、プリーツフィルターと同じく1年とされている。
バイオ抗体フィルターの装着が終わったら、分解した手順と逆に、触媒やフィルターを本体に組み付ける。電源コードをコンセントに差し込み、電源スイッチを入れて、いつもどおりに動いていること確認して終了だ。
約2,000円の投資で、インフルエンザリスクを下げる
空気清浄機の掃除をすると、部屋の空気がきれいになったことがわかる。これまでも空気清浄機が動いていたわけだが、まるで空気清浄機を買い直したかのような差がある。
今回は、バイオ抗体フィルターを新しく追加したので、内部の抵抗が増えて、運転音や風量が変わるかと思ったが、特に変化は感じられない。当たり前のことではあるけれど、風の質が変わったという印象もない。
つまり、バイオ抗体フィルターは、「インフルエンザのリスクを下げた」という安心感を得ることはできるが、それ以上の実用的な効果は感じられない。あらかじめわかっていたことではあるけれど、ちょっとさみしい気もする。
とはいえ、家族に乳幼児やお年寄りが居る場合、2,000円前後の投資で、少しでもインフルエンザのリスクが下がるならアリだと思う。いや、学校や会社を休めない家族にとっても投資する価値はあると思う。
なお、バイオ抗体フィルターは、ある意味、なまものなので、その効果は取り付け時が最高で、だんだん下がっていくことが予想される。今回は、我が家の習慣の関係で5月に取り付けたが、できれば秋ごろの寒くなる季節に取り付けた方が、季節性インフルエンザ対策としては有効だろう。
もちろん、冒頭で触れた新型鳥インフルエンザの件もあるので、とりあえず取り付けできる製品には取り付けておくのも良いのではないだろうか。
【重要】リコール対象機種なので、そのチェックもお忘れなく
レビューは以上で終わりなのだが、我が家で使っている「光クリエール ACM75J-W」を含む、ダイキンの空気清浄機には大規模なリコールがかかっているので、それも紹介して終わりたい。
いずれも、発火の可能性がある重要なリコールなので、この機会に該当機種であるかどうか確認することを強くお勧めする。ウチの製品も対象機種で部品交換を行なった。
まず、空気清浄機「光クリエール」と加湿空気清浄機「うるおい光クリエール」については2006年から2009年に製造した製品が対象となっている。電気集塵部の不具合で発煙・発火に至る可能性がある。リコールによって無償点検・修理が行なわれる。→詳細はこちら
また、除加湿清浄機「クリアフォース」については、2007年から2011年に製造された製品が対象となっている。除湿エレメントの発熱により発煙・発火に至る可能性がある。こちらは、クリアフォースの新製品との交換が行なわれる。→詳細はこちら
リコール対象のチェックと、フィルターのメンテナンス、バイオ抗体フィルターの追加を終えて、リフレッシュした我が家の空気清浄機は、まだ何年かは活躍してもらうつもりだ。