やじうまミニレビュー

ハリオグラス「茶王 CHA-4SV」

~好みの濃さのお茶がいれられるティーポット
by 但見 裕子


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


ハリオグラス「茶王 CHA-4SV」。製品パッケージ

 食事のあとに、家事の合間に、温かいお茶を入れて、色や香りを楽しみつつ飲むのはいいものだ。人生の小さな喜びだと思う。しかし、しばしば無精をしてティーバッグで済ましてしまっている私だ。

 たしかにティーバッグは風情とかデリシーには欠けるが、カップの熱湯につけておいて、好みの濃さになったら取り出せばいいのだから、失敗がない。ポットや急須でお茶を入れると、中の様子が見えないので、つい放置して濃く出しすぎてしまうことがあるものだ。

 ところが今回紹介するハリオの「チャオール(茶王)」は、本格的なティーポットでありながら、ティーバッグのように「好みの濃さに抽出したら、茶葉を引き上げてしまえる」製品である。

 引き上げてしまえばお茶はそれ以上濃くならないから、2杯目も同じ濃さで飲めるわけだ。ガラス製で透明だから、お茶の色や濃さもよくわかる。チャオールシリーズには、カップ2杯分(300ml)の「CHA-2SV」と、4杯分(600ml)の「CHA-4SV」があるが、今回は大きい方にした。



メーカーハリオ
製品名茶王 CHA-4SV
希望小売価格7,350円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格4,543円

 「チャオール」は、球状のガラスボールと、フタと一体になったストレーナー(茶こし)で成り立っている。ストレーナーはシャフトで上下させることができ、フタの頂点のストッパーで固定すると、茶葉が引き上げられた状態になるわけだ。お茶が出過ぎてしまうことがないので、安心してたっぷりとお茶を淹れておけるのが一番の特徴だ。

フタと一体のストレーナー(茶こし)ストレーナーをポットの中に下ろした状態シャフトを上げ、ストレーナーをフタの中に引き上げた状態

 フタは、バネ状の押さえがついていて、パチリと閉まり固定される。お茶を注ぐために斜めにしても、フタが落ちるようなことはなさそうだ。ハンドル(取っ手)は細いが力を入れやすく、しっかりと握れる。

紅茶を淹れる

紅茶を入れてみた。ガラスポットなのでお茶の色がよくわかる

 まず紅茶を淹れてみた。ストレーナーのフタをスライドさせて開け、茶葉を入れる。

 茶葉をパックから直接流し入れようとしたら、ストレーナーの口径が狭いので少しこぼれてしまった。ここは、面倒がらずスプーンを使うべきだった。

 さて、ポット本体に熱湯を満たし、ストレーナーを沈める。普通は茶葉なりティーバッグなりを容器に入れておいて、あとから熱湯を注ぐのだが、「チャオール」の場合は逆になるわけだ。

 ガラスボールの中では、紅茶独特の深い赤色がゆらゆらとただよい始め、次第に広がっていく。これがとりあえず目に楽しい。ポットの中が見えることで、お茶を入れること自体を楽しむ気分が増すものなんだなあと思った。

 十分にいい感じの色になったと思われたので、ストレーナーを上にむけて引き上げ、シャフトを倒して固定する。これで、このまま置いておいてもお茶が出すぎることはない。

カップに移したところ。好みの味よりは濃いめになってしまった

 できあがった紅茶をカップについでみた。そうしてみると、思っていたよりも少し濃い色のような感じがする。飲んでみたら、やはり、少しだけ好みの味より濃い。

 その後何度かやってみてわかったが、ストレーナーはガラスボールの下の方に固定されているため、濃く出たお茶が一番下の方にたまるのだ。上の方の色だけ見て判断していると、思ったより濃く出ていることが多いので気をつけたい。とはいえ、ポットからカップに注いで飲む紅茶は気分込みでとてもおいしい。2杯目もゆっくりと飲みき切った。

プーアル茶や玄米茶も淹れる

 次はプーアル茶だ。ダイエットにいいとも言われるが、ちょっとくせのある中国茶である。紅茶同様、ストレーナーに茶葉を入れ、熱湯に沈める。オレンジがかった褐色の色が出るのをみはからって、ストレーナーを引き上げる。

 好みにもよるだろうが、プーアル茶はその独特の風味から、濃く入れすぎると飲みにくい味になる。だからストレーナーを上げればそれ以上濃くならないのは便利である。

 プーアル茶は同じ葉で二煎三煎と入れられる。二煎目からはマイルドになるので、一度で捨てないで、何度も飲むのがおすすめだ。中国茶器の可愛らしいカップで飲みたいところだが、あいにく持っていないので、手持ちの中で一番オリエンタルな感じのするボタン柄の湯飲みで飲んだ。いい感じである。

最近はスーパーでも様々なお茶が売られていて見ているだけでも楽しい。チャーオールはこれらのお茶全てに対応するプーアル茶

 次は個人的に好きなお茶「抹茶入り玄米茶」を淹れてみた。茶葉に混ぜた、煎った玄米の風味が、何となくほっとする感じでいいのである。これも同様の手順でストレーナーに茶葉を仕込み、淡緑色の色がほどよく出たところで引き上げる。

 いつもの好きな味で、おいしく飲んだ。

 そしてあとで片づけるときにストレーナーを開けてみたら。玄米茶がストレーナーの中でふくらんでパンパンに詰まっていた。玄米がお湯でふやけたせいだと思う。

玄米茶を入れたお湯でパンパンにふくらんだ玄米茶

アップルティーを冷水出しで淹れる

 チャオールは、ガラス製なので、水出しのお茶にも合いそうだ。アップルフレーバーの紅茶を、水出しで淹れてみようと思う。

 当初熱湯で入れてみたところ、とてもいい匂いで好ましいのだが、香りの存在感が強くて、一緒に食べるお菓子の風味がわからなくなりそうな感じがあった。水出しにしてアイスティーで飲んだら、芳香が立ち過ぎなくておいしいのではないかと思ったのだ。

 ガラスボウルに冷水を注ぎ、ストレーナーにアップルティーを仕込んで、冷蔵庫で保存した。冷水だと、熱湯と違って対流がないので、茶葉の色と成分が下の方にたまり、上の方はかなり長時間経っても透明なままだ。途中で一度、ストレーナーを上下させてかき混ぜてやるといいと思う。

 約3時間経って、ほどよい濃さのアイスティーになった。グラスに注いで飲んでみると、ホットのときの、鼻の先でぱっと弾けるような匂いとは違い、やわらかくのどの奥に広がる感じで味わえる。おいしかった。

アップルティーを水出しにする。下の方にわずかに色が出てきている3時間ほど水出ししたアップルティー。ほどよい香りでおいしい

 ストレーナーを上げた状態で冷蔵庫に入れておけば、濃くなりすぎることなく、いつでも冷たいお茶が飲める。暖かくなるこれから、うれしい使い方になると思った。

洗いやすく、スペアパーツも

 「チャオール」を使ったあとの片付けだが、普通のポットや急須同様、水できれいに流して洗い、自然乾燥すればいい。フキンで拭いてもいいが、形がやや複雑なのでやりにくいかも知れない。

 ストレーナーは、一見洗いにくい形のようだが、スライドするフタが完全に開くので、水で流しやすい。細かな茶葉が目に詰まるようなことも、使った範囲では起こらなかった。もし洗剤で洗いたい場合には、中性洗剤とやわらかいスポンジが推奨されている。

 また、ハリオでは、製品のスペアパーツを積極的に用意しているので、どこか壊れたり摩耗した場合には取りかえがきく。「チャオール」の場合は、ガラスボールが1,155円、フタのつまみが263円という具合だ。「何かあっても、パーツを換えて長く使ってもらおう」という企業の姿勢が感じられる。

洗いやすい形状とは言わないが、それぞれ別パーツでも販売しているため消耗した場合交換できる

 
 いろいろ使ってみて、「チャオール」は、よく考えられた、親切なティーメーカーだと感じた。値段は、ちょっと高く感じるかもしれないが、汎用性も高く、長く使えそうな製品だ。お茶が好きな人、お茶を入れるのを楽しむ人に、ぜひおすすめしたい。




2010年 4月 7日   00:00