やじうまミニレビュー

エステー「ドライペット ファン 押入れ・クローゼット用」

~電動ファンで空気を循環させる湿気取り

やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです

梅雨に向けて除湿製品の季節

エステー「ドライペット ファン 押入れ・クローゼット用」

 4月も末が近くなって、ドラッグストアの店頭では除湿関連製品が増えてきている。

 関東地方では、6月8日頃に梅雨入りして、7月20日頃に梅雨明けするのが平年値なので、除湿関連製品が必要になるにはちょっと早いのだけれど、そろそろ湿度が高くなってきているので、あまり違和感はない。

 除湿関連製品の主力は、塩化カルシウムを使って吸湿する製品だ。これは、容器の中に塩化カルシウムを入れ、通水性のある紙などを通して湿気を吸い取るものだ。近所のドラッグストアでは、3個セット150円ぐらいで売っている。

 下駄箱ぐらいまでのスペースは、これ1個で用が足りる。ただ、押入れやクローゼットなど、もう少し広い空間に布団や衣類が入っていると、奥の方の湿気が心配になる。そういう時には、ファンで強制的に風を循環させる製品が有効だ。

 今年、エステーから「ドライペット ファン 押入れ・クローゼット用」という、その名の通りにファンを搭載した製品が登場したので試してみた。

メーカーエステー
製品名ドライペット ファン 押入れ・クローゼット用
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格598円

単一形電池でブンブン回す

ドライペット ファンの構造図。(発表時のリリースから引用)

 ドライペット ファンのアイデアは、右の図の通りで、ファンで風を循環させ、湿気を帯びた空気を除湿剤に当てて、広い範囲を除湿しようというものだ。

 こういう雑貨に近い家庭用製品の場合、単三電池を使うことが多いのだが、ドライペット ファンでは、単一形電池を使っているのが珍しい。単一形電池は別売で、アルカリ乾電池が推奨されている。ドライペット ファン本体と一緒に買うのを忘れないようにしよう。

 ドライペット ファンのパッケージは、袋状になっている。表は縦位置、裏は横位置に印刷されており、パッケージを吊り下げても、棚に並べても良いようにしてある。競争の激しい店頭で置いてもらうために、いろいろ工夫しているのだ。

パッケージの表は横位置
「電動ファンで風を送って湿気をこもらせない!」と訴求している
裏面は縦位置。左側の穴を使って、吊り下げて展示される
取り扱いの注意は、パッケージ横に書かれている
反対側には、使用方法が書かれている
パッケージはハサミで切って開く

 本体は、半透明の樹脂製だ。押入れ・クローゼット用ということで、もっと全長の長い製品を予想していたが、30cmちょっとと短い。数字で言うと、46×90×325mm(幅×奥行き×高さ)だ。ファンで空気を循環させる分、本体が短くできるのだろう。

上から、本体のフタ、本体、除湿剤
ファンと排気口
右の電池ボックスに、単一形電池が1本入る

 使い始めに必要な作業は2つで、1)単一形電池を入れる、2)除湿剤のカバーを剥いで湿気を吸うようにする、だ。

 本体のカバーを外して、電池を入れると、すぐに黄色いファンがまわり出す。ファンを使った除湿機や防虫剤などは、ファンが間欠的に動くものが多く、少し回ると止まるのだが、こいつはいつまでも回っている。

電池をセットするとファンが回り始める

 不審に思って、配線をチェクしてみると、乾電池からモーターへ直接配線されている。つまり、電池がある間は、ずっと回っているようなのだ。試しに、数時間、確認してみたのだが、停止することなく回り続けていた。

使用する電池はアルカリ乾電池が推奨されている
ファンを裏から見ると、乾電池からファンへと直接接続されている。特に基板などは経由していない

 つまり、同種の製品が、間欠的にファンを回すことで電池の寿命を伸ばしているのに対し、ドライペット ファンは、常にファンを回し続けるという設計なのだ。容量の大きい単一形電池が必要になるわけである。もちろん、常にファンが回り続けている方が、循環する空気は増えるわけで、この方が有効であることは間違いない。なかなか思い切ったというか、力技的な設計だ。

 エステーは、以前発売した「ムシューダFan」という防虫剤では、単三型電池で間欠運転をしていた。薬剤を広げるための防虫剤用ファンと、除湿のためのファンは必要とする風量が異なるという判断なのだろう。

 電池を入れたら、除湿剤の表面からカバー部分を剥いで、本体にセットする。これは、簡単に剥離できるので、ていねいにやれば難しくない。除湿剤を入れたら、水が溜まったときでもこぼれないように、本体のフタをぴったりと閉める。

除湿剤には使い方が大きく書かれている
カバーは、ゆっくり剥がせば難しくない
カバーを剥いだあとは、湿気が通りそうな多孔質な素材だ
電池と除湿剤をセットした状態
ぴったりとフタを閉めて準備完了
下の30cm定規にくらべて、ちょっと長いぐらいの大きさ

 なお、約2カ月とされている電池寿命は、アルカリ乾電池を使用した場合で、マンガン乾電池や充電式電池の場合は、短くなる可能性があるという。ここは、アルカリ乾電池にしておいた方が良いだろう。

 除湿剤の塩化カルシウムの量は170gで、本体に溜められる水の量は350mlだ。電池の寿命に合わせて、水量をチェックすれば良いだろう。

 除湿剤は、詰替え用が用意されていて、本体は繰り返し使用できる。詰替え用の除湿剤は、228円ぐらいで販売されている。これは170gの除湿剤が3個入ったパッケージなので、本体を買い直すよりずっと安く済む。それでも、ファンがない普通の除湿剤に比べれば割高だが、ファンが付いていて、空気が循環しているというのは魅力に比べれば、納得できる差額だと思う。

短いので奥行きの浅いクローゼットにも向く

 さっそく、自宅のクローゼットで試してみた。このクローゼットは奥行きが浅く、以前、押入れ用の除湿剤を試したときには、入らなかったことがある。しかし、ドライペット ファンは、奥行きが30cmちょっとなので、楽々セットできる。

奥行きが浅いクローゼットでも、問題なく設置できる
このクローゼットは70cm弱しか奥行きがないが、余裕がある
以前、同じクローゼットで、押し入れ用の除湿剤を試したときは、奥行きが足りなかった

 常時ファンが回るというので、うるさくないかと心配していたが、クローゼットのフタを開けた状態でも全然聞こえない。それぐらい、ファンの音はとても静かだ。動作音を聞くためには、ドライペット ファン本体の、ごく近くで耳を澄ます必要があるぐらいだ。

 ファンの風量は、ごくわずかで、本体の排気口に手を添えてみて、初めてわかる。少しずつ、ゆっくりと空気が循環するぐらいの風量だ。本体のパッケージにも、「できるだけ密封性を高くした環境でご使用ください」という注意書きがある。閉じていることが多い、押入れ、クローゼット、流しの下などが向いている。広い場所や、扉が開いている場所には向いていない。

 今回は、試用期間が短かったので、水が溜まるところまでは行かなかった。しかし、2日ほど使っているだけで、クローゼットを開けた時の、匂いというか空気が変わるのは感じられた。湿気が少なくなって、匂いが少なくなり、空気が軽く感じるのだ。

いつも空気が循環しているのは魅力

 短い試用時間でも、効果が感じられたのは、ファンが常に回っていて、除湿剤に触れる空気の量が多かったことが利点となっているのだろう。密閉した場所だけに、常に空気が循環していることの利点は、納得しやすい。パッケージにも「休まず送風で湿気がこもらない」とか書いてあっても良いと思う。

通風のよさそうな吸気口
こちらも風が通りそうな排気口部分

 また、ファン付きの利点を生かして、本体の全長が短く、奥行きの浅いクローゼットや下駄箱でも使えるのも良い。全長が短くても、ファンで空気が循環しているので、奥の方まで除湿してくれるだろうという期待が持てる。

 最初に書いたように、梅雨入りはもうちょっと先だが、すでに湿度の高い日も増えてきている。湿気がこもりやすい場所には、早めに設置しておくと良いだろう。

【お詫びと訂正】初出時、社名を「エステー化学」としておりましたが、正しくは「エステー」でした。訂正してお詫びさせていただきます。

伊達 浩二