やじうまミニレビュー
グルメなドリップペーパーで普段のコーヒーが美味しくなる!?
by 伊達 浩二(2014/4/7 07:00)
一番高級なペーパーフィルター
今日は、ドリップ式コーヒーを淹れる道具であるペーパーフィルターを紹介する。メリタの「GOURMET(以下、グルメ)」という製品で、1月に発売されたばかりだ。
ペーパードリップ式は、レギュラーコーヒーを淹れるための方式の1つだ。ドリッパーと呼ばれるホルダーと、ペーパーフィルターの2つの簡単な道具だけで、おいしいコーヒーが淹れられる。ドリッパーもペーパーフィルターも100円ショップで入手できるぐらい広く普及している。
メリタはペーパードリップ式コーヒーの開祖であり、ペーパーフィルター1つとっても7種類も製品が用意されている。グルメは、その7種類の中でも一番高級な製品だ。フィルターペーパーを高級なものにすることで、どこまでコーヒーの味が変わるのか試してみよう。
メーカー | メリタ |
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製品名 | GOURMET(グルメ) |
希望小売価格 | 450円(税抜) |
購入場所 | 楽天市場 |
購入価格 | 387円(税込) |
1×4の大きめなサイズ
今回、購入したグルメは、「1×4」というサイズだ。これは、1回の給湯で、最大4杯分のコーヒーが淹れられる大きさだ。現在のところ、グルメには、このサイズしか用意されていない。一般的なペーパーフィルターは「1×2」サイズのものなので、それより一回り大きい。
フィルターペーパーのサイズが大きいので、当然、ドリッパーも大きなものが必要になる。今回は、発売記念のセールということで、1×4サイズの樹脂製のホルダーがオマケについてきたが、グルメを使うときは、ドリッパーのサイズにも注意してほしい。
グルメのパッケージは紙箱だ。面白いことに、フィルターはビニールなどで内装されておらず、むき出しで紙箱に入っている。これは、紙でできているフィルターは呼吸をしているので密閉しないほうが劣化しにくいためと説明されている。ビニールの分だけゴミも少なくなるので、こういう配慮は歓迎だ。
また、紙箱にはペーパーフィルターが80枚入っているが、余裕のある入れ方で出し入れがしやすい。紙箱のフタも開け閉めがしやすく、使っていてストレスが溜まらない。
ちなみに、グルメは、きちんと管理された森林から産出された木材を適切に加工流通しているという証明である、「FSC(森林管理協議会)」の認証を得ている。木材が原料であるペーパーフィルターだけに、森林保護にも気を配っているというわけだ。
一目で別物と分かるスペシャル感
グルメの外観と構造は一般的なペーパーフィルターとはだいぶ異なっている。フィルターを箱から出して見ているだけで、普通のコーヒーフィルターとは異なる特別な製品であるということが一目で分かる。
まず、本体に「アロマプラス」という名前の「S」字型というか「~」に見える凹凸がある。この部分は、薄くなって穴が開いている。これにより、コーヒーのアロマを含むコーヒーオイルが抽出されやすいという。
また、フィルターは「スリーアロマゾーン」と言って、アロマプラスのS字型の穴の数が違う3つの部分に分かれている。上にいくほど穴の数が多く、下のほうは、ホールが少なくなっている。この穴の数の差でコーヒーの抽出速度を調整しているという。お湯が上のゾーンまであるときは早く抽出し、下の方にだけあるときはゆっくり抽出するわけだ。
フィルターのエッジを止めているシールも二重になっている。これでフィルターの強度が増して、ドリッパーにフィットしやすくなるという。
ペーパーフィルターの用紙は厚みがある。アロマプラスの凹凸もあるので、手に持った感触もザラッとした独特なものだ。普通のフィルターとは全然違う。フィルターの色は、無漂白なので、素材本来のブラウンだ。
よく蒸らして、お湯は分量まで一息に
1×4サイズのドリッパーはサイズが大きいので、コーヒーカップではなく、コーヒーサーバーに載せて使う方が安定する。
ペーパーフィルターはドリッパーに入れる前に、エッジの部分を折る。グルメは、シールの部分が二重なので、折幅が大きい。触った感触も独特なので、コーヒーを淹れる前から、今日は普段と違う道具を使っているということが強く感じられる。
ペーパードリップ式のコーヒーは、細挽きから中挽きぐらいの豆が適しているので、今回はいつも飲んでいるモカを中挽きにしている。手持ちの計量スプーンで2杯分を量る。
ペーパードリップ式でおいしいコーヒーを淹れるコツは、お湯の入れ方にある。今回は、メリタのサイトにある解説を読み、できるだけそれに沿って作業した。
まず、お湯は沸騰した状態から、一息だけ冷まし、豆全体が湿る程度に注ぐ。そして、そのまま30秒ほど豆を蒸らす。
次に、所定の分量までお湯を注ぐ。お湯を注ぐときは、ゆっくりと回しながら注ぐが、何度かに分けて注ぐのではなく、一息に注ぐ。こうすることで、コーヒーの抽出具合が、ペーパーフィルターとドリッパーに任される。
とくに、このグルメの場合、フィルターによる制御が製品の特徴なので、できるだけ任せてしまった方が良い。ドリッパーもメリタ製のものを使ったほうが良いだろう。
グルメには、S字型の穴が開いているので、一般的なフィルターよりも抽出速度が速いと思っていたが、ほぼ同じか、少し長い。そのためか、コーヒーを淹れている間の香りの立ち方が強いと感じた。
サーバーからカップに移して、コーヒーを味わってみても、よく香りが立って豆の特徴が出ていると感じた。
このあと、淹れるコーヒーの量や、豆を変えていろいろ試してみたが、きちんと香りが立ったしっかりしたコーヒーが入るという印象は共通だった。挽いてからちょっと時間が経ったコーヒー豆でも、それなりにコーヒーらしい香りになる。
特別な道具と思わせてくれるのが特徴
というわけで、「グルメ」という高級フィルターを使うことで、おいしいコーヒーが淹れられることはわかった。
ただ、これがすべてペーパーフィルターの手柄かというと、そう断言するのは難しい。
グルメを箱から出したときに、一目で特別なペーパーフィルターだと感じたし、ドリッパーにセットするために折る際にも、普段のフィルターとは違う製品だということが強く意識される。
もちろん、グルメのいろいろな機能もおいしいコーヒーのために貢献していると思うが、実は「特別な道具を使っている」という意識が持てることが、このペーパーフィルターの一番の特徴なのかもしれない。
それによって、作業手順やお湯の温度などのおいしいコーヒーを淹れるためのポイントが守られる。結果的に「特別な道具で淹れた、特別においしいコーヒー」が手に入るわけだ。
というわけで、この製品は、コーヒーにこだわりがあってハンドドリップで淹れているが、最近、ちょっとマンネリ気味だなぁ、という方々に、ぜひお試しいただきたい。グルメの持つ高い機能と、良い道具を使うことでもたらされる緊張感によって、普段とは一味違うコーヒーが手に入るだろう。