やじうまミニレビュー
東芝「LEDサーチライト KFL-1800」
~シンプルで強力なLEDサーチライト
by 伊達 浩二(2013/2/22 00:00)
狭く強い光をもたらすサーチライト
東日本大震災以来、本誌でも多くのLEDライトやLEDランタンが紹介されているが、今回紹介する東芝「KFL-1800」は、“LEDサーチライト”と名乗っている。
もともとサーチライトは「探照灯」と訳されるように、海や空で対象物を探すための照明器具だ。広い場所で物を探すために、範囲は狭くても強力な光を照射する。
映画などで、海面を照らして浮遊物を探したり、空を照らして敵機をさがすときに使っている、あれがサーチライトだ。映画つながりで言えば、20世紀フォックスのオープニングロゴ画面で、左右に揺れながら空を照らしている5本の光源もサーチライトである。
KFL-1800は、大きな4個のLEDを搭載し、4本の単一形乾電池を内蔵した強力な製品だ。一般的なLEDライトとはどこが違うのか見てみよう。
メーカー | 東芝 |
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製品名 | LEDサーチライト KFL-1800(W) |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | yodobashi.com |
購入価格 | 1,980円 |
スマートでシンプルな外観
KFL-1800の本体色は、つや消しで、少しだけクリームがかった感じの白だ。ボディは単一乾電池4本を内蔵している割にはスリムですっきりしている。本体の前端部は円形だが、後端は三角形の断面で、転がりにくくなっている。
本体サイズは、105×105×210mm(幅×奥行×高さ)だ。この場合の高さは、横に置いた場合の長さにあたる。プロポーションとしては、一般的なLEDライトより長く太い。同じ単一乾電池を使うLEDライトと比べても、2倍以上の太さがある。本体重量は、電池抜きで279g、電池込みで807gだった。やはり、単一乾電池は重い。
主な部品は3つで、本体、機構部分、前面カバーだ。一体成形された本体に、LEDが実装された機構部分をかぶせ、前面カバーをねじ込んで固定する。豆電球を使う懐中電灯でよくある構造で、シンプルだ。
単一乾電池は別売なので4本用意する。本体に入れる方向は、内部に書かれているので迷わない。機構部品をかぶせる時は、細い2本の溝がガイドになるので、方向を間違うことはない。
機構部品には4つのLEDが固定されている。各LEDの前には、いかにも強力そうなレンズが装備されている。前面カバーは保護用らしく素通しだ。
前面カバーの隅の部分は、少し斜めになっている。LEDを点灯した状態のままで、前面を下にして本体を立てると、隅の部分が明るくなって、LEDが点灯していることがわかる。LEDを点けっぱなしにして電池が消耗することを防ぐ工夫だ。
操作部分は、大きなプッシュボタン1つだけ。1回押すと点灯、もう1回押すと消灯というシンプルなタイプで、点灯するLEDの個数を調整することはできない。常に4つ点灯する。
なお、本体はIPX1準拠の防滴構造になっている。IPX1は「鉛直に滴下する水に対する保護」なので、雨にぬれても大丈夫ぐらいに考えた方が良い。ネジ部分にOリングが入っているような本格的な防水ではないので、水に漬けたり、シャワーをあびせたりはしない方が良い。
パッケージには、肩から下げられる長いショルダーストラップが付属している。本体のストラップホールは3つ用意されていて、本体を水平な状態と、垂直な状態の2通りに下げることができる。大きめのボディにショルダーストラップをつけて、肩から下げた姿は迫力がある。
狭くて強力な光
室内で点灯すると、ごく狭い範囲が、きわめて明るく照らされる。本体から1mの距離で、1,000lxの明るさという仕様も納得できる。
こう書くと、ビーム的に中心部だけ明るい光を想像してしまうかもしれないが、室内などで照らしている限りは、周囲もそれなりに明るい。例えば、6畳間を入り口から照らすと、通常のLEDライトと同じぐらいには部屋の中の様子はわかる。
ただし、中心部分がとても明るいので、周囲の明るさが物足りなく感じる。サーチライトとしてはこれで正しいが、室内用に周囲を広めに照らすように設計されている一般的なLEDライトの強力版というイメージを持っていると、がっかりするかもしれない。
一方、屋外に持ちだして50mほど先にある工事中のビルの壁面を照らすと、どこを照らしているのかはっきりとわかる。
やはり、これは広い場所や屋外で使用すべき製品で、屋内用や近所の散歩に向いた一般的な懐中電灯型のLEDライトとは特性が異なるのだ。屋外の、ある一点を照らすような用途が向いている。
この製品を家庭で使用するとすれば、台風などの非常時に、屋外から家の様子を確認するのに使うというイメージだ。また、敷地内や広い施設内を巡回する警備や、街灯のない場所を歩くアウトドアなどの用途に向いているだろう。
アルカリ電池で約55時間。実測でも丸2日は大丈夫
この製品の電池寿命は、アルカリ乾電池で約55時間、マンガン乾電池で約30時間とされている。
富士通ブランドの「R SPEC」という一般的なアルカリ乾電池を使って、何度か電池寿命を試してみた。連続点灯の状態では、少なくとも丸2日は持つし、場合によっては丸3日持った。電池の種類や気温などに左右されるだろうが、2日ぐらいは当てにしてよさそうだ。
4本の単一乾電池を使用しているLEDライトとしては、電池寿命が短く感じるかもしれないが、強力なLEDを4個も使っていることを考えれば十分な性能だと思う。なお、LEDの寿命は約40,000時間とされている。
使い場所は選ぶが、手頃で使いやすい製品
約1カ月ほど使用してみたが、正直に言えば、家庭内では持て余し気味だった。屋内中心の生活では、能力を発揮する場所が少ないのだ。
とくに狭い室内で人を照らすと、たいへんにまぶしい。実際、家人に頼んで自分を照らしてもらったが、たしかにまぶしすぎる。人に迷惑をかける可能性もあるので、日常的な散歩には使わない方が良いだろう。
このサーチライトが、その能力を十全に発揮したのは、マンションの経年チェック作業のときだ。普通のLEDライトでは届く機種が少ない10階以上の外壁でも、きちんと照らせる。また、暗い機械式駐車場の内壁なども、状況がよく分かる。やはり、基本的には業務用というかプロの道具なのだ。
しかし、シンプルで誰でもすぐ使えるわかりやすさ、実売で2,000円を切る価格など、親しみやす面もある。自宅で防災用品として買うには大げさだが、マンションの管理人室や、町会などの地区単位の集会場、会社の防災担当者の備品などに備えられていると、その能力が発揮できる製品だ。
また、屋外で使用することの多い自動車用のLEDライトとして、とりあえずトランクに放り込んでおくのも良いだろう。