やじうまミニレビュー
新工精機「ふんばりくんZ」
新工精機「ふんばりくんZ」 |
9月1日の防災の日が近づいているので、防災に関する製品を1つ紹介したい。
防災用品にもいろいろあるが、今回紹介するのは、家具の転倒を防ぐための器具だ。一般には「突っ張り棒」という名前で呼ばれることが多い。
突っ張り棒は、部屋の天井と、家具の天板の間に挟む器具で、地震の際に家具が倒れないように、天井から突っ張る。家屋や家具の倒壊で、被害を受ける人が多かった阪神淡路大震災の後に、注目されるようになった。
本格的な固定具と違って、ネジや接着剤などを使わないので、家具を傷めない。そのため、壁を傷つけることができない借家住まいでも使用できるという利点がある。
逆に、突っ張り棒の欠点の1つが、家具の天板と天井との間に、だいたい30cm以上の空間が必要とされることだ。一般的な家屋の天井は2m20cm~2m50cmぐらいのことが多く、特に問題にならないのだが、マンションの場合、部屋の隅に鉄骨などの構造材が通っていることがあり、天井の高さが2m程度しかない例も少なくない。その場合、背が高い家具との間の空間は20cm以下になってしまうのだ。
ところが、今回紹介する、新工精機の「ふんばりくんZ」という製品は、天井と家具との間が10cm~20cmあれば使えるという、マンション世帯に便利な存在だ。
メーカー | 新工精機 |
製品名 | ふんばりくんZ |
希望小売価格 | 3,980円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 3,299円 |
■自動車のジャッキのような構造
ふんばりくんZは、1個単位で販売されているが、この製品に限らずつっぱり棒というものは2個1組で使うため、2つ購入した。
パッケージは、半透明の樹脂を使った簡単なもの。取扱説明書はなく、使い方などはパッケージに印刷されている。
パッケージ前面 | 10~20cm対応のほか、組立不要、取り付け簡単と書かれている |
パッケージ背面 | 家具の端から3cm以上離して設置するように書かれている |
ふんばりくんZは、本体にあるダイヤルを回すことで、高さが変わり、ダイヤルを右に回すと高く、左に回すと低くなる。構造的には、自動車に搭載されているジャッキによく似ている。
本体は鉄製でずっしりと重い。天井や家具と接する部分はラバーが貼ってあり、傷などがつきにくいようになっている。
グレーが主体でオフィス家具には似合いそうなデザイン | 横から見るとジャッキそのもの | ダイヤルには回す方向を指示するシールが貼られている |
シールを剥がすと赤い部品が目立つ | 家具などと接する部分は柔らかいラバーが貼られている | 最大まで伸ばした状態 |
伸ばした状態と畳んだ状態の比較 | 畳んだ状態では、高さは10cmを切る | 伸ばした状態では、20cmをちょっと超える |
台座の長さは25cmほど | 重さは約720gほどだが、ずっしりとした手応え |
今回取り付けるのは、リビングルームの隅に置いてある背の高い書棚だ。高さは1m85cmある。このリビングルームは、部屋の中央部の天井は2m50cmあるのだが、部屋の隅は柱が通っていて、天井が低くなっている。書棚の上では2m5cmだ。つまり、書棚と天井の間は、約20cmしかない。
まず、書棚の天板を掃除する。かなりホコリが溜まっていて、これが一番大変だった。
ふんばりくんZを設置する本棚 | 本棚の手前には猫タワーがあり、本棚が転倒すると巻き添えになる |
本棚の天板に溜まったホコリを掃除するのが一番大変だった | 本棚の天板と天井の間は、約20cmしかない |
組立作業はなく、置く場所を決め、ダイヤルを回して高さを調節すれば終了する。まず置く場所は、家具の端から3cm以上離すようにと書かれている。さらに、この天井は場所によって強度が異なる。コンクリートが通っている部分と、板だけの部分があるのだ。指で軽く叩いて、コンクリートが通っている部分を確認し、置く位置を決めた。
突っ張り棒に共通した欠点だが、正しい位置に設置されていないと、効果が発揮できない。位置決めは慎重に行なっていただきたい。
軽く叩いてみると、音から芯の有る部分と無い部分がわかる。コンクリの部分を選び、置く場所を決める |
なお、ふんばりくんZには上下がないので、ダイヤルが手前にくるように注意するだけで、置く方向は気にしなくてよい。
置く場所が決まったら、ふんばりくんZのダイヤルを回して、本体を伸ばしてゆく。ダイヤルは、想像していたよりも多く回す必要があるので、家具の上に置く前に、あらかじめ本体を伸ばしておいた方が良い。だいたい1cmぐらい隙間を残しておき、家具の上に置いてから、残りの1cmを埋めるようにすると作業が楽だ。
ダイヤルを回し過ぎると、家具や天井を痛めてしまう。パッケージには、「上部が天井に触れてから、2~3回回してください」とあるので、それぐらいに留めておきたい。
設置後の様子。左右の位置が少しずれているのは、天井の強度に配慮したため | 斜めから見た状態 | 天井は奥行きは余裕がない状態であるのがわかる |
取り付けは、天板の掃除を除けば、20分足らずで終了した。もう一度やれば10分ぐらいで終わると思う。
以前に設置した突っ張り棒では、上下の支えの部分がずれて設置に手間取ることがあったが、ふんばりくんZは、本体が重たくて動きにくいのと、支えの部分が固定されていてずれないので、作業が楽だった。
取り付けた状態で、本棚を揺らしてみたが、ほとんど揺れない。しっかりと固定されていて、安心感がある。
■実用性高し、デザインに配慮を
ふんばりくんZの利点を、もう一度まとめると、次の3つになる。
・天井と家具の隙間が小さい場所でも使用できる
・組立作業が必要なく、操作もダイヤルを回すだけなので簡単
・本体が鉄製で、構造がジャッキ式なので、強度に対する安心感が高い
欠点は、デザインだろうか。いかにも工具然としたデザインで、リビングルームでは、変に目立ってしまう。とくにダイヤル中央部が赤いのは、どうかと思う。ダイヤル全体を白にするだけでも、多少は目立ちにくくなるだろう。
基本的には、機能が重要な製品ではあるけれど、天井近くとは言え、部屋にずっとあるものだけに、もう少し配慮があれば、なお良い製品になると思う。
ニトムズ「ふんばる君」。家具の前端部に挟むタイプの転倒防止器具 |
なお、今回のように家具と天井の隙間が狭い場合には、以前レビューしたニトムズの「ふんばる君」のように、家具の前端に挟む形の転倒防止器具もある。
ただし、「ふんばる君」の場合、組み立て式などで強度が弱い家具では家具にゆがみが出てしまい、スライド式の棚や戸の開閉が渋くなる場合がある。強度のある家具でインテリアを重視したい場合は「ふんばる君」、家具の強度に不安があったり、しっかり固定したい場合は「ふんばりくんZ」と使い分けると良いと思う。
また、従来タイプの突っ張り棒でも、20cm以下の隙間に対応した製品がある。ただ、組立が不要なことや、取り付けの際に操作が簡単なことから、自分ならば「ふんばりくんZ」を推奨したい。
2012年 8月 22日 00:00
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