やじうまミニレビュー
WATANABE「くるくる鍋」
~お湯を沸かすと洗濯機のように渦巻く鍋
by 石井 和美(2013/4/8 00:00)
今、話題となっている鍋がある。お湯を沸かすと渦が発生し、鍋の中で渦が発生するWATANABE「くるくる鍋」だ。同社のサイトには、ビュンビュン渦を巻いている動画が紹介されており、興味津々だ。
渦を巻く利点としては、混ぜる手間がなくなる、早く茹で上がる、吹きこぼれにくくなる、アク取りが簡単になるなど、色々あるようだ。日頃料理に追われる主婦として、もし本当にそうならば嬉しい。さっそく購入して試してみることにした。
メーカー | WATANABE |
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製品名 | くるくる鍋 ガス専用18cm |
希望小売価格 | 9,800円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 9,800円 |
くるくる鍋は日本製で、重みがあり、丁寧に作られている。サイズは180×150mm(直径×高さ)で、重量は1.4kg。外鍋のほかに、渦状の水流を起こすパーツ「くるくるリング」とガラス蓋が付属している。なお、本製品はガス専用となる。
激しく渦を巻く鍋! まるで洗濯機
さっそく使ってみよう。くるくるリングが水に3分の2以上浸かった状態で、ガスコンロの中央に置いて火にかける。お湯の温度が上がってくると、ゆっくりとお湯が回り出した。次第に、中心に向かって流れができて、グルグルと洗濯機のように激しく回っている。
同社によれば、お湯が渦を巻くメカニズムは、鍋の下から上昇してくる水が、付属のくるくるリングのフィンによって、回転しながら鍋の中心方向に向かって流れ、渦巻きが発生するとのことだ。
まずブロッコリーを茹でてみることにした。小房に分けて一株全てを入れてみると、いったん温度が下がるので流れは止まるが、再沸騰するとお湯が動き出す。
ただ、ブロッコリーは軽いので上に浮き上がってしまい、浮いたままギュウギュウに詰まって回らなかった。量が多すぎてしまった場合は、ちょっと箸で押し込むようにすると回り出す。あとは放っておいても勝手に混ざってくれるのでラクだ。
回るのを見ているのはとても楽しいが、長時間茹でると茹ですぎになってしまう。火の通りは早いので、何周かしたらあげてしまったほうがよい。
味噌汁用に大根も茹でてみた。めいっぱい水を入れてしまうと多いので、フィンの半分程度で水を入れて作ってみたが、きちんと回っていた。大根が踊るように移動しているのが見えて楽しい。熱が均等に伝わり、根菜類もすぐにゆで上がるので、光熱費の節約になりそうだ。
吹きこぼれず、アクも取りやすい
鍋で茹でていて、目を離したスキに噴きこぼれてしまうのがカレーだ。はじめに野菜やお肉を炒めてから茹でるので、アクもたくさん出る。
しかしくるくる鍋なら、流れは中心に向かうので、アクも真ん中に集まる。お玉でスッと取れるのは便利だ。また、どんなに強火にしても吹きこぼれず、他の作業をできるのは嬉しい。
ジャガイモに火が通り過ぎないうちにルーをいれるつもりだったが、いつもより早くジャガイモが崩れてしまい、焦ってしまった。火の通りが早いので、いつもより少し早めのタイミングでカレールーを入れたほうがよさそうだ。
カレールーを入れたらグツグツ煮る必要はないので、ここでリングをはずしておく。あとはカレールーを入れて、普通の鍋として弱火で少し煮込んだら完成だ。
固めのカレー用牛肉は、いつも下の子が「固い」と文句を言うのだが、短時間でトロトロになり、おいしそうに食べていた。くるくるをやり過ぎたせいか、野菜がほとんど溶けてしまったのは残念だが、短時間で火が通るのは頼もしい。
こんな調理には不向き
使用上の注意としては、鍋の中身が多すぎたり、比重の重いもの、粘度の高いものは回転不足の原因となるそうだ。
当然、カレーもカレールーを投入した後では粘度が高いので回らないだろう……と思ったが、どうなるか気になったので、挑戦してみることにした。
強火でカレーを加熱したところ、お湯よりは回転が緩いものの、少しずつ回っていた。しかし、かなり強火にしたため、カレーの底は少し焦げてしまった……。くるくる回るのは楽しいが、無理矢理回すと焦げたりするので注意が必要だ。
くるくる鍋は、多めの湯、少な目の食材、高火力でなければ回転しない。カレーの場合は前述した通り、野菜に火が通ったらくるくるリングをはずし、その後にカレールーを入れることをおすすめする。ドロドロしたカレーが渦を巻く様は楽しかったが、くるくるリングにカレーがくっついてしまい、後片付けも面倒で、残念な結果となってしまった。
他にも回らなかった食材がある。我が家は4人家族なので量が多いということもあって、麺類には使い道がなかった。水に対する割合が多いと、太めのペンネやパスタも全く回らなくなる。1人または2人分で使用するのなら問題ないだろう。
また、ゆで卵もグルグル回るかと期待したが、回らなかった。4つ同時に入れたからかもしれないが、少しずつ移動しながらユラユラ揺れている程度だった。ただ、一切かきまぜなかったものの、黄身は全て真ん中になっていたのは感心した。
ぎっしりと食材を入れた煮物などにも向かない。筑前煮、ぶり大根、おでんといったものだが、そういった調理をするなら内側のリングを外して普通の鍋として使用する。
野菜の下ごしらえや味噌汁、スープ作りにおすすめ
鍋本体は高級感があり、しっかりした作りだが、リングを装着すると非常に重く感じる。水をめいっぱい入れてしまうと、片手で持ち上げるのは大変だ。持ち手と反対側に取っ手をつけるか、両手鍋にしてもらえるとありがたい。
また、鍋のほかにくるくるリングも洗わなければならず、手間がひとつ増える。野菜を茹でる程度ではサッと汚れが落ちるのでそれほど大変ではないが、お肉などを茹でたときに脂などが付いてしまうと、少々面倒に感じた。食器洗浄機は不可となっているが、ぜひ使えるようになって欲しい。
とはいえ、最初は「アイデアとしてはおもしろそうだけど、使い道はあるのかな……」と不安だったが、我が家ではくるくる鍋を使って味噌汁を作ったり、野菜をゆがいたり、コンソメースープを作ったり、カレーやシチューにとろみをつける直前までの作業に重宝した。かき混ぜる必要がなく、アク取りが簡単で、短時間で調理できる。くるくるリングをはずして普通の鍋として調理もできるので、使い道は色々だ。
とても珍しいアイデア鍋なので、結婚祝いや引っ越し祝いなど、プレゼントとしても喜ばれるのではないだろうか。